第69話 瞬間移動を学ぼう(4)
「ノアはまず、目印となる魔力の欠片を作るより先に、魔法の使い方を改めなければならんようじゃ」
「あぁ、今のままじゃ、例え目印を作れるようになっても、転移魔法は絶対できないようだしな。
ちなみにだが、ヴィーヴルって、どの位の太さの紐で目印まで繋いでいるんだ?」
「妾は、正確な太さは分からぬが、この髪の毛よりも細いのじゃ。
瞬間移動で必要となる魔力の濃さは、ある一定以上あればよいのじゃ。
そうなると、細ければ細いほど必要な魔力量も減るし、より早く紐を作ることができるのじゃ」
「髪より細いのか……もう、見えないんじゃないのか?」
「ノアにそこまでの魔力操作は求めないのじゃ。
瞬間移動できるだけの太さで作れれば良いのじゃ。
慣れてくれば、紐の太さも細くできよう」
「何事も練習だな」
「そういう事なのじゃ」
「とりあえず、身体を動かすか……魔力の紐を作るときには、なんて言えばいいのかな?」
「掛け声は魔力を具現化するための手助けとなるものでしかないのじゃ。
そのまま、『魔力の紐』で良いのじゃ」
魔力の紐を出す練習をする。
魔力を少なく出せば、細くはなるが密度が全然足りない。
魔力を多く出せば、纏まらずに大きく広がってしまう。
「う~ん、これじゃ駄目だな」
「細く出ている時には、魔力の濃度が全然足りておらんのじゃ。
太く出ている時は、太すぎて問題外なのじゃ」
「そうなんだよな。
全然、出来ている気がしないんだよ」
「妾は意識することなく、出来ておったのじゃ。
良い方法があれば、良かったのじゃがな」
「ヴィーヴルが気にする必要はないさ。
瞬間移動の方法を教えて貰っただけでも、感謝するしかないんだからな」
しかし、どうしたら良いのだろうか……魔法の出力を調整を気にせずに、細く纏めて出す方法。
そんな都合の良い方法なんて、あるのだろうか?
(纏める……紐……その紐を作りたいんだからなぁ。
魔力……流れ……水……水流をまとめる……川の上流……細い川が集まって大きい川になる……真逆だな。
川の水を逆に流すイメージは? いや、細い流れが沢山出来るだけか)
中々、良い方法が思いつかない。
でも、魔力=水と考えるのは間違っていないような気がする。
(水の流れを纏める……水を纏める……|漏斗≪じょうご≫! 漏斗のようにすれば、水を纏められるんじゃないか?)
「魔力の紐」
漏斗を通すイメージをして魔力を出してみる。
「何か、細く出ていると思うのだが、どうだろう?」
「うむ、先ほど細く出ていた時よりは、魔力濃度は上がっておるのじゃ」
「魔力の紐って、形は決まっているのか?」
「紐の形を気にしたことは無いのじゃ。
繋げるだけだから、何でも良いと思うぞ」
それなら、俺は四角形で作ってみよう。
四角形なら、濃度何倍と言われても計算できそうだしな。
円だと3倍とか言われても、漏斗を縦に3つ並べて放出しても3本の紐ができるだけで、濃度はそのままだろうし。
「今考えた方法だと、濃度も簡単に上げられると思うんだ。
ちょっと待ってくれよ……」
地面に、四角形を1つ書いて、その中を4分割した。
(大きさが半分になると、元の四角形の4つ分だから、出口を半分にすると濃度は4倍になるはずだな)
頭の中に入口が2cm、出口が1cmの大きさの四角形の漏斗をイメージして、漏斗の形に合わせて魔力の濃度を集めていくイメージをする。
これで、4倍の濃度で魔力が出るはずだ。
「魔力の紐」
「ふむ、先ほどより魔力の濃度が上がっておるのじゃ」
「よし、次は同じ濃度で細くしてみる」
今度は、入口が1cm、出口が5mmの大きさの四角形の漏斗をイメージする。
入口、出口の両方を半分にしたから、濃度が変わらずに細く出るはずだ。
「魔力の紐」
「うむ、先ほどと濃度は変わらずに、半分くらいの太さで出ておるのじゃ」
よし、計算通りだ。




