電死
三ヶ月後
アイドルステージでは恒例の会議が行われている
「ヨルカさん、最近の活躍は目を見張るものがあるわ!次は何のゲームをするつもりなの?」
「おっへっへっへっまだ考え中です」
前回より熱がこもった天空希望ちゃんの言葉に私は照れながら答える
闇谷ヨルカ
電能力:280000
鈴原ミコト
電能力:210000
桃空モモカ
電能力:150000
今や私は同期のエースだ
いや、ゆくゆくは事務所のエースになる勢いだろう
「さて…」
最後の一人を褒め終わると、希望ちゃんは少し神妙な趣きをした。
何かあったのだろうか?
「桃空モモカさん」
「はい…」
モモカ?モモカに何かあったのか?
そういえば今日は元気なさそうだけど
ミコトと痴話喧嘩でもしたか?
希望ちゃんがマネちゃんに視線を送る
促されたマネちゃんはパソコンを開きながら皆に話し出す。
「既に知っている人もいるかもしれませんが、桃空モモカさんの規約違反がこの度発覚しました」
部屋のスクリーンにモモカと見知らぬ男の写真が映し出される
モモカの裏垢の内容も表示された
色んな男との情事や、運営批判とも捉えられる内容の書き込み、メンバーの悪口まで書いてある
「くっ!」
隣にいたミコトが悔しそうに呟く
気持ちはわかる
「モモカさん、この内容に相違はありますか?」
「ありません…」
青ざめているモモカは蚊の鳴くような声量で答えた
バンッ!!
ミコトが机を叩いて立ち上がる
めっちゃビクっとしたんですけど
「なんでだよ!なんでこんなことしてるんだ!?私とのことは嘘だったのかよ!」
「…嘘?初めから本気のハズないじゃん、RPでてぇてぇしてんのに本気にしやがってさ、正直気持ち悪くてたまらなかったんだよね」
モモカはもう今までのぽわぽわした喋り方を止めている
声のトーンも低い
「彼氏が買ってくれたカップ割やがってよ!あの後同じの買ったんだからな!」
悪い方向に吹っ切れたモモカの悪態は止まらない
「ん?」
モモカの周りに黒いモヤが湧き上がるのが見える…
「それ以上はいけない!電死してしまいます!」
マネちゃんが慌てた様子で止めに入る
電死?確か前に聞いたような…
「え、何これ?」
モモカを覆う黒いモヤは勢いを増し、彼女の身体の中に侵入を始める
「あああああっ!苦しい!!た、助けてミコトぉ」
「モモカ!!」
ミコトが苦しみ出したモモカに駆け寄る
あんな暴言吐かれたのに聖人かよ
「触ってはいけません!」
マネちゃんが急いでミコトを止める
「離せよ!モモカ、モモっぴが!!」
モモっぴ?陰でそんな呼び方してたんかい
「ああああ!狭いよ!怖いよぉー!!」
最早黒いモヤで姿が見えなくなったモモカは悲痛な叫び声をあげることしかできない
「と、とりあえず救急車呼びます?」
「救急車でどうにかなるものではありませんよ」
マネちゃんがミコトを抑えながら答える
いつのまにかナニャ先輩とシルフィ先輩もミコトを抑えるのに加わっている
やべ、一番近くに居たのにずっと棒立ちだった
どれくらいの時間が流れただろう
10分くらいか?
やがてモモカの悲鳴は消え、黒いモヤも消えた
モモカはうつ伏せに倒れている
見たところ怪我とかはないみたいだけど…
「モモカ?」
拘束を解かれたミコトがモモカに駆け寄る
「んーむにゃむにゃピンクのお餅が食べたいなぁー」
「ふっ」
誰かが思わず吹き出す
なんだ、なんともないじゃんか心配かけやがって
モモカは何事もなかったように立ち上がる
!?
桃空モモカ
電能力:0
「モモカちゃんは残念だけど電死しちゃったみたい」
希望ちゃんは残念そうに桃空モモカのVtuberとしての死を告げた。
遊びは終わりだ




