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episode78〜150年前〜

たくさんの作品から覗いて頂き、ありがとうございます。

最後まで読んで下さると嬉しいです!


オレスの身体を癒す事を優先させた一行。


その間、オレスの知り得る情報を教えてもらう事にした。


「私の知る時代の風景… そうね、今から記憶のあった50… いや、本来は150年程前なのね…

その時のアンセクト族の女王も、今と変わらずロクサーヌ様だったわ。でも私の知っている彼女は、それはそれは優雅で毎日自由に飛び回ってた」


「毎日? それは昼間もか?」


「えぇ、昼夜問わずよ」


「それは… 誠か? 現在は満月の時にしか… 」


「そう… 私も先程それを耳にして、とても驚いたわ… 何故月が満ちる時のみにしか、彼女は空を飛ばなくなってしまったのかしら?」


「100年前の大地震と、何か関係があるのか?」


ルクナが、ぼそりと呟く。


「あの大地震? うーん… でも彼女自身は空を飛べるから、それに関してはあまり影響はなさそうよね?」


「では… 月華山の上空にあるという ’喜びの島’ と言われるキティール島が、何か関係していると言う事はないか?」


「… っ!? キティール島!? 何故その島を… え? 待って… 今… 月華山の上空にあるとそう聞こえた気が… 」


オレスはその名を聞くと、非常に驚き上空を見上げていた。


「あぁ、その通りだ。ある信頼する者からの情報だ。しかし、かなり謎が多い。俺達が聞いた話だと、その島へ行くには、月華蝶の力が必要だと…

そこには女神達と呼ばれる者が居ると聞いた。オレスもその島について、何か知っていることがあれば、教えて欲しい」


「女神達ですって!? そんな… まさか… 本当に? しかもあの女王が? 女神達のいる場所へ行く為に、一体… いや、彼女ならそれが可能なのね」


「オレス? どういうこと?」


「… アンセクト族の役割は知っているかしら?」


「様々なものを伝達するという事よね?」


「その通りよ。そしてその長が代々受け継がれている役割もある。それは、繋ぐ事」


「繋ぐ… それは各種族長が違う役割を持っているの?」


「いいえ。全ての長が繋ぐという共通の役割を担っているわ。その方法は異なるけれど、とても重要で尊いものなの」


「つまり、ロクサーヌ女王がその繋ぐという役割を、喜びの島へと?」


「… でも変ね。彼女達に何を繋げる必要があるのかしら?」


「それだけは、聞いてみないことには分からないのよね? 確かに女王と会話が出来る術がないわけではないの。でもそれは… 」


「王子ね?」


「えぇ。ライ王子が次へとその意思を受け継ぐことになり、それは同じ状況へと… 」


「なるほど、そういうこと。彼女らしいわ。息子の為に… その気持ち、同じ母親としてとても痛い程わかるわ」


そして、アルネは自身がキティール島から来た事。

その時には既に、空が開け、そこにあったであろう上半分がなかった事。


その事実を最近知った事や、元の上半分であるキティール島が、元大聖女である女神達と呼ばれる者達によって、現在は月華山上空に位置している事など、知り得た情報をオレスへと話した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そう… アルネ、あなたはキティール島から」


驚くオレスを見て、勘付くようにルクナは言葉を出した。


「その島について、何か知っているんだな?」


「えぇ… そうね… 全てではないけど。あの島は、私が知っている時代には、誰も住めるような… ましてや、空に浮かぶ事のできる島ではなかった」


「誰も住めないようなってことは、それ程荒れ果てていたとか? 確かにその島が地上にあったとは聞いたわ。本来は球体だったとか…」


アルネがそう尋ねた。


「いいえ。アルネが思っているような場所ではないわ。むしろその反対よ。とても美しく神聖な場所。だからこそ、誰も住もうとはしなかった… いや、出来なかったの。誰もが行く事は出来た。地上にあったから。でも住む事は決して出来なかったの」


「え? え? どういう事?」


アルネは頭がもげるのではないかという程に、首を傾げた。


(柔軟な頚椎だな… )


しかし、それを横目で見ていたデイル。


「その島は… 逆さに存在していたからよ… 」


「何だと…? とてもじゃないが、信じられない。想像ができないな… しかし、言っている意味はわかる。確かにそれだと、行く事が出来ても、住むと言うことはかなり困難だな… 鳥、もしくはコウモリなどなら可能かもしれないが、種族ともなると、暮らす事は選ばないだろう」


「そういうことか… 逆さ… ん? 逆さに? 球体なのに何故逆さってわかるの? それに浮かんではいないのよね? それに今は普通の、ごくごく普通の島よ?」


アルネが更に混乱した。


「そうよ、浮かんでいたはいなかった… 頭では想像し難いかもしれないけど、ある点と点で支えられていた… と言うべきかしら?」


「うぉあぁ… 」


(どういう心境の声なんでしょうか?)


次にヴィカが横目に見ながら、それを飲み込んだ。


「つまり、こういうこと…かしら?」


そう言うとアルネはおもむろに、その辺にあった枝を握ると、地面にその ’絵’ を描き始めた。


それを見ながら、オレスは応える。


「そう… ね… 近い… と思う… わ、えぇとても… 」


彼女は、それはそれは優しい心を持っていた。

そしてその場にいる従者達は、全ての感情を飲み込んだ。


「アルネそれを… 」


そう言って、今度はルクナがその枝を手に取った。

そして地面へと描く。


「ん? 同じ解釈よね? 何でまた同じ絵を描いたの?」


(同じ絵?)


「念の… 為だ」


「… ? そう?」


ルクナは、それ以上の言葉が思い浮かなばなかった。


(なるほど、アルネにはその自覚がないのか)


オレスは気を取り直して、話を続けた。


「… それがどうして、空になんか浮かぶ事になったのかしら? しかもあの残酷な女神達が、その島に住んでるなんて… あそこは… ゼアリウス神様の… 」


「ゼアリウス? その名に聞き覚えがあるな… 全知全能の神、ゼアリウスか…  ’神聖な場所’ とそう呼ぶのは、ゼアリウスが関係しているからなのか?」


「サリドナさんが言っていた神様ね。確か姿を変えて、何処かに居るんだっけか?」


「あぁ、この世の何処かに居るという… その存在は形を変えて存在していると」


アルネとルクナは、その名を思い出しながら、再度確認をした。


「ゼアリウス様は本当に偉大な神よ。あの大きな地震の後に、きっと何かが起こったのね… もしかしたら… いや、決めつけるのは早いわね… でも彼女らが、何かしらの形で関わっている気がしてならない」


オレスも当時を思い出しながら、考えを示した。


「その事なんだけど、サリドナさんから聞いた話によると、女神達はある目的のために、キティール島を乗っ取ろうとしていたらしいの。その目的は、心の入れ替えだと聞いたわ。それを阻止する為に、初代大聖女は大地震を起こしたと」


その言葉に、ルクナも後押しをした。


「本来ならばキティール島の全てを奪われるところだった。彼女はその力によって大地震を起こし、キティール島を守った。しかし、上半分は女神達によって天空へと奪われてしまった」


「そんな事が… 何て力なの」


衝撃を受けるオレス。


アルネは何かを思うように空を見つめた。


「一つ…いいかしら?」


「何だ?」


アルネはずっと心に引っ掛かっていた、ある疑問を口にした。


「時間の経過とその大地震のが起きた年が合わないような気がするんだけど… 」


「… 確かに俺もそこは感じていた。皆が言う地が割れるような大地震が起こったのは、約100年程前」


「えぇ。でも大聖女オルフール様はもっと何百年も前の存在よね? 彼女はその後、間もなくして亡くなったと聞いたわ」


その言葉に、暫し沈黙が流れる。

そして、ハルザがある言葉を口にした。


「力を使ったのは、その場でとは… 限りませんよね?」


その場にいた全員が息を飲んだ。


「そういうことかっ… 初代大聖女は偉大な人物。その力は歴代一。亡くなる少し前に力を使った。しかし、大地震が起きたのは、それから数100年後。この事から考えられるのは… 」


「力の効力を数100年後に起こるようにした」


その言葉に重く頷くルクナ。


「そんな… 本当にそうだとしたら。未来を予知してその力を使ったことになるわ。その頃には自身が当然生きてはいない事もわかっていながら…なんて…なんて偉大な大聖女なの。信じられない。誰も想定できない… 」


慎重に言葉を選ぶルクナ。


「もしそれが本当だとしたら、そのせいで… 何万人もの… 種族達が犠牲になったというのか… 許せない。奴らは、一体何をしようとしているんだ?」


しばらく沈黙が続く。


それを破ったのは、アルネだった。


「… でも、まだその奥に何かあるようでならないわ。真実を… 真実を探しましょう! ね? 必ず見つかるわ」


そして更に、その想い空気を明るく照らし出したのは、無邪気に笑う多方からの声だった。

その声達に、重く沈んだ空気が自然に澄んでいく。


アルネはノギジとシェリュウスを見て、ふと思った。


(あぁ… 癒し… ん? ちょっと待って… この子… 少なくとも150歳以上って事!? あ… いや私達の概念で考えちゃダメよね… うん)


アルネは自分を納得し、言葉に出さずに飲み込んだ。


「ねぇ、オレス? あなたが知る、他の種族達の事を教えてくれない? 何でもいいわ。楽しかった事、悲しかった事、おかしかった事、不思議な事、何でも。そうだ! 

私達、数日前まであなた達の古城に行ってたのよ?ほら、ハルザが長年、仮暮らしをさせてもらってたっていう。そこには、たくさんの興味深い本があったわ! それに、こぉんな大きな本も! あれは、あなた達オーガ族が書いた物なんでしょ?」


「ふふ… そうよ。あの大きな本だけは、私とオルが書いたものよ? でも… あれが読めたの?」


「えぇ! ここに居る、秀才従者達が読み明かしたわ! それもたった2日でね!」


アルネは、ハルザとヴィカの肩をガシリと掴んでそう言った。


(褒め過ぎでしょうに… )


(相変わらず力強いですね… )


二人は、そう思いながらも、少し照れた表情をしていた。


「辿々しい翻訳に、なってしましましたがね… オレス殿… 古城にある本に関して、聞きたい事が多々ある。後でご教授願いたいのだが… 」


「私も… あんなに興味深い言語は初めてだ。是非教えを請けたい」


2人は、いつも以上に前のめりに想いを伝えた。


(ふふ、2人ともすごい嬉しそう)


「え! えぇ! もちろんよ! むしろとても嬉しいわ! こんな風に興味を持っていてくれる方が、あの2人の他にも居たなんて… 」


「あの2人?」


アルネはその言葉に、興味を示した。


「そう、私のかけがえない親友だったあの2人。先程、アランとユリスっていうルー族の夫婦がいたって話したでしょ? 

彼らはとても勉強熱心で、様々な事に興味を持っていた。特に力を入れていたのは、多種族の言語よ。何日も何日もあの城で。とても… とっても楽しかったわ… 2人とも… 一体どこに居るのかしら… ? 会いたいわ… 」


(この世界には、写真というものがないのよね… だからこそ、その一瞬一瞬を大切に生きている。とてもかけがえのないその時間を… え? ’写真’ って?)


アルネは、自身のふと思ったその言葉に、違和感を感じた。


そしてそれと共に切なく、とても尊い気持ちになった。


「きっと会えるわ! もちろん確証はないけど… でも… 」


「えぇ、信じましょう!」


オレスはその言葉に、未来を見た。


(やはり俺のいたあの書庫室は、オーガ族以外の… その二人のための部屋だったのか… )


ハルザは、少し微笑みを浮かべた。

そして、ルクナが話を続ける。


「オレス。その本のおかげで、この世に存在する種族達を確認する事が出来た。古城の書庫にて確認できた種族は全部で6種。

ユマン族、ルー族、シレーヌ族、アンセクト族、ヴァンパイア族、そしてオーガ族だ。これで間違いないな?」


ルクナのその言葉に、すぐに反応を示した。


「え? ちょっと待って… ヴァンパイア族? 彼らの著書はあの場にはないはずよ? むしろ彼らの言語は喉から手が出るほど知りたいのに… 一体どうやって手に入れたの?」


その場にいた全員が、空気を読み始めた。


しかし、それを読みながらもわかりやすく、全員が一斉にハルザの方へと目を向けていた。


全員のチラ見が激しい。

もはや、チラ見の限度を超えている。


「え? ハルザさん… が? どうやって手に入れたの? それを解読し… 」


しかしこれまでの恩もあり、情に熱いハルザはその言葉を遮って、正直に応えた。


「… 私です」


「え?」


「私が… そのヴァンパイア族なんです」


「え… 嘘… でしょ? そんな事って… え? 本当に?」


そう言いながら、オレスの手が… 身体中が震えていくのを、その場にいた全員が感じ始めた。


(そうだよな… 恐ろしいに決まっている。生きし者の血を口にするようなそんな… 種族、忌み嫌われるに… )


ハルザの周りの澱み始めた空気を見て、アルネはすかさず援護するように口を開いた。


「あ、で、でもっ! ハルザはとっても良い子よ? 普段から周りも見て行動できるし、ちゃんと自身の力を制御しているのよ? そのために色々と考えてるし! それにねっ… 」


「… っと… やっと会えた!! こんな所で会えるなんて! 信じられない! 秀才中の天才の種族に!」


(ん? あれ? しゅう… ?)


その言葉に、誰しもが驚いた表情を見せる。


一番驚きを表したのは、言うまでもなくハルザ本人だった。


「え? ええと私が… ですか?」


(秀才中の天才? どういう事だ?)


オレスはハルザに歓喜の抑えきれない表情を向け、言葉に渋滞が起こらないように発した。


「あなた方種族は、種族の中でも群を抜いて秀才なのよ! もちろん、種族それぞれ得意な分野はあるわ! それでも飛び抜けて、天才の種族! 

そしてその研究の成果は惜しむ事なく、様々な種族に役立ててきたの。あぁ感動! 後で判をちょーだい! もちろんヴァンパイア族の言語でね! あぁ、本当に今日はなんて日なの!」


しかしながら、渋滞せずにはいられなかった。


「え? え、えと…  ’研究’ ? ’判’ ?」


ハルザだけではなかった。


唖然とする表情が、あちらこちらに点在する。


そして、彼女のその震えは単なる震えではなかったのだ。


オレスのその震えは、歓喜が超越した結果故の震えであった。


その場にいた全員の力が、安堵として抜け始める。


(確かに… 納得する部分はあるわ)


「秀才種族か。そのような存在だったとは… 知らなかった」


(それに… ヴァンパイアの事、自身の事… もっと知る必要があるな… )








最後まで読んで頂きありがとうございます。

突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。

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