表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎娘ミレーヌが妖精になるまでの物語  作者: 葉裏
第二章 多くの顔持つ女の子
22/52

初めての殺人

きっと父親の血のせいなのでしょうか。

殺されそうになったとき主人公の意思とは関係なく反撃します。

 私も座長のエステニアさんと同じように体を前に乗り出した。

 すると二人の顔の距離がニアミスになりそうなほど近づいた。

 だが私を含めて二人はそんなことも気にせず話の内容に夢中になっていた。

ミレーヌ「実は私は王族の方に何故か追われています。だから逃がして下さい」

座長「えっ、ちょっと……それが私にできることですか?」

ミレーヌ「はい、あなたのできることは二つです。

 私を今の姿とは違う姿にしてくれること。そして、私とここで話したことを誰かに聞かれたら、私があなたの親切な申し出を蹴ってお金も受け取らず夜の部も見ずにさっさと帰って行ったことにしてくれることです」

座長「後の方は簡単だけど、最初の方は時間がないので無理です」

ミレーヌ「そうですね、これから夜の部の準備があるんですものね。

 それでは私が別人になるためのコツだけ教えて下さい。

 後は自分でなんとかしますから」

座長「あなたは後半の舞台を見ているから、それを例にとりましょう。

 幼女になるのは無理です。舞台だから化粧を濃くしても不自然ではありませんが、現実の場面ではまず不可能です。

 次に男装ですが、いくら男装しても身振りや態度や表情でそれらしくしないと、これも難しいです。

 特別な演技力がいるのです。

 極端なことを言うと心の中まで男性にならなくてはうまくいきません。

 残された可能性は老女です。

 顔は法令線が目立つようにすればかなり老けます。

 目尻や口角を下げるようにすること、首や手の艶やかさを隠すために布や手袋で覆うこと。

 でも何といっても若い女性は背中が綺麗です。

 ですから服の中に何か詰め物をして老いた背中にするのです。

 同じように体の線を崩すために、ところどころ詰め物をしたり、紐で縛って姿勢を悪くするのです。

 お尻も腹も垂れ気味になれば良いし、首が前に出て膝が曲がり勝ち、腰もやや前かがみになるようにするということです。

 そして動きを鈍くするために重りを入れたりします。

 こんなところです。

 顔に染みを入れる場合はあまり派手にしない方がばれにくいです。

 髪の毛ですが白髪のかつらが余分にありますから、差し上げます。

 こんなところです。喋りかたまではお伝え出来ませんが自分で工夫して下さい」

ミレーヌ「ありがとうございます。それでは私はこれで失礼します。もう会うことはないと思いますが、これからも舞台を頑張って下さい」

 私はそういうとさっとそこから姿を消すべく全速力で立ち去った。

 そして空いている部屋にこっそり忍び込んでエステニアの助言を思い出しながらさんざん苦労し末、やっとそれらしく老女に変身した。

 そのまま自分が泊っていた宿に行くと村のみんなが食堂を借り切って宴会をやっている。

 私はアリアと言う名で部屋を取り、変装を解いて眠った。

 朝起きるともう一度老婆の姿になってから食堂に行き、村の人の話し声に耳を傾けた。

「おい、ミレーヌさんが昨日とうとう戻らなかったぞ」

「どうするんだ? 高さ調節椅子の代金を持ったままいなくなったら大変だぞ」

「先にロリン村に戻ったとか」

「ありえないだろうっ。夜だからここに戻って来て泊るのが普通だろ」

「そのまま金を持って逃げたんじゃないだろうな」

「ミネルバ婆さんがいるのにそんなことする訳ないだろ」

「何かあったのかな?」

 私はアリア婆さんとして、村の人に話しかけることにした。

ミレーヌ「あのう……あなた方はロリン村の方たちですか?」

「そうだが、何か?」

ミレーヌ「今ミネルバさんの名前が出たので、実は私はアリアという者で彼女の古い友達なんです。

ちょうど今日これから彼女の所に訪ねに行くところでして」

「ああそうかい、いや俺たちもこれから戻る所なんだ」

ミレーヌ「それじゃあ、ご一緒しても良いですか、その村に行くのは初めてなので」

「ああ、良いとも」


 王都は中に入る時は検問が厳しいが、出るときはそうでもない。

 私は村の女衆に混じって王都の門を出て、それから一緒に歩いた。

 みんなから遅れないようにしかも年寄りのようにゆっくり歩くように見せるのが難しかった。

 結局ゆっくりというより、歩く姿勢を悪くする方に神経を注いだ。

 村に着く前に馬で追いかけて来た者がいた。

 あの王子と三人の騎士だ。

王子「ロリン村の村人だな。お前たちはミレーヌと一緒ではないのか?」

「ミレーヌは昨日王都技芸団の舞台を見に来たのですが、遅れてしまい後半だけ見たのです。

 すると座長から用事があると言って呼び出されまして、それっきり戻ってきてません」

「そういえば受付の女が途中から見たので、座長の方から入場料を返すようなことを言ってました」

王子「おかしいな。何故宿に戻らないのだ?」

「彼女は村の工芸品の売り上げを持っていたので、心配です」

「おい、そんなことを言うな」

王子「なるほど、売り上げを持って逐電したと考えているのだな。うむう、わからん女だ。一応村まで一緒に行こう」

「はあ、私どもは構いませんが、村に帰ってきてないかもしれませんよ」

王子「そうだな。金を持ち逃げしたとすれば、村には戻らないだろう。だが一応確かめさせてくれ」


 王子たちはロリン村にも私が来ていないと知って王都に戻って行った。

 きっと座長の方に行くことだろう。

 だがそこで完全に足取りが途絶える筈だ。

 だがどうして王子は私を捜そうとするのだろう?

 たとえ害意がなくても、どちらにせよ面倒な予感がする。

 そして困ったことに私は屑市トラッシュマーケット以外の金もうけを考えなきゃならない。

 それで私は村人にミレーヌの姿で話をした。

「私がこの姿で屑市に顔を出すのはまずいので、誰か代わりに売り子をやってもらえないだろうか?

 村の売り物については今後も相談には乗る積りだけれど、運搬をするのも荷車を使って自分たちで行って欲しい。

 それから男の人たちにはすぐにお金を渡さず不安な思いをさせてしまった。

 今これから配るので、許して欲しい。

 多少金額に色をつけているよ。それじゃあ、順番に並んでください」


 屑市については今後は村の人主体でできるようにすれば良いと思う。

 だが私はそこで慄然とするのだ。

 ふ……冬を前にして、まだまだお金が足りないっ。 

 じゃあ、私はどうやって稼げば良いんだ?

 このままじゃあ、私とミネルバ婆ちゃんが冬を越せなくなる。

 食料は根菜や乾燥野菜や果物、燻製肉はあるが、主食の雑穀や小麦が足りない。

 それはうちの畑では作っていないから村の人から買わなければならない。 

 ましてお茶は村では作ってないから、王都で買うしかない。

 暖房の薪用の丸太も村の木こりから買う。

 若干物々交換もあるが、ここは王都も近いのでお金を使うことが多いのだ。

 それと暖かい衣類は王都で買わなければならない。

 毛皮なら私でも用意できるが、なめしたものや暖房用の毛皮として使うなら村の職人さんにお金を払って加工して貰わなければならないのだ。

 私が一人で生きていた頃は同じ服を何度も洗って着ていた。

 そういう物は、もうみすぼらしく共同体である村では着て歩けないのだ。

 まして私は女として生活してるので、男の振りをして旅していたときとは違う。

 体も洗わずに汚れた服を着て何日も過ごしていたときとは違うのだ。

 今は婆ちゃんも一緒に生活しているから、以前のようにはいかないということだ。

 どうしよう? お金が足りない。なにか屑市を使わずに稼ぐ方法はないか?


 

 エステニアが夜の公演を終えて楽屋に戻ると、いかにも貴族然とした貴公子が待っていた。

座長「来客があるとは知りませんでした。

 すみません、こんな格好で」

王子「いや、気にしなくて良い。お前に聞きたいことがあったので、ここで待っていた」

 エステニアは相手が礼儀正しく夜の部が終わるまで待ってくれていたことに好意を感じた。

 そしてこれが王族だとすると、何人かいる王子の一人だろうと思った。

 けれどもミレーヌとの約束は守らねばならない。

 緊張した心持で尋ねた。

座長「貴いお方が、私めにどんなことをお尋ねでしょうか?」

王子「お前は夜の公演が始まる前にミレーヌという女を呼び止めて何かを話したそうだが、どんな話をしたか教えてくれないだろうか?」

座長「はい、あなた様が仰る通り確かにそういうことはありました。

 もちろんお話しても構いませんが、どうしてそのようなことをお尋ねになるのかお聞かせして頂いても構いませんでしょうか?」

王子「うん、実はその女に色々と知恵を授かりたいことがあってな、もっと会って話したいのだが、何故か避けられて姿をくらまそうとするのだ。

 そういう訳だから捕まえてどうこうするという訳ではないので、正直に話してくれないだろうか?」

 エステニアは王子がミレーヌに害を及ぼそうとするのではないことは理解できたが、王族にとってなんでもないことでも平民にとっては都合の悪いこともあると思った。

 そして何よりもエステニアには一時国中に名を轟かせた絶世の美少女としての名声もあり、今や王都技芸団の看板女優兼座長としての誇りもある。

 ミレーヌと交わした約束を反故にする訳にはいかないと、再度心に決めたのだ。

座長「ミレーヌ様を呼び止めたのは、彼女が入場料を払ったのに芝居の後半だけを見てお帰りになろうとしたからです。

 それならば夜の公演を見て頂くか、お急ぎで見ることができないのなら頂いたお金をお返ししようと申し出たのです」

王子「ほう、それで彼女の返事は?」

座長「はい、彼女はその両方の申し出を断りました」

王子「それは何故だ?」

座長「詳しくは分かりませんが、たとえ半分でも舞台を観ることができて十分満足してるということ、そして急いでこの地を去って遠くに行かなばならないようなご様子だったので」

王子「なるほど。彼女はその他に何か言ってはいなかったか?」

座長「そうですね……ミレーヌ様は後半の舞台を観ただけで、お芝居の問題点をあげて大変貴重な助言をして頂きました。

 その内容は申し上げることはできませんが、あなた様が彼女に知恵を授かる為にもっと会って話したいと仰ったお気持ちが分かるような気が致します」

王子「そうか、ありがとう」

 王子が去った後、エステニアは思った。

 ミレーヌとの約束を守ることは守ったが、舞台への助言のことまで言って、却って王子の彼女への執着を煽ったかもしれないと。

 一方、ミレーヌはそんなことは少しも知らなかった。

 ミレーヌは全く違うことで頭を悩ましていたのだ。

 つまり金の稼ぎ方である。



 私はここ数日王都の冒険者ギルドでCランクの新人冒険者としてお金を稼いでいた。

 もちろん登録時のミレー少年の姿で行くのだ。

 王都に行く前に狩人バッグにイノシシや鹿や狼を入れて、王都が近くなったら荷車にそれらを載せてギルドに直行するのだ。

 獲った獲物は自作の防水布袋に入れて運ぶので、血で路上を汚すこともないし、何を運んでいるかは通行人に知られることはない。

 でもこれを運んでいるところを多くの人に目撃して貰わないと私が魔法のバッグを持っていることが疑われてしまうので、必要なことなのだ。

 まず直接ギルドの裏手に持って行ってから表に回って受付に知らせるのだ。

 そしてそこで計量して値段の査定をして貰うのだ。


 冬を前にして王都周辺の村々に獣害が頻繁に起きる。

 狼が人里近く下りて来るし、イノシシや鹿などが作物を食い荒らすだけでなく、樹木まで枯らすのだ。

 鹿は樹皮を剥がして喰い、イノシシは根を掘って齧る。

 村人が王都に納めるための作物が倉庫ごと荒らされたりすることもあるのだ。

 だから王都のギルドには獣害対策としてこの時期獣を持って行けばいい値段だ買い取ってくれるのだ。

 鹿やイノシシなど、肉も毛皮も売れるのだが、それに討伐料が上積みされるということだ。

 稼いだ金は防寒用の衣料品や調味料その他新しい鍋や食器も買えばすぐ無くなってしまう。

 だから村に戻る前に王都の雑役などを引き受けて金を少しでも稼がなければならない。

 それで商業ギルドに行くのだが、そのときはアリアの姿で行く。

 買い物は後でもできるので取り合えずアリアの姿になる為に物陰を捜して人通りのない所に入って行くと、突然三人の男が後ろから来て退路を塞いだ。

 彼らは武器を持っていたが冒険者ではなかった。

 微妙な服装や得物の違いで彼らが傭兵であることが分かった。

 傭兵は用心棒や私兵が主な仕事だ。

 馬車などの護衛につくこともあるが、彼らは対人戦闘が専門なので、獣や魔物が出て来たときには冒険者の方が使い勝手が良いということになる。

 これから冬ごもりを控えて、戦争などもないだろうし、色々な意味で傭兵の仕事は細々としたものになる。

 そこへ荷車を引いてギルドにイノシシや鹿や狼を持って来て金を受け取っていれば、すぐその噂は広がる。

 しかも、王都では見たことのない地方から来た新人の冒険者だ。

 罠を使ったりした狩りが得意なのだろうということになり、彼らには良いカモに映ったようだ。

 とにかく私は金を持っている。そこに目をつけたということは、殺してでも手に入れて酒を飲むか娼館に行くか賭博をするか、おおよそそんなところだろうと思った。

 その三人は傭兵で人殺しのプロだ。

 私は傭兵訓練を受けているが人を殺したことがないし、殺すのが怖い。

 逃げようと思ったが、あいにく私の背後は行き止まりの袋小路だ。

 彼らは体格も良く力が強そうだ。

 一人はハンマーを持ち、もう一人は戦斧バトルアックスを持っている。

 どちらもまともに喰らえば骨が砕けて確実に死ぬ。

 最後の一人は大剣を持っていた。リーチだけでも私の倍はあるから、私が相手の懐に入る前に武器がこっちに届くだろう。

 だがこの三人の共通点は力任せで武器を振るうということだ。

 しかも小回りが利かない。

ハンマー「それじゃあ、頭でも砕いてやるか」

 ハンマー男が枕ほどもあるハンマーを大上段に振りかぶった。

 男は私の頭目掛けて振り下ろす。

ドスッ

 私が避けたのでハンマーヘッドは地面にめり込む。

 そして私はハンマーの首を足で踏んづけた。当然ハンマーは持ち上がらない。

ハンマー「うっ持ち上がらないっ」

「動くな」

 私は短剣を男の首筋に当てた。

 だが男は笑った。

ハンマー「お前に人が殺せるのか?」

「えっ?」

ガスッ

 その途端私は殴られて数メートル後方の地面に飛ばされた。 

ハンマー「お前は人を殺したことがない目をしている。一瞬の躊躇いが命取りになったな」

 そして男は私を思いきり蹴った。

ドスッ

 私は横たわったまま胴体を蹴られサッカーボールのように宙に浮いて襤褸屑ぼろくずのように地面に落ちた。

 肋骨が折れた音がした。

戦斧「女みたいに弱い奴だな。どけ俺が仕上げに仕留めてやる」

 戦斧バトルアックスの男が私の首を切断しようと振り下ろして来た。

 私にはもうそれを避ける力が残ってなかった筈だ。

 ビキビキーン

 私の肋骨から凄い音がした。

 一瞬砕けたと思った。

 だがその逆らしい。

 私の体が機敏に跳ね起きて勝手にふるさとバッグからハンマーを出していた。

 男たちにしてみれば急に空中からハンマーが現れたと思うに違いない。

 それはハンマー男の持っているハンマーよりも二回りも小さいものだがそれでもハンマーの本来の役割を十分に果たす能力があった。

ガスッ

 その戦斧はヘッドの部分と柄の部分が別物で一体化してなかった。

 振り下ろして地面に食い込んだ刃の反対側の尻刃の部分を私は柄から抜ける方向にハンマーで叩いた。

 そのせいで戦斧のヘッドが尻上がりになって柄の部分と斜めの角度になった。

 また今の一撃でより地面に食い込んだ刃を抜いて持ち上げるのに一瞬間ができたのだ。

ズコーン

 地面から抜いて戦斧を持ち上げようとするところを私の体は勝手に動いていた。

 私は追い打ちをかけるように戦斧の前刃の顎の部分を柄が抜ける方向で叩いた。

 すると錆びて脆くなった楔と一緒に戦斧のヘッドが柄からスポッと抜けて飛んで行った。

 私はすぐに自分のハンマーをハンマー男に向けて投げた。

 と同時に戦斧男の両目に寸鉄を二本突き刺した。

「ぎゃあぁぁぁ」

 ブシッ

 変な音がしたのは私が投げたハンマーがハンマー男の頭に当たった音だ。

 完全に頭蓋骨が砕けたと思う。

 戦斧の男と戦っている私がまさか自分にハンマーを投げつけるとは思わなかったのだろう。

 彼は避けることもしないで頭を血まみれにして砕かれ、倒木のように倒れた。

 違う、やったのは私ではないっ。

 こういう戦い方は知っているが私にはこんな残虐な殺し方はできない。

 知っていることと実行することは違うのだ。

 私の意識は殴られ蹴飛ばされたときからずっと朦朧としている。

 けれど信じられないくらい私の体は機敏に動いているのだ。

大剣「チビだと思って油断していた。貴様魔法も使うな? 何もない所から武器を出した」

 大剣をビュンビュンと振り回して残りの一人がかかってくる。

 普段の私なら絶対相手にできない。

 だが私は助走をつけて咄嗟に体を滑らせて相手の股下を滑り抜けた。

「あ゛あ゛…」

 大剣男は私に短剣で股間を切られ大量の血をボタボタと地面に垂らした。

 私はすぐ立ち上がると大剣男の背中に飛び乗り短剣で喉を掻き切った。

ヒュゥゥゥ

 喉から空気音が聞こえてその後血を垂らしながら男は倒れる。

 私はその前に男の背中から飛び降りて戦斧男の方を見た。

 だが戦斧男は両目から入った寸鉄が脳に達したらしく、体が崩れるように倒れて行った。

 最初に攻撃した男が地面に伏せたときには他の二人も死んでいたのだ。

 そのとき私は誰かに見られてないか周囲を見回した。

 何とかしなきゃいけない。

 でも私はみるみるうちに体の力が抜け、おまけに死体を見て激しく吐いた。

 ここが人が来ないような場所で幸いした。

 私は三人の人間を殺したのだ。正確に言うと私ではない、私以外の何かが私の体を使って、そして私の技術や知識やふるさとバッグの武器まで使って三人を瞬殺した。

 そしてそのなにかはもう私の体を使うのをやめて再びわたしの意識の下に沈んでしまった。

 ああ、お前はいったい誰だ?

 お前はもしかしてもう一人の私なのか?

 大男に殴られ蹴られ骨折して身動きもできない筈の私の体を勝手に動かし骨折も一瞬で直した、お前は何者だ?

 だが問いかけても勿論答えは返って来ない。

 体がひとりでに動いて、それが何かの意志で動かされているとしても、自分とは別の人格の存在は感じない。

 だから私がこの傭兵たちを殺したに違いないのだ。

 どちらにしろ傭兵というのは戦争なども仲間と一緒に行動することが多く、冒険者のパーティなど比べ物にならないくらい大勢の仲間がいるものだ。

 もし私を狙っていた彼らが死んで発見されたら、まず私が疑われるだろう。

 彼らは殺人のプロだから、仕返しに私を殺しに来るに決まっている。

 まず仲間がこの三人だけというのはあり得ないのだ。

 私は体力も残っていずにフラフラしながらも、後始末をし始めた。

 誰かが来る前に痕跡を消さないといけないのだ。

 私は防水布袋を出して彼らの死体を入れ、さらにそれを狩人バッグに収納した。

 その後はふるさとバッグから大量の水を出してくれる水筒で地面に残った血痕を洗い流した。

 さらに彼らの武器もふるさとバッグに収納した。


ここまで読んで下さってありがとうございます。

ユニーク数が四百人を超えました。

うちの町内の人が全員読んだくらいでしょうか?

嬉しいです。

総合ポイントも四十になりました。

がんばります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ