第十話 バレンタインの終章
後日、ラーヴは本物の『魔術薬の中和剤』をエルヴィンから貰って、見事に回復した。
こないだエルヴィンに教えてもらった調合レシピの『未完草』のない版だ。
勿論、こないだのお詫びだから代金はもらっていない。
流石、エルヴィンさん太っ腹!
「俺、これから、行商人になってファーグランディアを回ろうと思ってんだ」
「すごいね! また、帰ってきたらお土産話を聞かせてね!」
「ああ、じゃあな! 珍しい商品もまた持って来てやるよ!」
そして、ラーヴは旅立って行った。
『いやぁ、見事に解決するなんて、流石芽々さんですね~! 私も参加したかったんですが、忙しくてですね~』
いつも通り、烏羽玉先生は事件が解決してから現れた。今は忙しくないのかとツッコミが入りそうだが。それはご愛嬌だ。
それよりも、芽々は余った薬草の処分に困っていた。
「まだ、薬草がこんなに余ってるなぁ。今度は、ホワイトデーのクッキーの中に……」
「お前はもう料理するな!」
エルヴィンがたまりかねて怒鳴った。
「え~!? どうして!? だって健康に良いでしょ~!?」
「俺が……」
「ん?」
「俺が、芽々の為に特製なクッキーを作ってやるから……なっ?」
エルヴィンが、芽々の髪の毛をさらりと撫でた。
「っ……!」
芽々はエルヴィンの笑顔にすっかり絆されてしまった。なんとなく、誤魔化された気がするけど……。
「う、うん。エルヴィンが作ってくれるならまあいいか~」
『私も滅茶苦茶美味しいお菓子を芽々さんにお返ししますからね! エルヴィンには負けません!』
烏羽玉先生は、一人で盛り上がって帰って行った。
なんだか、ホワイトデーが楽しみ~な芽々なのだった。
◆◇◆◇◆ 第二部第二章完結! 第二部第三章に続きます! ◆◇◆◇◆