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43、如月2月 その3 女の子たちのバレンタイン

 そして2月の14日。バレンタイン当日。女の子が好きな男の子に、または友達に、またまた家族にチョコレートを渡していく。そんな日のあらまし。


「へえ、料理しなさそうに見えるのにね」

ある子は仕事仲間に。

「確かに甘いものほしくなるものねー」

ある子は同僚に。

「手作り!?」

「わあ、おいしそう!」

ある子たちは先輩に。

「私たちにいいのかい?」

あるものはいつもお世話になっている人たちに。

思い思いにチョコレートを渡す。


「兄さんたちも食べる?」

恋と琴が大きなザッハトルテを前にして紅茶を入れていた。今日はバレンタインということでのんびりとお茶会と洒落込むところだった。

「へぇ、恋の手作りかー」

「じゃあもらおうかな」

そうして恋の隣に座る紫苑と津吹。4人分のティーセットが並ぶ。

「しかし、久しぶりねぇ。こうやって4人そろってお茶っていうのも」

琴がのんびりと言うと、紫苑が書類を取り出した。

「まあ俺らがこんなだしな」

そしてその書類をテーブルの上に投げ出す。

「いいのかい、兄さんそれ」

「いいんだよ、もう終わった案件だ」

津吹が投げ出した書類をまとめて見るとそこには新しく立ち上げるのであろうブランドの企画が書かれていた。

「それ、ボツな。企画したやつには悪いが、二番煎じはいらん」

その言葉に琴がため息をつく。津吹も呆れたような顔をしている。

「相変わらず兄さんはそういうとこ厳しいわよねぇ」

「まあだからこそウチなんだろうけどさ」

そうしてパラパラと書類をめくると、そのまま琴に手渡す。琴もそれを見て溜息をつく。

「確かにこれじゃダメねぇ」

「二番煎じどころじゃないだろこれは」

そうやって三人三様で溜息をついていると、お茶を入れてきた恋が戻ってきた。そして3人の様子を見て首をかしげる。

「兄さんも姉さんもなんで溜息ついてるの?」

「いや、恋は気にしなくていいよ」

「おたがい大変ねぇって話をしてたのよ」

その様子に殊更首をかしげる恋。しかし、あきらめたような顔をすると、ソファに座ってお茶を入れ出す。

「せっかくだし、食べて食べて」

そう言っていそいそと切り分ける恋を見て、三者三様で和んでいる。その様子に気づいたのか恋がいぶかしげな視線を送る。その視線に気づかないふりをして紫苑がお皿を手に取る。

「気にするな。それじゃあいただくとするか」

そうして口に入れると目を輝かせる。

「みっさんレシピだから間違いはないはずよ?」

「確かに満君はお料理上手だものねぇ」

のんびりとほおばりながら琴がつぶやく。

 

しばし、まったりした空間に包まれたが、そののちいろいろな方面から悲鳴が聞こえることになったのだった。主に仕事の意味で…。


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