第65話 ドワーフ一家のことを話す
「ヴィーヴル、話と言うのはだな……」
あの後、アンとドゥに鍬の使い方を教えたり、トロワ、キャトル、サンクが鎌を持って遊んでいたら、キャトルの持っていた鎌が手からすっぽ抜けて、危うく自分に刺さりそうになったから遊んじゃいけないことを注意したりした。
晩飯には、肉と野菜をとにかく一口大の大きさで切り分けて作ったスープ? ごった煮? を振舞ったが、こちらは中々好評だった。
そして、自分の部屋にヴィーヴルを招き入れて、今に至る。
「ドワーフのことじゃろ? 何があったのじゃ?」
「ちょっと話が長くなるけど、勘弁してくれ」
そう前置きして、最初から話していった。
森の中に一軒家を見つけたこと。
その家には、ドワーフの一家(ドノバン、イルデ、アイリス)が住んでいたこと。
ミスリルを提供することで、武器と小刀を作ってくれること。
ミスリルの入手元は秘密であること。
武器の売り先は領主か冒険者だろうということ。
領主用にオリハルコンで武器を作ったらどうだと提案したら、入手元の秘密が守れなくなるかも知れないから、オリハルコンは使用しないと言うこと。
「それで、ドノバンが一度見たオリハルコンの加工を諦めきれないようで、こっちに来たいと言っているんだ」
「成程なのじゃ。
それで、ノアはどうしたいのじゃ?」
「来てもらえれば、今後も色々と物を作ってもらえるかもしれないし、イルデの料理は美味しかったから、作ってもらえると助かるとは思う」
「ならば、妾に相談しなくても良かったのではないのか?」
「ヴィーヴルの住処でもあるんだから、ヴィーヴルに話を通しておいた方が良いと思ってな。
さっき話した出処不明としているミスリルの件があるからな。
大して問題にならないだろうとは思っているが、探ろうとするやつが全くいないという訳ではないと思う」
「そして、突然、そのドワーフが引っ越したら、勘繰られるということじゃな?」
「あぁ、可能性が無いわけではないと思う。
そして、此処を突き止められて、ミスリルやオリハルコンがあると分かるとなったら、ドワーフ達は間違いなくここへ押し寄せるだろう。
そうなると、ヴィーヴルの存在もバレてしまう。
それはヴィーヴルも望まないだろ?」
「その通りじゃ」
「俺としては、ドノバンには武器や道具を作って貰いたいし、それを売ったお金で、此処の生活も良くして行きたい。
その為には、俺がドノバンの家まで素材を持って行くしかない訳だが、俺が|尾行≪つけ≫られたら、結局、此処がバレてしまうしな。
今の家にいる間は、ドノバンがオリハルコンは打つことはできないだろうし、出来るならオリハルコンを打たせてやりたい」
「それならば、それら全てを解決する方法があるのじゃ」
「どうすれば良いんだ?」
「簡単なことじゃ。
瞬間移動で、そのドワーフ一家を連れてくれば良いのじゃ」
「成程な……瞬間移動を使えば、|尾行≪つけ≫られることなく連れてこられるという事か」
「そして、ノアも街への行き帰りに使うことで、|尾行≪つけ≫られても撒けるのじゃ」
「やっぱり、瞬間移動は便利だよなぁ」
「何を暢気なことを言っておるのじゃ?
ノアが瞬間移動を覚えねばならんというに」
「え? ヴィーヴルが移動させてくれるんじゃないのか?」
「いつでも妾が、瞬間移動をするわけにはいかんのじゃ。
この姿形でドワーフの街に行くことは、避けねばならんしの。
そもそも、妾を移動手段の一つとして考えるとは、今一度、はっきりさせる必要があるのじゃ」
「いや、俺も瞬間移動を使えるようになれば良いなとは思っていたけど、まだまだ先の事だと思っていたから……なんというか、済まなかった」
「まぁ、良いのじゃ。
ドワーフ一家の受け入れは、妾としては問題ない。
ただし、ノアが瞬間移動をマスターすることが条件じゃ」
「分かった。
ありがとう、そしてよろしく頼む」
「良いのじゃ。
その、イルデとやらの料理も食べてみたいしの」
最後の一言がなければ良かったのにな。
駄目だ、この食いしん坊ドラゴンは。




