第二十二話「絶対防御の謎」
王城が絶対防御の要塞を張ったまま、一直線に跳んでくる。
体を右横に拗らせ、バットでスイングするように長刀を振る。
長刀にはいかなる魔法も込められてはいない。
つまり、絶対防御でMPをかなり消費した為、魔法を使えないと考えられる。
「おっ、と」
俺は腰に携えていたハーフソードでなんとか受け止めた。
「くっ……」
斬撃が重い。
左手が反動で痺れる。
王城はその隙を逃しはしなかった。
動作が遅い長刀を片手に持ち、余ったもう片方の手には短刀が握られている。
まずい……
俺は今、闇を使った代償で魔法が使えなくなっているため、魔法で防ぎようがない上にスピードもない。
――グサッ
俺の負傷した右肩で、なんとか短剣を受け止める。
勿論、右肩は貫通した。
俺には三つの選択肢が残されていた。
一つ目降参
二つ目後退
三つ目前進
そんなもん……
「前進以外ねぇだろあぁぉぉぉぉ」
血が花火の如く噴き出すものの、完全に感覚が麻痺していて、痛みがない。
余った左手でさらに自分の横腹を貫く。
「「「!?」」」
これには同期も一驚する。
誰も一言も発さず、身動きすらままならない、そんな感じだった。
だが、この男は別だ。
ニヤリと笑い、右肩に挟まっている短刀をぐりぐり回す。
王城の顔は返り血で紅に染まっており、その姿はまるで「鬼神」だ。
「ハハハッ……」
「何がおかしい?」と言うと、短刀を腰の力を使って、短刀の鍔まで人肉の塊に押し込む。
「闇はな……精神ダメージを受けると効果は増幅する……」
王城は俺の異変に気づいたようで、咄嗟に後ろに下がろうとする。
「離すわけねぇだろ? ハハハッ……」
王城の舌打ちと共に闇の力は目に見えて増幅した。
もう、制御できない。
俺が闇を支配する、のではなく闇が俺を支配する立場に逆転する。
「な、何なんだ貴様は……」
王城の顔はだんだんと青ざめいく。
「第……二ラウンドだ」
俺は経験値をスピードに振り分けた。
今まで、闇のスキルで全体のステータスを底上げしようとしていたが、それもやめだ。
闇でスピードも強化する。
――王城視点
地面が巨人に踏み潰されたような地鳴り。
そして体が揺さぶられ、反応が遅れた。
「は?」
気づけば、俺様の顔が鷲掴みにされ、地面に後頭部から押しつぶされていた。
「ゲームセット。ヴァルカン君残りHP60003、王城君残りHP 15000。勝者ヴァルカン君」
「嘘だ……」
そんな沈痛な言葉と共に奈落の底に堕落する。
――神宮寺視点
魔法攻撃も1。
物理攻撃も1。
つまり魔法攻撃、物理攻撃を通常1にするスキルだ。
ここまでは序盤で気付けるが、その対処法が難しい。彼の資質から放たれる支配者の覇気を耐え凌ぎ、かつ15000発打ち込まなければ勝てないのだ。
以前、戦った俺から言わせてもらうと王城はスキル無しでも相当強い。
特にあの斬撃は並大抵のものでは受けきれないどころか砕け散る。
なのにヴァルカン君は勝ってしまったね。
そして、普通ならパニックに陥る場面でしっかりとルールを守った。
これでは君と王城との間に亀裂が走ることになるねぇ……あぁ楽しみだ。
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