第24話 家(?)を作ろう リターンズ(3)
(一休み……にならなかったな)
苦笑しながら、土の箱の方へと向かった。
(さてと、まずは出入り口を作るか)
高さ2m、幅1mぐらいで穴を開けよう。
「キャンセル」
思った通りの穴が開けられた。
「おぉ、思っていたより、良い感じじゃないか?」
端の方は真っ暗なのでよく見えないが、雨風は凌げそうだ。
(このままだと暗すぎるから、入り口以外のところに窓を作っておくか)
「キャンセル」
大きさ40cmぐらいの穴を開けて、窓の代わりにした。
「あとは…」
地面には小石が転がっていたり、小さな穴があったり凸凹している。
「クレイ」
地面に5cmぐらいの高さで床を作る。
板が未だ無いので、土の床にする。
荷物の中から、解体しておいた鹿の皮を取り出して下に敷く。
(直に座るよりは良いだろう)
何もない所から作ったにしては、十分だろう。
このままだと、雨風が入ってくるから、入り口と窓を何かで覆っておく必要があるだろう。
「ん~、何か良いものが無いかな?」
とりあえず、風が直接吹き込まないようにしておこう。
入り口のところに高さ2mぐらいの土の箱を作って、横と部屋の中の方をキャンセルで開けた。
これで、風が直接吹き込むことはないし、外からの目隠しにもなった。
(思いもせず、玄関にも天井が付いたな。
天井があるってことは、そこから何かを垂らせば良いかも知れないな)
問題は何を垂らすかってことだ。
垂らすと言えば、涎、釣り糸、水滴、毛皮……
毛皮だと、壁と毛皮の隙間が大きくなってしまうだろう。
(小枝を横に並べて紐で繋げて垂らせば、ドアの代わりになるか? 紐の代わりは……木の皮を細くして使えるか?)
さっき倒した木の枝に向かって水の刃を放つ。
幹を切るのに比べれば、枝くらい何てことなく切れる。
枝から更に小枝を水の刃で払って、真っ直ぐそうな枝を集めた。
それを、家の中へ入れておいた。
(紐を作るのは、夜に家の中で作ろう。
今できる他の事はっと……)
暖炉を作って、そこで肉とかも焼けるようにしよう。
暖炉だけを作っても煙突を作らなかったら、煙が家の中に充満してとても居られない。
(この辺に作ろうか)
外へ出て、煙突を付けるところへキャンセルを使って穴を開ける。
これで、中からも煙突の位置が分かるはずだ。
そこへ蓋のない屋根より高い箱を付けて、煙突にする。
今度は家の中に入って、壁が凹んでいる位置を探す。
(これで、煙突の場所が分かるはずだ)
そこをまたキャンセルで穴を開けて、煙突へ穴が通った状態にする。
その前に、前と後ろがない状態で箱をくっつける。
手前側には、レンガを一段だけ積んでおく。
(簡易暖炉の完成だな)
今後はここで肉を焼いて食べられるだろう。
あとは、紐の材料だけを採っておくかな。
森の中へ入って、木の表面がツルツルしている細い木を探す。
木の皮を小刀を使って、5本分を剥いで家に持って帰った。
(これで、あとは紐を作って、木の枝を繋げば扉の代わりになるかな?)
今日のところは、玄関の前に1mぐらいの壁を作って、扉の代わりにする。
こちら側から押せば倒れてしまうだろうが、向こう側からは壁に寄り掛かる形になるだろう。
(これで良しっと……)
簡易暖炉に火を入れて明かりをとるのと同時に、干し肉を枝に刺して暖炉の前で炙った。
木の皮を細く割いて、紐状にする。
1本分を細い紐状にしたとき、干し肉が良い具合に焼けた。
肉を食べながら、更に木の皮を細く割いていく。
全て細かく割いたら、今度は3本を纏めて撚っていく。
これで、少しは丈夫な紐になる。
この紐で枝の両端を繋げていくと、扉代わりのものが出来上がる。
(これを、明日にでも入り口のところにぶら下げるか。
上は魔法で天井に止めて落ちないようにすれば、良い感じになるだろう)
これで、今日やること、出来ることは無くなったはずだ。
鹿の毛皮の上に横になって、寝ることとする。
暖炉の中の火はまだ点いたままだが、火事になることは無いだろう。
周りは土ばかりなのだから。




