episode73〜力の源〜
たくさんの作品から見ていただきありがとうございます。
投稿を再開しました。
リランとの出会いが、アルネにとって大きな一歩となった。
彼女に師として同行を願い出たアルネ。
しかし、その前にアルネの力の安定が大きく傾いていた事に気が付くリラン。
そう、彼女達がすぐに出発しなかった理由は、この通りアルネにあった。
アルネから放出されるその膨大で不安定な力を、制御する必要があったからだ。
このままでは、到底身が持たない。
そう確信し判断したのは、言うまでもなく師であるリランだった。
次の満月が来るまでに、アルネの大聖女なる力の制御を修行させるため、約2週間程その場に留まる事を提案した。
更には、満月にてどのくらい制御できるかの確認もしたかったのだ。
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そして、月が満ちた翌日となった。
日が暮れ、その姿をゆっくりと現してきた球体は、今宵も自身の意思なく力を与えるのであった。
(月に一度の… )
外で待機していたネネルトは、そう思った。
緊張した面持ちの一同。
それはアルネだけのせいではなかった。
満月に影響を受ける者は、他にもいる。
ノギジとハルザだ。
ノギジはいつものように、に首飾りがしっかりとかかっているのが、確認できる。
問題はハルザであった。
一応 ’望みの実’ と呼ばれる月華糖を口に含んではいた。
しかし、もしこの場で本来の姿になろうものならば、非常に大変な事となる。
まだ望みの実なる成果が確定的でない以上、彼自身は警戒を怠らない。
「やはり… 私は外で… 」
そう言うハルザに、アルネは袖を強く引っ張り抵抗した。
「ハルザ、大丈夫だから」
「しかし… 」
その強い眼差しに、リランは反応した。
「案ずるな小僧」
(小僧… )
「この部屋をよく見ろ」
全員が首を回し、部屋中に目をやった。
「窓が… 無い?」
アルネのその言葉に、ほっと胸を撫で下ろすハルザ。
「うむ。そうじゃ。この部屋には窓を造っておらぬ。大聖女だった時の名残でな。月の光りが入らぬようにしておる」
「そっか! それなら安心だね!」
「して、今宵はアルネとわしの2人だけで一度外に出て、その姿を確認するとしよう」
「わかったわ! あぁ、ドキドキする!」
「さて、それでは行くとするか」
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ヤグスの扉。
この世に5つあると言われている特別な扉である。
リランの家に存在しているその小さなヤグスの扉を、潜り抜けるアルネとリラン。
その様子を、少し離れた所から、ネネルトが様子を見ている。
(アルネ様?)
木々の隙間からこちらを見ているかのように、夜空へと浮かぶそれは、今宵も美しい光を保っていた。
「どうじゃ?」
「えぇ… やっぱり強く感じるわ。力が身体中に溢れてくる。でも、いつもと違う」
そう言いながら、アルネはその閉じた瞳をゆっくりと開けた。
身体がほのかに光る。
「まぁまぁじゃな? その帯びたモノを完全に光らせないように出来たら合格じゃ。しかし、あの短時間でようここまでやった。姿は維持できているからの」
「本当っ!?」
すると、悦びの声を上げたアルネの髪が少し伸びた。
「ほれっ! 油断すると維持できなくなるぞ? お主の力はまだ不安定なのじゃから。言わば赤子だ」
「おっと… 」
再度集中するように、瞼を閉じたアルネ。
(バブ… )
「まぁ、あとは常日頃の鍛錬じゃな」
そう言いながら、リランは笑みを溢した。
「ふふ… リランさん、ありがとう」
「礼を言うにはまだ早い… たった2週間の付き合いじゃ。これから厳しくなるぞ?」
「はい! よろしくお願いします!」
それからアルネは、皆がいる部屋へと戻り、その成果を報告した。
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そして一夜が明け、出発の朝となった。
アルネは、急ぎ身支度を整えていた。
リランも出発前の最終チェックを行なっている。
久々の遠出だったため、それはそれは念入りだった。
各々が支度をし終わり、そして出発の時間が来た。
一同がヤグスの扉を潜り抜け、外に出る。
その家は、リランが最後に出ると共に、ザワザワと木々達が根を張るように、その存在を覆い隠した。
「行ってくる」
そう小さく呟く声に、寂しさが入り混じる。
その想いを掻き消すかのように、アルネは元気よく発した。
「行ってきますっ! また来るね!」
その声に一同はビクつくと共に、笑顔が溢れた。
「やかましい娘じゃ… ふふ」
リランの家を出ると、すぐにルクナはこの2週間、部屋の中でどのような修行をしていたのかアルネに尋ねた。
その真剣さ故、アルネは正直に応えようとした。
「まず、ベッドへと横にされて… 目を閉じたわ。目に視えるソレと、目には視えないソレは同じモノだからって。
ソレらを1つの水溜まりのようにして、そこから湧き出るモノを重ねて… 束にする。
そして、1つの線にするんだって… まぁ… 実際には線というよりは、木ほど太かったんだけどね。
リランさんが言うには、気が多過ぎて今はそう視えるだけなんだって。鍛錬を重ねて、その力が洗練されれば、そのうち線ほどの太さになるみたい… よく、わからないけど… 」
しかし、言葉がうまく出てこない。
何と表現して良いのか、アルネ自身も分からなかったのだから。
(マジで、自分が何言ってるのかわからない。なのに、ルクナが理解できるわけ… )
「なるほど… それには痛みは伴わないのか?」
(なる… ほど?)
「え? えぇ、無いわ。それからは、よくわからないの… 集中しているうちに、私自体が溶けるように実体が無くなってしまったから」
「実体が無くなった? それはどう意味だ?」
「そのままの意味よ? 私の身体が液体状になったように… あまり思い出したくないけど… とりあえず気持ち悪かったわ」
「液体状… 」
「そう、再度形成する時に、ナイスバディな身体にしようとも思ったんだけど、そんな事に大聖女の力を利用するなって止められたわ」
そう言いながら、アルネは唇を尖らして不満気にする。
「一体何の為に?」
「え? だって、男の子ってそういう身体付きが好きでしょ? ルクナだってそっちの方が良いと思っ… て」
(あ… )
「俺が?」
ルクナはその言葉を聞いて、目をまん丸くした後、ニタリと笑った。
(あ、まずい… )
「俺の為にか?」
その美しくも怖い笑顔に、アルネは怯みながら、顔を背けた。
「え? あ、いや、違っ、そ、そういうわけでは… 」
「だが、俺の事を思いながら、 ’そういう’ 身体付きにしようと試みたのであろう?」
「あ、まぁ… 少しはよぎったかな? ほんとちょっぴり」
「ふふ… そうか。へぇ… まぁ今は、それでも良いか。期待している」
(一体何の期待よ?)
「… そういえば、その修行中の間に、頭の中に流れ込んで来たの。私の… 大聖女の本来の役割が」
「本来の役割? … リランからか?」
「そう」
「それで? その役割とは、具体的にどういうものなのか分かったのか?」
「うん、大体は… 大聖女は神に近しい存在。その力は神から受け継いだものが、多くを占めると言われているらしいの。まさに奇跡をも起こす存在なんだって。
しかも、時には神よりもその力を上回るとされていて、月が満ちる時にその力は最大値に達するらしいの。
まぁ、私の場合はちょっぴり暴走してたけど… そしてそれにあやかって、種族や精霊達がその姿に影響が出る者もいるらしいのよ。デイルがまさにそれね。でも大聖女は大いなる力を持つ聖女であって、やはり神ではない」
「そうだな… 確かにそれはそうかもしれない。しかし、神をも上回る力か… 」
「世界の均衡が崩れ始めた今、それを収める為に、私達はその種族達を探しているわよね。それには、精霊達の力も必要らしいの。だから私は精霊と知り得ている。これは偶然ではなく、必然。
今まで無意識のうちに、色んな精霊達と接触して来てたから良かったけど… 」
「おそらくそれも無意識ではなかった?」
その言葉にコクリと頷くアルネ。
「しかし、精霊とは接触してるだけだったよな? 何もしなくて良かったのか?」
「うん、その地の精霊を知り、接触するだけでも、私の中にその力は取り込まれるらしいの」
「なるほど… 取り込んでいたのか」
「でも、すべての精霊に接触できているわけではない。様子のおかしい精霊を見つけて、均衡を正すのも目的となるみたい。
そこで、ある精霊を探すといいって言われたわ。まぁ簡単には見つからないと思うけど… 」
「様子のおかしい精霊? その精霊に特徴はあるのか?」
「えぇ、それは ’魔の精霊’ よ」
「魔の精霊? もしかして悪魔の… 魔族なる者か? 彼らを見つけてどうするんだ? 危険ではないのか? まさか、亡き者に?」
「違うわ。どっちかって言うと、その逆ね」
「ん? どういうことだ?」
「そう、その魔の精霊を見つけ出して私がすること。それは、彼らを魔族にすること」
「なっ! 魔族にだと!? 害が及ぶとしか思えん! そもそもそんな簡単に、種族になんてできるのか? またアルネに無茶な力を使わせるのは… 」
「うーん… どうだろう? リランさんもその仕方はわからないみたい。デイルみたいに、パストゥールを種族にして、長年一緒にいるとか? 本人なら知ってるかな?」
(何を呑気な… 魔族と言ったら、どの文献にも良いことは書いてない… 危険過ぎる)
「それでね、私がやるのが1番最適なんだって。 ’今が最適’ って言ってたけど… 」
(今が? どういう意味だ?)
「もしかして、生い立ちか?」
「え? あ、うん? そうなのかしらね? 私の場合、強い大聖女の血をそのまま引き継いでることになるみたいだし。ほら、お母さんがユマンの大聖女だったとか。その力はまさに、神に1番近い力をも持つこととなるだろうってリランさんがね。
そんでもって、精霊や種族達の力を治めて、統一させること、これが1番の私に課せらることになる目的だって」
(神に近い力だと? それだけで到底考えられる事じゃない。おそらく他にも何かその力の要因があるのではないか… 何かまだ隠していることでもあるのか? それとも本当にリラン殿も知らない何かが… ?)
ルクナが思考を巡らせていると、アルネは空を見ながら漏らした。
「魔の精霊ねぇ… 文献にはああ書いてあったけど、全てが本当かはわからないしねぇ」
「でも… やらなきゃなんだろ?」
「うん! そう! 本当に存在するのかも、わからない。でも… 他の種族達だってこんなにいた。生きていた。だから、彼ら魔の精霊だってきっと何処かにいると思うの。
私が… 私が必ず成し遂げてみせる! だから、ルクナ… 手を貸してくれる?」
「あぁ、もちろんだ」
そう言いながら、ルクナはアルネの頬に手を当てた。
その言葉に、ニコリと笑みを溢した。
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突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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