第70話 瞬間移動を学ぼう(5)
「ノアよ、どうやって解決したのじゃ?」
「あぁ、ヴィーヴルは漏斗って知ってるかな?」
「漏斗? それは何なのじゃ?」
「口の細い瓶とかに水を入れる時なんかで使うんだが、こんな形をしているんだ」
地面に漏斗の絵を描いた。
「これと同じことを魔力を通すときにやったら上手くいかないかな? と考えたんだ」
「水じゃと濃度は変わらんと思うのじゃが?」
「魔力を漏斗の形に合わせて、集める感じでやっているんだ。
入口と出口で大きさを変えれば、それに合わせた濃度になると思ってな」
「成程なのじゃ。
紐の形を聞いたのは何故じゃ?」
「漏斗って、この絵に描いたように丸いんだ。
丸のままだと濃度を2倍と言われたときに、入口と出口の大きさをどうすれば良いか分からないと思ったんだ。
だから、俺は入口、出口ともに四角形で考えることにしたんだ。
四角形なら2倍と言われたって、入口に出口と同じ四角形を2つ並べれば良いだろ?」
地面に四角形を2つ並べて描いた。
「10倍なら10個並べると言う事じゃな」
「その通り。
これなら俺にもできると思ってな」
「ここをこうして三角形にすれば、魔力の出力を半分に抑えられるのじゃ」
ヴィーヴルが四角形に斜めに線を描いた。
「確かにそうだな」
見たところ、魔力の出力を半分に抑えられそうだ。
とりあえず、2倍でやってみよう。
出口を三角形、入口を四角形になった漏斗をイメージして……イメージ……途中ってどんな形にすればいいんだ?
「ヴィーヴル、駄目だ。
今、2倍でやってみようと思ったんだが、出口が三角形で入口が四角形の時に、漏斗の形がイメージできない。
実物を見ればできるのかも知れないけど、今の俺にはイメージできないよ」
「魔力の消費を抑えられても、作れないのであれば本末転倒なのじゃ」
「さっきの魔力濃度だと、瞬間移動にはまだ足りていないだろ? あとどのくらい必要なんだ?」
「そうじゃの、さっきのあと8倍くらいは必要なのじゃ」
「8倍か……ちょっと待ってくれよ」
三角形を1つ書いて4分割する。
小さな四角形の下に5mmと書き込む。
縦横ともに大きな四角形の2倍の大きさで四角形を描く。
「これで、さっきの4つ分だから、4倍ってことだな」
「これを2つ並べれば8倍なのじゃ」
「じゃあ、横が4cm、縦が2cmだな。
これで、やってみるよ」
横4cm、縦2cmの入口、出口は5mmの漏斗をイメージして魔力を流し込む。
横方向の魔力を纏めるのが難しいが、なんとか魔力が出ていると思う。
「魔力の紐」
「魔力の濃度がバラバラなのじゃ。
紐の上と下が濃くなっているのじゃ」
魔力を集める時に、上下と左右で変える必要があるのだが、その調整が上手くいっていないようだ。
「上下と左右で同じ大きさじゃないと上手くできないようだ」




