第51話 ドワーフとの話し合い(1)
「俺はノアだ。
よろしく頼む」
「儂はドノバンじゃ。
そして、これが連れ合いの……」
「妻のイルデです。
よろしくお願いしますね」
「まぁ、そちらに座ってくれ。
それで、早速じゃが、お主の持ってきたこれについて聞きたいのだが……」
「ミスリルだと思っていたが、違うのか?」
「いや、ミスリルで間違いない。
ただ、この大きさの塊はしばらくお目にかかれんかったのだが、お主はこれをどこで手に入れたのじゃ?」
「それは、ある場所から拾ってきたものだが、その場所を教えることは今はできない」
「ふむ、成程。
では、お主はこれをどうしたいのじゃろうか?」
「少し長くなるが、良いだろうか?」
「良いぞ」
「俺は今、冒険者を辞めて、人里離れた場所で暮らしているのだが、道具が足りない状態なんだ。
そこで、外に居るファーティと話したところ、この辺でドワーフの子供を見かけたと言っていたんだ。
子供を見かけたのならば、ドワーフの村なんかが近くにあるんじゃないかと考えて、話すきっかけとしてミスリルを持ってきたんだ」
「それに、儂が引っ掛かったというわけじゃな」
「気分を害したのなら謝る。
ただ、こちらも切羽詰まっていたんでな」
「いや、構わんよ。
おかげで、これ程のミスリルの塊を拝めたのじゃしな」
「どうぞ」
イルデがお茶を持ってきて、俺の前へと差し出した。
「ありがとう」
「それで、儂に何を望むのかの?」
「動物を解体するための小刀が欲しい。
あと、畑を作っているので、農機具なんかも欲しいんだ。
ただ、さっき言った通り、人里離れたところで暮らしているので、手持ちがほとんどない。
だから、このミスリルと交換で売ってほしいんだ」
「何? そんなものとミスリルを交換じゃと? 正気か?」
「極めて正気だ。
今、俺の住んでいるところでは、ミスリルなんて持っていても意味がない。
それよりは小刀とか農機具の方が価値があるんだ」
「ふ~む、しかし、これを農機具なんかと交換したとして、どれ程の数を用意せねばならんか分からんな。
それに今ここに、用意することもできん」
ミスリルの一般的な価値を考えたら、大きな商会以外でないとすぐには取引できないだろう。




