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第90話 ドノバン達を迎えに行こう

 あれから数日経ち、ドノバン達が引っ越してくる日となった。

 瞬間移動の練習は続けていたのだが、ドノバンの家まで行ける距離には達していない。

 どうにも、短い長さで魔力濃度を高めるのが、上手く行かない感じだった。

 だが、その練習の副作用か、元の長さでの魔力濃度を高めるのが、よりスムーズに行えるようになった。

 結果として移動距離は2倍程度まで伸びたのだが、ドノバンの家までは遥かに及ばない。


「仕方がないのじゃ。

 今回に限り、妾が瞬間移動でドノバンとやらの引っ越しを手伝うのじゃ」


「良いのか?」


「ノアが何もせずに妾を頼るようならば無視しておったのじゃ。

 短い距離ならば既にできておるのじゃから、練習を続ければもっと長い距離もできるようになるのじゃ。

 今後も練習は続けていくのじゃろ?」


「無論だ。

 何時までもヴィーヴルの手を煩わせ訳にはいかないからな」


「それならば良いのじゃ。

 では、行くのじゃ」


「あぁ、じゃあ、ファーティを呼んでくるよ。

 今度はツヴァイの護衛の練習もしたいって言っていたから」


「ふむ、それなんじゃが、今回は妾とノアだけで行くことにするのじゃ」


「どうしてだ?」


「ファーティ達を連れて行っても、瞬間移動させられんのじゃ。

 瞬間移動の時には、妾が触れておらぬといけないのじゃ。

 ノア、ドノバン達に触れている状態で、更にファーティ達にも触れねばならんというのは無理なのじゃ」


「あぁ、そうだな」


「それに、ドノバンとやらの家までどの位掛るのじゃ?」


「今からだと、日が丁度真上に来る位までかな」


「妾は、そんなに歩いて移動したくは無いのじゃ」


「じゃあ、どうするんだ?」


「ノアは、妾の正体を知っておろう? 空を飛んでいくのじゃ」


「ドラゴンの格好で空を飛んで行ったら、目立って仕方がないだろ。

 ドワーフの街としたら、「ドラゴンが攻めてきた」とも取られかねないぞ」


「何も、龍の姿でなければ飛べないという訳では無いのじゃ。

 空を飛ぶのには、翼を使わなくても良いのじゃ。

 早く飛ばねばならん時には、翼も併せて使ったほうが良いと言うだけじゃ」


「じゃあ、この姿で飛んでいくのか?」


「そうじゃ」


「俺は……ヴィーヴルに乗るのか?」


「いや、手を繋げば飛べるのじゃ」


「そうか、いや、良かったよ。

 その格好のヴィーヴルの背中に、俺が乗っていることを想像したら、何とも言えない気分になってな」


「その方が良いと言うのならば、妾はそれでも構わんのじゃ」


「勘弁してくれ……」


 俺は、ヴィーヴルと一緒に、ファーティ達の元へと移動して、ファーティに今回は連れていけないことを伝えた。

 それならばと、ファーティは子供達と狩りに行くと言っていた。

 肉の在庫はまだあるのだが、ドノバン達の歓迎パーティでもして、少し多めに肉を消費してしまおう。


 アン達には、引き続き農作業をしておくように伝えた。

 ついでに、今日はパーティをすることを伝えると、『私達ではお役に立てませんよ』と言われてしまった。


 どうやら、宴会の方ではなく戦闘集団としてのパーティと勘違いされたようだった。

 慌てて宴会だと言う事を伝えると、『宴会とは何でしょう?』と聞かれたため、ゴブリンには宴会と言うものが無いことが分かった。

 皆で集まって、沢山食べたり飲んだりして騒ぐことだと伝えると、不思議がっていたが、トロワ達は喜んでいた。


 ヴィーヴルからは、肉と野菜のスープ、リンゴをリクエストされた。

 それならば、また、ドワーフの街へ行って、リンゴや、リンゴ以外の果物も沢山買いに行こう。

 リンゴ以外にも、ヴィーヴルが喜ぶ果物があるかもしれないしな。

 今日は移動手段としてヴィーヴルに散々世話になるだろうから、お礼の意味も兼ねてヴィーヴルを果物漬けにしてやろう。


 ふと、横を見ると、ラディッシュが結構大きく育っていた。

 1つ抜いてみると、もう、食べられるような大きさだった。


「皆、ラディッシュはもう食べられると思うぞ。

 1列分だけ残して収穫して、食べ物袋の中にいれておいてくれ。

 ……っと、そして、この種を蒔いておいてくれ」


『何故、1列分残すのですか?』


「種を取ろうと思うんだ。

 今は食べられる大きさになっているけど、種はないんだ。

 このまま大きくすれば、食べられなくなるけど、種が取れるようになるんだ」


『分かりました』


「じゃあ、行ってくるよ」


『お気をつけて』

『行ってらっしゃいませ』

『『『いってらっしゃ~い』』』


 ヴィーヴルが差し出した手を握ると、一緒にふわっと空中へと浮き上がった。


「どうじゃ? 空を飛ぶと言うのは?」


「何か足元が落ち着かないな。

 あと、落ちてしまいそうで、落ち着かない感じがする」


「これも空間魔法の一種なのじゃ。

 ノアも練習すれば、使えるようになるのかもしれないのじゃ」


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