第20話 家(?)を作ろう
暫くは洞窟に行って雨風は凌げるだろうが、いつまでもって訳にはいかない。
衣食住のうち、衣は持ってきたものと着ているもので当分の間は大丈夫だろう。
食も今日、明日は大丈夫。
明日は狩りに行こう。
住は……建築の事は全然分からないから、苦労させられるのだろう。
石を積んで土台を作って、木を積めばログハウスの壁になるだろう。
上に積めば、平らだけど屋根にもなるだろう。
実際にはこれだけでは済まないだろけど……
考えていても仕方がない、身体を動かそう。
まずは、家を建てる場所を作るために、木を切ろう。
切った木を積んで、ログハウスに使えば良いだろう。
どうやって切るか?
斧は無い。
剣ではとてもじゃないが切り倒せる気がしないし、切り倒せたとしてもどれだけ時間が掛かるか分からない。
元居たパーティのセトが、物を切ったりしたときに使っていた魔法は確かウィンドだったな。
ウィンド……風魔法……風は目に見えないから、イメージが思い浮かばない。
魔法を使うには魔力とイメージが大切ってヴィーヴルが言っていたし、あの時『ファイヤー』を遣えたのは、火が見えるものだからイメージがし易かった。
何か方法があるのだろから、今度、ヴィーヴルに聞いてみよう。
今は他の魔法でやるとして、『ファイヤー』は火事になるだろうから使えない。
『ウォータ』で水の塊をぶつければ、木をへし折れるかもしれない。
「ウォータ」
20cmくらいの水球が出てきて、それを木にぶつけてみた。
水がばら撒かれた様に木に弾かれて消えた。
(もっと大きくしないと駄目か?)
さっきより多目に魔力を込めてみる。
「ウォータ」
50cmくらいの大きさの水球が現れた。
(ちょっと大きすぎたか?)
木にぶつけてみたが、さっきと同じように弾かれて消えた。
(う~ん、大きくても駄目なら、もっとスピードが必要か? でも、どうやってスピードを早くできるのか? これもヴィーヴルに聞いてみよう)
とりあえず、今の状態では木を切ることができなさそうだ。
どうする? どうやって家を作る?
(木が駄目なら……石積みの家? でも石をどうやって運ぶ? ちょっと大きいような石は持ち運べないし……)
(石が駄目ならレンガか? でも、レンガなんてないし……いや、ちょっと待て、土を固めて壁にできないか? 確かセトも敵からの防御に土の壁を作っていたよな?)
「クレイ」
地面から少しだけ壁が出来た。
壁が生えてきたという表現が適切かもしれない。
(じゃあ、今度はかなり多めに……)
「クレイ」
さっきより大きい1m四方ぐらいの壁が生えてきた。
(もっと多めに籠めないと駄目だな)
「クレイ」
今度は10m四方ぐらいの壁ができた。
(これは、大きすぎた。
加減が難しいな……それに、横長にしないといけないし、厚さが厚すぎる。
ヴィーヴルが言っていた『練習あるのみ』とは、このことだったんだな)
この後、小さい土の塊を何個も何個も作っていった。




