episode31〜面の男〜
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ある事に気が付いてから、アルネの面の男に対する態度が一変した。
「まず、あなた、名は何て言うの? 私はアルネ、この綺麗な男はルクナ、そしてその師匠の豊満なボディーのシュリさんよ。あと従者1のヴィカに… 」
(俺だけ扱いが雑じゃないか?)
「そしてこのかわい子ちゃんはゾルで、私のお供デイル… でもあなたが一番気になっているのが… ハルザなんじゃない?」
(アルネは一体何をするつもりだ? それにしても、綺麗な男か… うんうん)
(ふふ… この作り上げてきたわがままボディーを… わかってるじゃないアルネ)
(かっ、かわい子ちゃんだと!? この俺が!? それにしても… こいつに話なんて通じるのか?)
各々が思う事があるようだが、アルネは気にせず続ける。
「……… 」
しかし、男は名乗ろうとしない。
「あぁ… 名乗りたくないなら、別に名乗らなくてもいいけど… じゃあ勝手に呼ぶね! そうだなぁ… 人型面被りん? それとも、俊敏銀髪イケメンがいいかしら? あとは、ナタ振り幽谷男とか? 睨めっこ負けなしひょっこりなんてのも… 」
((ダ、ダセェ!!))
それを見ていた者達は、少し気の毒に思った。
1人を除いては。
(ルクナ様… 笑ってる… )
しかしその瞬間、やっと男が口を割ったのだ。
「… アディティアだ」
アルネはニヤッと笑った。
「そうっ! アディ! 素敵な名前ね!」
「アディティア… だ」
「それでアディ? 私思ったんだけど… 」
(無視かよ… )
「あなた、ここでコクシネル達を、この先に行かせないようにしてたんじゃない? 彼らを… 守る為に」
「え? 僕達を? 守る… ?」
ゾルが恐る恐る、そして意外な事実を耳にし、驚いた表情で顔を上げた。
アルネはニコリと笑い、そして頷いた。
「あーでも、ハルザを目の敵にしてるのは、目に見えて分かるわ! あからさまにわかる! でもどうして? あ、まだ手は出しちゃダメよ! めっ、だからね?」
アディの強く握る拳が、強まるのを感じたアルネは、宥めるように言う。
「おそらくアディは、この凶暴なバジリスクドンから、あなた達コクシネルを守ろうとしたんじゃないかと思うの。だって、私達には全然殺意を感じないんだもの。いや、むしろ優しいから。ねぇ、ゾルも少しは感じたでしょ? バジリス君から守ってくれた時に、ね?」
(バジリスク… ドン? 君?)
アルネは少し調子に乗り始めていた。
しかし、命名にはまだブレがある。
「え? あ、うん… 確かに… まだ信じられないんだけど、そうかもしれない」
「ふふふ… やっぱり! 最初からそう言えばいいのに! 何年、勘違いされて、恐れられてきたのよ! 口下手なんだからぁアディは!」
そう言って、アルネは慣れ慣れしくも、突然アディの肩をポンと叩く。
すかさず、アディはその身を逸らした。
「いや、まだ俺は何も言っ… 」
「でも、そうなんでしょ?」
「守って来た… と言うのには語弊がある。俺は… ただその先へ行かせない為に、残りのアンセクト族をこれ以上… 亡き者にしない為、行かせないという選択をしたまでだ」
「自分の時間と… その身を犠牲にしてまで?」
アルネは、その傷だらけの手脚を見ながら言った。
「犠牲? そうは思った事ないが?」
「いやそれ! 守ってるに入るから! 語弊でも何でもないよ!」
アルネはその指を、ビシッとアディの胸に当てた。
アディは表情ひとつ変えてはいなかったが、少し困惑しているように見えた。
「全く、自覚なしですか! だから、ゾル… 安心して? あなた達アンセクト族にとって、アディは脅威ではないの。むしろ、守ってくれてた… 言わば守り人ね… あっ! そうだ! 彼を幽谷のイケメン守り人と名付け… 」
「アルネ様、話が脱線しています」
「… そうね。失礼」
ヴィカの制止により、アルネは外した道から戻った。
「んで? 何でアディはハルザを親の仇みたいに、そんなに殺気を突きつけてるの?」
「この男こそが… 全種族の滅亡に手を加えた張本人だからだ」
「えっ!? な、何を言ってるの!? ハルザ… 本当なの!?」
「違います」
「何が違うんだっ!? 実際その血を握っているのはお前だろう!? それが欲しいが為に、残虐を企てたんじゃないのか!?」
今にも切り掛かりそうなその腕を、アルネは掴んで制止した。
「落ち着いて」
(ん? この女、震えているのか… ?)
アルネは必死に堪えていた。
疑いたくない気持ちと、何処までが真実なのかという気持ちが綻び始め、烈火の如く身体中を不安が駆け巡っているのだ。
「ハルザ… 話せる?」
その言葉に少しの間ができた。
「… ここではまだ」
「そう… じゃあ、2人でなら… 話せるかな?」
「……… はい。しかし… ここはルクナリオ様にも、お聞き頂くのが宜しいかと… 」
(ハルザなりのケジメか… )
アルネのその真剣な心と、何かを察したような目を感じたルクナは、その提案に素直に応じた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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