第13話 ドラゴンと遭遇した(2)
『GYAAAAAAAA』(ここは、妾の気に入りの場所である)
ドラゴンが吠えた。
俺は硬直しっぱなしだが……、あれ? 今、ドラゴンの思っていることが分かった?
そうこうしている内に、また、ドラゴンが吠えた。
『GYAAAA』(お主には死んでもらう)
やっぱり分るよな。
気のせいじゃないようだけど、やっぱり殺されちゃうのか。
人間の言葉が分かるかは知らないが、言うだけ言ってみよう。
「俺はここで水浴びをしていただけです。
なぜ、殺されなければいけないのでしょう?」
『GYAAAA?』(お主、通じておるのか?)
「はい、何となくですが分かるみたいです」
良かった。
人間の言葉で通じるようだ。
『GYAGYAAAAAAA』(ふむ、どうやら通じておるようだな)
『GYAAA』(暫し待つがよい)
そう言って(吠えて?)ドラゴンが眩しく輝くと、やがて小さな光へと収束していった。
光の中からとても綺麗な女性が現れた。
全裸で。
「ふぅ、この方が話が早いであろう」
俺は呆気にとられていたが、どうやらドラゴンが女の人に化けたようである。
姿形は一部を除いて、完全に人間の女性そのものであった。
頭に角が2本生えている以外は……
「あの……大変、言い難いのですが、目のやり場に困ると言いますか……服を着ていただけると、ありがたいのですが……」
「ん? お主も裸ではないか。
それに、妾は気にしないぞ」
そう言われて、俺は裸で立ち尽くしていたことを思い出した。
慌てて湖から出て服を着た。
「人間とは何とも不便な物よの」
俺は背中を向けていたので表情は見られなかったが、裸の女性は笑っているようだった。
「それで、お主はここで何をしておったのだ?」
「はい、え~っと、水浴びをしていました。気持ち良さそうでしたので……」
「ふむ、ならば、妾とお主の目的は同じだった訳じゃな」
「と言うと、あなたも水浴びに来られたのですか?」
「あぁ、そうじゃ」
「それでは私は席を外しますので、どうぞごゆっくり……」
「その前にだ、お主に確認したいことがあるのじゃ」
「はい、何でしょうか?」
俺は思わず振り向いた。
その先には、座りながら水浴びをしている美女の姿があった。