第14話 ドラゴンと遭遇した(3)
「失礼しました!」
俺は慌てて後ろを向いた。
「妾は気にしないと申したであろうが、まぁ、良い。
それより、お主は我の言葉が分かったと申したな?」
「はい、何となくではありますが……」
「最初は何と言っていたか覚えておるか?」
「はっきりとは覚えていませんが、『お気に入りの場所』だと仰っていたかと思います」
「ふむ、次は?」
「俺に『死んでもらう』と言うような感じだったと思います」
「成程、確かに通じておるようじゃの」
「では、正しかったのでしょうか?」
「あぁ、合っておる」
「そうでしたか……」
暫くして、美女が言った。
「少しばかり昔話をするが、良いかの?」
「はい、お聞かせください」
「このままじゃ話しづらいだろうから、暫し待たれよ」
美女は服を着た状態で、俺の目の前に歩いてきた。
「その昔、妾達龍の一族と人間は意思の疎通ができていた。
それが、いつの頃か段々と意思の疎通ができなくなっていき、ついには人間には全く分からない状態になってしまった。
その頃には『龍の素材』として鱗や牙、果ては骨までが利用されるようになっていった。
亡骸のものを素材として使ううちは良かったが、徐々に生きている龍を殺して使うようになっていった。
龍と人間、単体の戦いならば龍が負けることはほぼないが、人間は集団での戦闘に長けておる。
また、龍の素材を利用した防具や武器を使われると、戦いは厳しいものとなった。
徐々に龍の数が減っていき、このままでは全滅してしまうことも考えられた。
よって妾達、龍の一族は人里離れた遠くの地で暮らすことになったのだ」
「この湖も隠れ住んでいた一部と言う事でしょうか?」
「いや、此処には誰も住んでおらぬ。
住んではおらぬ故に、妾は偶に水浴びに来ておったのじゃ」
「その、偶にの水浴びに、俺と鉢合わせになったと言う事ですね」
「その通りじゃ。
龍の状態で意思の疎通ができる者がおるとは思っておらなんだで、久々に驚いたぞ」
「俺を殺さなかったのは、どうしてでしょうか?」
「別に、むやみやたらと人間を殺したいわけではないからの。
あの時、『死んでもらうしかない』と言ったのは、妾の憩いの場が奪われると思った故じゃ。
まぁ、驚いたと言うのもあるがの」




