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episode76〜違和感〜

たくさんの作品から目を止めて頂き、ありがとうございます。少しでも興味を抱いて頂いたことに嬉しく思います。

最後まで読んで下さると嬉しいです。


こうして、アルネの突飛な提案により、一行は着々と食事の準備に取り掛かかざるを得なかった。


(拘束とか… しなくて大丈夫なのか?)


そう思うネネルトは、アルネの言いつけ通り、親オーガの大きな身体に、傷の手当てを施していた。


側には甘えるように、子オーガが寄り添っている。


その表情にネネルトは、少しだけホッとした。


(まぁ… 子供の前でそんな真似は出来ないか… )


ハルザやシュリはというと、不安を大いに残しながらも、ノギジと河辺に食料となる魚を獲りに行っていた。


(ルクナ様の命令とはいえ、あの場を離れてしまって本当に大丈夫だったのか? それにしても… 子オーガ… 可愛い… 俺も触りたい)


そして、ハルザの可愛いの許容範囲も広がっていた。


ヴィカは、アルネとルクナの護衛に当たっていた。

親オーガの観察兼、見張りだ。


アルネとルクナは、親オーガに寄り添う子オーガのすぐ近くにいた。


「ほんと可愛いねぇ… 名前が早く知りたいなぁ。お腹空いた? もう少しで来るからねぇ、ふふ」


そう言いながら、子オーガを優しく撫でるアルネ。


(可愛い… のか?)


ネネルトはそれを横目に、常に親オーガの警戒を怠らない。


アルネの愛でる顔を見て、ルクナは微笑んで言った。


「すごいな… もうこんなに懐いている… 」


「ルクナもほら… 」


アルネはそう言いながら、その手をそっと持ち上げた。


「あ、あぁ… そう… だな」



ルクナは、その不思議な感覚に少しだけ微笑んだ。


「ふふ… ふふふ」


(嬉しそうだな… )


「それで… 食事をとった後なんだが、一応護衛を二人体制にして、ここで今日は過ごそうと思う。すぐに目が覚めれば良いのだが、親の方は相当傷を負っているのか、かなり身体が辛そうだしな… 時間はかかるかもしれない… 」


「そうね… 少し様子を見ましょう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから、半日以上をその河辺で過ごしたアルネ達。


大きな地響きが身体中に伝わる。


むくりと起き上がるその姿は、今まで見てきた生物よりも遥かに大きかった。

木々を優に超えるその瞳には、敵意は既に消失していた。


足元には、子オーガが甘えるように側を離れない。


アルネは何事もなく、そして種族の壁など無いかのように、普段と変わらない表情で話しかけた。


「あ! お母さん! 起きました!? 身体の具合はどうです?」


(え? お母さん?)


そう思いながら、ヴィカが疑問を投げかける。


「え… と、アルネ様? お母さんとは?」


ヴィカだけではない。

その場にいたほとんどの者が、その言葉の応えを待っていた。


「え? 何言ってんのよぉ! どう見てもご婦人じゃないの!」


(え? いや、どう… 見ても… ?)


(見てわかるのか?)


(父親ではないのか。全然わからん… )


(さすがはアルネだ!)


しかしアルネの意見に加勢する者がいた。


「本当っ! 失礼よ! どう見ても女性の方じゃない!」


そう言うのは、この中で随一を誇る女性の心の持ち主である。


シュリのその言葉に、他の者達が一斉にそちらを見た。


(((え?)))


「お前ら、ほんっと失礼だな!」


更に反対の方から、同意見のデイルの声もした。

一斉にそちらにも首が回る。


「「「……… 」」」


わかる人にはわかるのだ。


すると大きく、そして優しい口調が上空から聞こえた。


「昨日は申し訳ございませんでした」


((((しゃ、喋ったっ!!))))


「息子がお世話になったようで、そうとは知らず… お怪我はございませんでしたか?」


母オーガが、少し屈むように一同へと話しかける。

アルネは通訳のいらない言葉を発した事に、驚くこともなく、そのまま話し続けた。


「いえいえ! お気になさらず、ほんと! 親が子を守るのは当然のことですよ! それにしても、その身体の傷… 大丈夫ですか? 一体何が… ?」


すると、木々達を労わりながら、ゆっくりと腰を下ろす母オーガ。


そして、その心地良い声と口調は、アルネ達の耳に優しく流れてきた。


「はい、私の名はオレス。この子の名はシェリュウスと申します。そして父親のオルが、ある場所に現在幽閉されているのです」


「だ、旦那様が!? それは心配ですね! その場所とは、ここから近いのですか?」


(どうもこの光景に慣れないな… アルネは普通に… 本当に普通に会話しているが… いや、そもそも俺達の方が普通とは限らないか…)


ルクナは、会話の成り行きをアルネに託したまま、様子を伺っていた。


「はい… それが… この先にある森の屋敷の奥深くに… もう50年近くになりますでしょうか… 」


「えっ!? 50年っ!? それは… 長すぎやせんですかいっ?」


(アルネ様… 話し方が… )


ハルザは視線のみを向けた。


「50年ともなると… 既に… もぶっ!!」


アルネは、その無礼な口をすかさず塞ぐ。


そのデイル首には、ついでにアルネの腕が締め付けるかの如く巻き付いている。


「オホホホホ… それは本当に心配ですわね! では… 行きましょうかっ! 一緒に!」


そう言って、アルネは立ち上がると、その手をオレスへと差し出した。


「え… ? 一緒にって… 」


オレスは、到底理解できてないような顔をしていた。


「えぇ! 一緒に! 旦那様が寂しがってるわ! 誰だって嫌でしょう? 愛する人と50年間も会えていないなんて! シェリュウスもパパに会いたいはず… ね?」


アルネは屈託のない笑顔と、親しみを込めて言葉遣いを改めた。


そしてその視線は、幼いオーガへと向けられていた。


シェリュウスは気持ちがわかるのか、寂しそうな声を漏らしている。


ここでルクナが、声を漏らして微笑んだ。


「ふふ、アルネ… それでは説明になっていない… 優しい気持ちが先走ってしまっているぞ?」


「え? あ、ご、ごめんなさい! 私はただ、助けになりたかっただけなの!」


「オレス殿… 我々は今、訳あってこの先にある西の森の屋敷に行く途中だ。そう、おそらくそれは、あなた方の所有する屋敷ではないかと踏んでいる。そしてその場所に、ご主人であるオル殿が幽閉されている… 我々の目的とオレス殿の目的地は、同じという事です」


「えっ!? あの屋敷に? どういう事でしょう!? あなた方は一体… 」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アルネ達は、ある目的のもと、世界中にいる種族達を探しに、ここから南東にある国から来た事、そしてここまでの経緯等を話した。


ハルザに至っては、知らなかったとはいえ、オーガ族の住処である古城を、仮住まいにさせてもらっていたことも話し、御礼と謝罪をした。


それに対し、オレスは大きく首を振り、涙ながらに感謝を述べた。


「… とんでもございませんっ! 仲間を弔って頂き、なんとお礼を言って良いのか… そうですか… トルノが… 彼は、あの城の使用人… と言っても、私が幼い頃から仕えていました。とても大切な家族です。それにしても、幼かったハルザさんが体格の違うあのトルノを… おひとりで?」


「あぁ… はい。そうですね、数日はかかりましたが… 」


「そうなのよ! 十にも満たない少年が、何日もかけて… 彼はこう謙遜してるけど… その数日前に突然の大地震によって、多くの亡骸を葬って来たばかりだったの! その数、何万を越える程のね! それなのに… 」


アルネの興奮と称賛が、ハルザの後押しをする。


「そんな… まさか、あの日にそんな事が!? しかも何万もの種族達が命を亡くした… ? どういうこと? 確かに体験したこともないようなあの地震… 何か変だとは思ってた… でも一体、何が… 」


(何でしょう? この違和感は… 話の辻褄が何だか合わないわ… それにこの青年… どう見ても成人しているように見える… どう見たって十の少年には見えない… )


オレスはハルザをチラリと見ながら、アルネの言葉に多大な違和感を感じていた。


「あの… アルネさん?」


「ん? 何かしら? あ、それとアルネでいいわ。普通に話してくれて構わないから」


(アルネ… ?)


笑顔でそう言うアルネの言葉に、微笑み返しながらオレスは抱いている疑問を投げた。


「ありがとうアルネ。それでなんだけど、少し気に掛かる事があるの。今、 ’大地震’ とそう聞こえたのだけど… ? その… 100年前にそんなに大きな地震なんてあったかしら? そういえば、つい最近も大きな地震があったわよね? 所々地が割れる程の… 確かあの時は… やだわ… 思い出せない… 皆様よくご無事で… あの人も無事だと良いのだけれど… 」


「ちょっと待って? 最近? … って数ヶ月程前の? でもあれは、少し立ってられないくらいの大きさで… その時の地震は、地が割れるような大きさでは無かったわ?」


「え… ? そんなはずは… 」


(震源地がこっちの方だったのかしら? いや、それにしてもそう遠くはないはず… 一体どういう事?)


アルネは、頭が混乱した。


オレスも同じような心情であった。


その時を思い出しながら、アルネ達のその言葉を頭で整理し始めた。


「オレス殿、我々もその地震を含めたその原因を突き止めるために、今ここにいる。この先、すぐに見つかるとも限らないが、少しでもいい、力になってくれないか? 何でもいいんだ。些細な事でも、何か気になる事や、思い出した事があれば聞かせて欲しい」


ルクナがそう言いながら、真っ直ぐにオレスの瞳を見つめる。


「もちろん! 私が力になれる事なら、何でも協力するわ! でも… 少しだけ、頭の中を整理させてもらっても良いかしら?」


ルクナは、もちろんと言うかのように微笑み、頷いた。


オレスは微笑み返すと、再びハルザの方へと顔を向けた。


「それにしても… たったひとりの少年が、その膨大な数の亡骸をだなんて… そう… とても… とても辛かったでしょう? 本当になんて勇敢な子なの… 」


(本当少年には見えないけれど… 何か特殊な体質なのかしら?)


そう思いながら、ハルザの頭部よりも大きなその手は、優しく、敬意を込めて触れた。


ハルザは感じたことのあるような、何とも言えない温かい気持ちに包まれた。


「… とん… でもないです」


ハルザは込み上げるその気持ちを、飲み込みながら言葉を濁す。


(ふふ… 良かったね、ハルザ… それにしても先程から何だろう… この違和感… ? まるでハルザを子供を見るかのような、そんな… )


アルネもその違和感を感じ始めてた。

彼女だけではなかった。


不思議な感覚が纏わり付く一行。


それはのちに、紐解かれる事となる。



最後まで読んで頂きありがとうございます。

突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。

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