episode35〜再会〜
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そうしてコクシネル達と、一度別れたアルネ達。
満月が満ちるその日に、また落ち会うことを約束した。
アルネ達はノギジ達がいるという、月華山の近くへと向かう。
(月華山の中じゃなくて麓だったのか… すぐに会える場所にいて良かった)
月華山周辺には、見たこともない様々な種類の花々が生えていた。
アルネ達が知っている世でいう森が、木でできているのなら、この辺りの森は花でできているという。
大小様々な花。
そして、多彩な花々が咲き誇るのを蕾として待機していた。
「綺麗… でもまだ蕾ばっかなのね」
アルネは思わず言葉を漏らした。
アディの後について行くと、先の方に小さな草木で作られた小屋のような場所が見えた。
中に入ると、アディと同じような面を被ってる者が、驚いたようにこちらを見ていた。
顔は見えなかったが、アディより少し小さい。
(子供… かな?)
そして何より、髪の色が違かった。
アディの銀髪とは違い、その髪は金色に美しく輝いていた。
面を被ったその少年は嬉しそうに、声を発した。
「兄さん… っ!? 戻ったんだね!」
「あぁ、フレール、遅くなってしまってすまない。変わりないか?」
コクンと頷く金髪の少年。
名はフレール。
そう呼ばれていたのを、しかと耳にしたアルネ。
しかし彼はハルザの姿を見ると、即座に厳戒態勢に入った。
それを制するように、アディは弟の手をそっと下ろす。
「大丈夫だ… 後で説明する」
フレールは、こちらを少し睨むようにしていた。
(あれ? あの女の人… )
アルネに見覚えがあるように見つめるフレール。
そして、アルネ達はその気配を感じ、小屋の奥へと入る。
「ノギジッ!」
ギュッと、力いっぱい抱きしめる。
「アルネッ!? 無事だったんだな!」
「それはこっちのセリフ! あぁ… 本当に良かった! 怪我はない? ちゃんと食べてる? 毛並みは… 」
「あぁ、意外かもしれないが、とても良くしてもらって、この通り元気だ」
しかし安堵したのも束の間、そこにはノギジの姿しかないのに気が付いたアルネ。
「良かっ… ん? あれ? ネネちゃんは?」
「ネネルトなら… 川で… 」
「えっ!? か、川で!? そんな… ネネちゃん… まだお話したい事たくさんあったのに… 」
「まともな会話すら、まだできてませんものね… 」
ボソリと言うその声に、睨みを放つアルネ。
即座に目を逸らすヴィカ。
しかし、その声に表情が一気に明るくなった。
「ん? あ、いや、ネネルトなら川で魚捕ってるぞ?」
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そう言われ、川へと移動するアルネ達。
そこには手慣れたように、川で魚を捕るネネルトの姿があった。
鍛え上げられたその身体は、その無数の傷達がこれまでの彼の生活を物語っていた。
そして何より、外すことのなかった黒い面を外していたのだ。
アルネはその姿を逃がすものかと、ネネルトの方へとその駿足を駆使した。
「ネネちゃんっ!!」
叫びながら嬉しさのあまり、問答無用でその身体に飛びつくアルネ。
その顔を拝もうと必死だったのだ。
命さえかけていた。
嫌がるその身体は、対抗しようとその筋力を駆使しようとしていた。
しかし大聖女には勝てない。
森の精霊を味方につけていたのだ。
(アルネ… こんなことに精霊を使うなよ… )
デイルは、後が怖いので、止めもしないし口も出さない。
「その顔を見るまでは死ねない! 見たら死んでもいいわ!」
「… っそれは… 困ります」
その声に表情を露わにするのを抑えることは、到底できなかった。
「やっと! 話してくれたね! ネネちゃん!」
しかし、それを目の当たりにしてしまったがために、これでもないくらいの拳を握りしめる者が、その嫉妬を殺気へと変えていた。
殺傷命令が下されるその前に、側近が止めに入った。
大切な部下が減るのは困る。
その思い一心だった。
「アルネ様? その辺でやめておいて下さい。せめて、離れて下さい」
「む… 何でよ!」
「部下を守るためです」
(ルクナ様の殺意から)
「私、そんな乱暴な事してないわよ? 食ってかかろうってわけじゃないんだから」
「いや… そういう事ではなく… ほら… 心の問題もございましょう?」
「心の問題?」
(心の… ? はっ! もしかして… 心の… 臓?)
そう思い、アルネはそっと意中のその左胸へと手を置いた。
(え… )
そしてそのまま右の頬を付け、鼓動を聴くように耳を押し当てた。
「ぎゃっ… !」
何とも言えないその声が、大聖女から飛び出た。
同時に嫉妬心も飛び出る。
その腕は、アルネの身体を引き剥がし、自身の方へと引き寄せたのだ。
「… っ!? え? ルクナッ!? なっ… 」
「いい加減にしろ… 」
そのドス黒く濁った声は、言われた本人よりもその周りの者の脳天へと響いた。
「あ… いや、ネネちゃん… 心臓が悪いのよね? だから… 」
「いえ… この通り彼は健康優良人です」
ヴィカが頭を抱えながら、そう応える。
「え? じゃあどうして? ん? どういう事?」
その場で理解していないのは、アルネただ1人だった。
アルネは気を取り直して、改めて会話を試みた。
「ゔゔん… それにしても、2人とも本当に無事で良かったわ!」
既に黒い装束を纏っていた彼は、これ以上は話すことはなく、頷くのみであった。
応えずとも、コミュニケーションを図ろうとするアルネ。
その身体をこれ以上近づけないように、距離を保つネネルト。
この一方通行の感情に、更に違う感情が移入し、絡まっていくこととなる。
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こうして一行は、これまでの事を簡単に話しながら、小屋で待っているアディ達のもとへと引き返した。
その大量の食料を手に持って。
小屋へと入ると、大量の魚を持ったネネルトを見てアディはまだ思っていた。
(黒い種族の青年… 彼は一体何の… )
アルネ達が川辺へと行っている間、アディは弟のフレールにも幽谷での出来事を話していた。
それでも尚、警戒心が拭えないのか、まだハルザを少し警戒して見ている。
しかし、信頼の意を込めて、2人の兄弟はその面をゆっくりと外した。
「改めて紹介する。弟のフレールだ」
アルネはその顔を見て、近づいて… 更に近づいて言った。
「か… 可愛いっ!!」
「アルネ様… 心の声がだだ漏れです」
ヴィカがすかさず突っ込む。
「漏らしてるのよ! 可愛い! フレールだっけ? 私はアルネ!」
彼女の生態を初見のフレールは、思いっきり引いていた。
そう、彼のその身は獲物に狙われているかの如く、怯えていたのだ。
少し、兄アディの方へと身をずらす。
「… さて、これからの事を話そう」
アディの言葉に皆が頷く。
「あと半月ほど先に、フルムーンが現れる。それまで、どうする? 俺達は目的を果たしたから、ここで留まっているが… まぁなんだ… 色々恩もある、それまでここに居てもらってもい… 」
「えっ!? いいの!? ありがとう! では遠慮なく!」
間髪入れずに応えるアルネ。
そしてフレールの近くに寄り、更に言う。
「… 遠慮なく! ねっ! ふふ」
(本当に遠慮ないな)
アディは、そう思いながら頷いた。
フレールはというと、今度はノギジの後ろへと身を隠した。
(満月か… その刻は俺も危険だからな… 近くなったら少し距離を置くか… )
ハルザは何かを勘ぐると、自身の行動も考えていた。
元々は2人で住むような小さな小屋だ。
そこに滞在するには、もちろんのこと、全員は無理であった。
周りに持参していたテントを2つ張ると、居場所を決めた。
通常ならば小屋には、アディとフレールが。
豪華なテントには、アルネとルクナが。
従者用のテントには、その他従者達が使用する。
… 予定だった。
しかし、アルネは小屋でフレールとノギジと寝屋を共にしたいと申し出た。
もちろんルクナは異論を唱えた。
いくら狼の姿である者と子供だからと言って、到底賛成はできなかった。
拒否権を投げたのだ。
(ルクナ? 最近妙に突っかかってくるわね… )
それによって配置替えをし、以下のようになった。
小屋にはアルネ、ルクナ、ノギジそしてフレールだ。
豪華なテントには、アディとシュリの2人が過ごす。
その姿に片目を瞑り、愛を込めたコンタクトを飛ばすシュリ。
アディは身の毛がよだった。
(何でこんなことに… 俺はここで食われるのか… ?)
そして従者用のテントには、ヴィカとハルザの2人が使用する。
デイルとネネルトは通常通り、外で過ごすという選択をした。
そんな中、ハルザが口を開く。
「… 私もネネルト達と同様、今回は外で見張りに徹します」
「え? どうして?」
「私は少し調べたい事がございますので、周りの警護をしつつ、探索をさせていただきます。それに… 」
そう言いながら、フレールの方を見たハルザ。
(あぁ、そうか… ハルザなりに気を遣っているのかな?)
そう思い、アルネがまた突拍子もない事を開始した。
ハルザの腕を取りながら、フレールの方へと近づく。
少しビクッとしながらも、その場に留まるようにした彼の足は、まだ少し怯えていた。
「ルールルルルルル… 」
(ん?)
「ルールルルルルル… フレール? ほら、怖くないよ?」
アルネは、ハルザのその腕を低く前に出しながら、フレールに近づいたのだ。
「アルネ様…? えと… これは何ですか? その奇妙な掛け声は… 」
「しっ! いいからやって!」
(えっ!? やだ! 絶対にやりたくないっ!)
「これは… 本当にやらなきゃダメですか?」
「ほら! ハルザ! 仲良くなるチャンスよ! 命令!」
(横暴だ… )
「ル… ルールル… 」
「いい感じいい感じ」
(俺は一体何をやらされているんだ… )
ヴィカが物凄く気の毒そうな顔をして、ハルザを憐れむように見ていた。
その視線が逆に痛い。
ノギジやデイルは笑いの蓋が、今にも外れそうだった。
いや、既に溢れ始めていた。
しかし、それを見ていたフレールも沸々と笑いが込み上げてきたのか、ついには吹き出した。
「ふふふふふ! アルネは面白いね! それを素直にしているハルザも面白い! ふふふふ」
(素直ではない、決して)
フレールの笑みに、何よりアルネの笑顔が満面に溢れていた。
「へへ! ハルザのこの顔を見て? とても美しいでしょ? 綺麗なの。そう心もね! 私が保証するわ!」
その言葉に、コクリと頷くフレール。
(まぁアルネ様のおかげとしておこう… 一応… )
フレールの反応に、ハルザは少し胸を撫で下ろした。
(ハルザさん… よく耐えましたね… 俺にはわかる、それはあなたの努力ですよ)
そうヴィカは思った。
そしてその夜、アルネは並んで座るその2人の姿を見て言った。
「それにしても、ノギジとフレールって… 」
「あぁ… まぁなんだ… 話を聞いていたら、同じような境遇で… 」
「うん… 一緒に話してるととても楽しい… へへ」
2人は照れるように笑い合う。
(ギャーーーーッ! 可愛すぎる!)
アルネは史上最恐のニタニタ顔をぶちまけた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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