粛正
3ヶ月後
皆国クローディアはYouTuberの歴史を変えた
朝のニュースで彼女の話題が流れ
街は彼女の広告でいっぱいになった。
アイドルステージは彼女のお陰でVtuber事務所の覇権を握った。
皆国クローディア
電能力:1000000
アイドルステージ本社
定例の会議が行われているが、いつもと様子が違う
「シルフィーナさん、最近配信に身が入っていないみたいね?画面の向こうのリスナーさん達のこと、どうでも良いと思ってる?」
「そ、そんなことは…」
「ナニャさん、いちいちアンチに触れるのは感心しないわね。何故貴女にアンチが多いか考えたことある?」
「考えてなかったねこ…」
いつもライバーを褒めちぎっている天空希望ちゃんが皆を酷評している。
どういうことだろう?アイドルステージは業界トップになったし、電能力100万のライバーも誕生した。
鞭を入れるタイミングではないハズだ
「闇谷は皆のことを性的に見過ぎ、キモい」
「おぶぅ!?」
私に辛辣過ぎないか!?なんか批判の方向性が違うし、苗字呼びなの地味に傷つく
結局、希望ちゃんは全員に説教した。
箱トップのクローディアも例外ではなかった
本当にどうしたんだろう?
「さて…」
希望ちゃんが一呼吸置く、皆はすっかり萎縮してしまっていた。
「ここからが本題、アイドルステージがもっと発展するには、どうすれば良いと思う?」
「………」
静まり返る会議室、それもそうだ
さっきまで徹底的に批判されていたんだから
意見なんて出したら何言われるかわかったもんじゃない
「地上波のメディアや海外進出をもっと図るべきだと思うっスね」
クローディア!?こいつは良くも悪くも空気読めないな…
「そうね、それも大事だと思うわ、でもね…ライバーの中に、現状に満足してこれ以上の発展を望んでいない子がいたらどうなると思う?」
希望ちゃんは大きく眼を見開いた
狂気を孕んだ眼球を皆に向ける
「粛正を開始する」
会議室の空気が震えた
粛正?リストラするってこと?
「今日から一ヵ月期間を与えるわ、その一ヵ月で電能力100万以下はいらない」
「クビになるってことねこ?」
「クビになんてしないわ、貴女達は私の子、永遠にVtuberなのよ」
永遠にVtuber?何を言っている?
まさか…
「電死するってことっスね」
「流石に察しが良いわね、クローディアさん」
バンッ!!
大きな音がしたので反射的にそっちの方を向く
「ふざけんなよ!!」
音の主は疾走マイ先輩だ
どうやら拳で机を殴ったみたいだ
「引退するよ!やってらんない!!」
マイ先輩は立ち上がり会議室から出ようとする
それを見た何人かも後に続こうとする
確かに引退した方が良いかもしれない
彼女らが1ヵ月で電能力100万に到達するのは、ほぼ不可能だ。
電死するくらいなら引退して余生を過ごした方が良い
引退すれば電死しないということをマネちゃんから聞いたことがある。
「それは無理だよ」
そう希望ちゃんが呟いた瞬間、マイ先輩の身体が黒い靄に覆われる
「え!?嘘だろ!なんで?」
「言ったでしょ、私は貴女達の親で貴女達は私の子、私の身体を使って産まれてきた貴女達の身体は、私の意のままなの」
「い、嫌だぁ!許してッ!!」
マイ先輩の身体はもはや黒い靄で見えない
一緒に出ていこうとしたVtuber達は慌てて席に戻った。
「一ヵ月後、楽しみにしてるわね」
希望ちゃんを映していたモニターの映像が切れる
「………」
皆、無言で自我がなくなった疾走マイだったモノを見つめている
「おいで…よ」
掠れそうな声が右隣から聞こた
聞こえるハズはない
だって右隣に座っているのは、今や人形になったモモカなんだから
「お…いで」
勇気を振り絞って隣を見る
「おいで…おいでぇ」
視界にはモモカが首を90度回転させて呟いているのが飛び込んできた
左隣に座っていたミコトが私のスカートの裾をギュッと握る
「ミコト…おいでぇ」
モモカの視線は真っ直ぐにミコトを捉えていた。
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