第9話『最強騎士を倒したので、強制的にメイドにしました』
微かな香りと、柔らかな感触が意識を引き戻した。
あたたかい――その事実が、ひどく不気味だった。
心地よい目覚めなど、いつ以来だろう。あの冷たい地面で眠り、夜風と血の匂いにまみれていた日々が、遠い昔のことのように思える。
ふかふかのベッドに、清潔なシーツ。
身体に染みついていた痛みも、疲労も、まるで幻のように消えていた。
まるで夢の中にいるように身体が軽い。けれどその感覚は安らぎではなく、むしろ違和感として胸に残る。
これほどの静けさの裏には、きっと何かがある――そんな直感だけが妙に鮮明だった。
「やっと起きたニャ」
間の抜けた語尾が、現実を引き戻す。
声の方へ顔を向けると、猫耳を揺らした少女が腕を組み、こちらを見下ろしていた。
戦場では見たことのない種族。敵意も警戒も感じられない無防備な視線。
その態度が、かえって腹立たしかった。
「お前は……」
言葉を紡いだ瞬間、記憶が一気に押し寄せた。
轟音、閃光、紅蓮と雷の奔流――空気を焼く魔力の爆発。
そして、あの少年の姿。
まるで神を気取るかのような、恐ろしいまでに無垢な笑み。
全身を駆け巡るのは恐怖ではなく、怒りだった。
あれほどの魔法を受けてなお生きている自分が信じられない。
ゆっくりと身体を起こし、手足を確かめる。焦げ跡ひとつない。
手を握り、開く。指先に血の流れが脈打つ感覚を確かめる。
痛みも怠さもなく、まるで生まれ変わったような感覚だった。
自分の身体をまじまじと見つめていると、その様子を観察していた猫娘が口を開いた。
「特に、怪我は無かったみたいニャけど、一応ご主人様が、回復魔法をかけてたニャ」
無邪気な声が、耳の奥を打った。
その一言に、胸の奥がひどくざわつく。
救われたわけではない。敗北者として、生かされたのだ。
命を握られているという現実が、静かに心を蝕んでいく。
「回復魔法……あの直後に……本当に、末恐ろしいな。あのガキ……」
言葉にしてから、わずかに後悔した。
感情が漏れた自覚があった。
敵を恐れるなど、本来の自分にはあり得ない。
それでも、あの少年の力は常軌を逸していた。
「ご主人様はただの変態ニャ」
場の空気を平然と無視するような、軽すぎる声。
思考が一瞬止まる。
「……変態だと?」
思わず聞き返した。
あまりに突拍子もなく、理解が追いつかない。
“ご主人様”――つまり自らが仕えるべき主を、変態呼ばわり。
この猫娘は何を言っているのだ。
「そうニャ! ただの、ド変態ニャ!」
畳みかけるような断言に、眉がひくりと動いた。
理解不能、というよりも、あまりの無邪気さに反応する気すら失せる。
この状況が、悪夢よりも現実味を失っていく。
「ニア! 変なこと吹き込まないでよ!」
その声が響いた瞬間、空気が変わった。
扉が開き、光が差し込む。
あの声。――あの少年がそこにたっていた。
◇◇◇
扉を開けて部屋に入ると、彼女の視線が鋭く僕を射抜いた。
あの冷たい眼差し――まだ敵としての警戒を解いていないらしい。
「体調は問題なさそうですね」
できるだけ柔らかく声をかける。
彼女は上体を起こしたまま、こちらを睨み続けている。傷はない。だが魔力を使い切った影響か、まだ顔色は万全とは言えない。
「……貴様、なぜ助けた?」
低い声だった。
「約束、覚えていないんですか?」
「約束……? ああ、あれか。たしか、勝てばお前の話を聞いてやる、と」
「いえ。僕が勝てば、“何でも”言うことを聞いてもらう、です」
一瞬の沈黙。
そして彼女の目が見開かれる。
「なっ……! あれは承諾していないぞ! お前が勝手に話を進めただけだ!」
「でゅふ」
思わず笑みがこぼれる。
あの場で見せた冷静沈着な剣士が、今は本気で焦っている。その落差が、少し可笑しい。
「冗談ですよ。さすがに何でもとは言いません。ただ……話はさせてください」
彼女は深く息を吐き、視線を逸らした。
「まったく、勘弁してくれ。……話くらいなら、聞いてやらんこともない」
よし。
僕は一歩、距離を詰める。
「僕の専属メイドになってもらいたいんです」
「……は?」
彼女の眉がぴくりと動く。
「何を言っているんだ、貴様」
呆れと警戒が入り混じった視線が、再び僕を射抜いた。
だが、僕の真剣な眼差しに、冗談ではないと察したのか、彼女は短く息を吐く。
「すまないが、それはできない」
明確な拒絶だった。
「それは、あなたが――セラフィーナ・アーデルハイトだからですか?」
その名を口にした瞬間、彼女の目が大きく揺れた。
部屋の空気が、ぴたりと止まる。
「……なんだ。知っていたのか」
彼女の顔から、わずかな色すら消えていくのが分かる。
セラフィーナ・アーデルハイト。
ノルザーク帝国元騎士団長。
先日、父上と話していたまさにその中心人物。帝国崩壊の引き金となった内乱において、皇帝自らの首を討ち取ったとされる当人でもある。
ノルザーク帝国は北の大森林のさらに奥にある。
地図の上ではそう遠くないようにも見えるが、実際は危険な魔物が跋扈する森を挟んでおり、容易に行き来できる距離ではない。だが彼女がいまだ捕縛されていないと知り、僕は大森林に身を潜めている可能性を考えていた。
そして、あの場で見た剣技と態度。
間違いなく、彼女本人だと確信していた。
「……そうか。そういうことか」
セラフィーナは静かにベッドから立ち上がった。動きに無駄はなく、魔力を使い切った直後とは思えないほど安定した足取りで床へ降り立つ。
「好きにするがいい。ノルザーク帝国の旧貴族にでも引き渡せば、それなりの金にはなるはずだ。命には、いくらかの価値はあるだろう」
至って真面目な顔で言い切るセラフィーナ。どうやら本人の中では、すでに覚悟を決めているらしい。
だが――
「何を言ってるんですか? 僕はそんなこと望んでませんよ?」
僕はにっこりと微笑んだ。
彼女を引き渡して金を受け取ったところで、僕に何の得があるというのか。
「では、何が望みなんだ。まさか、本気でメイドにする訳ではないだろう」
信じられない、という色がはっきりと浮かんでいる。どうやら僕の本気度は、まだ伝わっていないらしい。
「もう一度、改めて言いますが」
僕は真っ直ぐに彼女を見据える。
「僕の専属メイドになってもらいたいんです。これは本心です」
一瞬の沈黙。
セラフィーナの視線が、わずかに鋭さを増した。
「……私の素性が分かっていながら、その申し出は正気を疑わざるを得ないな」
たしかに、彼女の言いたいことは理解している。
ノルザーク帝国は事実上滅亡したとはいえ、旧貴族や残党の影響力は依然として各地に残っている。彼女は今、紛れもなく追われる立場――関わるだけで火種を抱え込むような存在だ。
だからこそ、僕は先ほどあの問いを投げた。
「だから聞いたんですよ。あなたが、セラフィーナ・アーデルハイトだからですか――と」
彼女の眉が、わずかに寄る。
「……どういう意味だ」
「僕が欲しいのは、帝国の騎士団長じゃない」
一歩、距離を詰める。
「あなた自身です」
息を呑む気配。
そして、遅れて理解が追いついたのだろう。
セラフィーナの表情が、初めて大きく揺れた。
「わ……私に、名前を捨てろというのか……?」
「はい」
静かに頷く。
「名前を変えただけで解決する話ではないんだぞ」
低く、諭すような声。
たしかにその通りだ。
名を捨てたところで過去が消えるわけではない。追う者は追うし、火種も残る。
けれど――
「分かっています」
僕は即座に答える。
「これは法や追手の問題じゃない。あなた自身の問題です」
彼女の視線が、わずかに揺れる。
「あなたが“セラフィーナ・アーデルハイト”という名に縛られているのなら、その重荷を下ろせばいいと言っているだけです」
正直に言えば、名前を変えようが変えまいが、こちらはとっくに覚悟を決めている。
彼女がセラフィーナ・アーデルハイトであろうと、別の名を名乗ろうと、降りかかる火の粉は僕が払う。
その程度の責任も負えずに、専属メイドなどと言うつもりはない。
「あなたが負い目を感じているのなら、名前を捨てればいい。そうでないなら、そのままでも構いません」
視線を逸らさずに告げる。
「どちらにせよ、僕はあなたを迎える覚悟です」
部屋の静寂が、重く沈んだ。
「……まったく」
吐き捨てるようなため息。
「貴族というやつはいつもそうだ。こちらの都合など考えもせず、まるで自分のために世界が動いていると勘違いしている」
その言葉は、以前にも聞いた。
だが、少しだけ意味が違う。
あのときは明確な嫌悪が滲んでいた。刃のように鋭く、拒絶を突きつける響きだった。
けれど今は――どこか呆れ、そして半ば諦めたような色が混じっている。
僕は肩をすくめる。
「世界が僕のために動くなんて思っていませんよ」
小さく笑う。
「ただ、僕が動くだけです」
その言葉に、彼女が初めて笑みを見せた。
ほんのわずか、鼻で笑うような小さな笑み。
「……面白いことを言う」
視線が、まっすぐに戻ってくる。
そして、短く息を吐いた。
「良いだろう。そこまで覚悟があるというのならば、貴様に仕えてやる」
「ありがとうございます!」
思わず声が弾む。
「だが……やはり名前は変えるべきかもしれないな」
彼女は静かに言った。
たしかに、僕としてもその方が都合がいい。父上に紹介するにしても、“ノルザーク帝国の元騎士団長をメイドにしました”などと告げれば、それこそ本気で正気を疑われかねない。
「そうですねぇ……」
僕は顎に手を当て、少し考える。
セラフィーナ・アーデルハイト。
その姿の美しさもさることながら、名の響きもまた気品に満ちている。
できれば、その面影くらいは残しておきたい。
「……セラ」
口に出してみる。
「今日から、セラフィーナ改め――セラなんてどうですか?」
彼女はわずかに目を細めた。
「安直だが……まあ、悪くはないか」
その声音は、どこか柔らかい。
「では、セラ」
僕は改めて向き直る。
「これからよろしくお願いします」
彼女――いや、セラは小さく息を吐き、わずかに頷いた。
「……ああ。仕えると決めた以上、中途半端はしない」
その言葉には、騎士としての誇りが宿っていた。
セラの承諾も得た。あとは、いつもの恒例行事である。
「エリーゼ!」
名を呼べば、間を置かず扉が開く。
「坊ちゃま、お呼びでしょうか」
すぐさま駆けつけるその姿勢。さすがは我が屋敷のメイド長だ。
「彼女なんだけど……」
僕はいつものように、わずかに上目遣いで視線を送る。
「お任せ下さい」
即答だった。
セラの整った容姿を前にして、エリーゼの目がわずかに輝いているのを僕は見逃さなかった。
ぱん、ぱん。
エリーゼが手を二度叩く。
すると背後の空間から、いつものようにメイドたちが音もなく現れた。整然と並び、一斉にセラへ視線を向ける。
「ちょっと待て。いったい何のつもりだ?」
さすがは元騎士団長。現れたメイドたちの気配から不穏な空気を感じ取ったのか、困惑を隠せない様子のセラ。
「もちろん、完璧なメイドの容姿へと整えさせて頂きます」
エリーゼが淡々と告げる。
「まてまてまて。私は騎士だ。断じてメイドではない」
セラがこちらを見る。
助けを求めるような視線。
「専属メイドにすると言いましたよね?」
僕は首を傾げる。
その瞬間、セラの顔色が変わった。
どうやら彼女は、“仕える”という言葉を騎士としての忠誠の意味で使っていたらしい。僕は最初から専属メイドにしたいと言っていたというのに、それも比喩、あるいは方便だと思っていたようだ。
「まて、これでは話が違う! 元騎士団長だぞ? それをメイドだと?」
「僕は騎士団長ではなく、あなたが欲しいと言いましたよ」
静かに告げる。
「肩書きではなく、あなた自身を」
メイドたちが一歩、距離を詰める。
「な、なにを……っ」
さすがの元騎士団長も、戦場とは違う包囲網に一歩後ずさった。
「大丈夫です」
僕はにこやかに言う。
「似合いますよ、きっと」
「似合う似合わないの問題ではないっ!!」
その叫びと同時に、メイドたちが一斉に動いた。
「や、やめろ! 貴様ら、近づくな! やめろぉぉぉ!」
必死に抵抗するセラ。
だが、相手は我が屋敷が誇る精鋭メイド部隊である。
セラは数人がかりで取り囲まれ、そのまま廊下の奥へと引きずられていく。
「離せ! 私は騎士だぞ! 剣を持てば――いや、待て、そのリボンは何だ!? やめろ、それは頭に付ける物では……!」
ばたん。
扉が閉まる。
かすかな悲鳴を残して、彼女の姿は完全に消えた。
「あーあ、かわいそうにゃ……」
部屋の片隅で腕を組んでいたニアが、しみじみと呟く。
「でも……すごく似合いそうですよね、メイド服」
プルメアが素直に続けた。
僕は満足げに頷き、静かに扉の向こうを見つめる。
どんな表情で戻ってくるのだろうか。
その姿を思い浮かべながら、僕はセラの帰りを楽しみに待つことにした。
◇◇◇
セラが連行されてから、そう時間は経っていなかった。
僕が満足げに紅茶を啜っていると、控えめなノックの音が扉越しに響いた。
「クラウス様、準備が整いました」
静かに開いた扉の先には、完璧な立ち居振る舞いで一礼するメイド長、エリーゼの姿。
「でゅふw、ありがとうエリーゼ。それじゃあ……いよいよ、お披露目の時間だね」
「ええ、ご期待に沿えるかと」
エリーゼが一歩下がり、手を差し伸べて扉を大きく開く。
――そして、そこに現れたのは。
不機嫌そうに口を結び、頬を引きつらせながらも、完璧に着こなした黒と白のメイド服姿のセラ。
陽の光を柔らかく受ける金髪は、肩よりやや長めに揃えられており、艶やかに揺れている。メイド長エリーゼによって丁寧に整えられたその髪には、小さな黒いリボンがひとつ――控えめな装飾が、かえって凛とした美しさを際立たせていた。
すっと通った鼻筋に、鋭さを残した瞳。そして、唇をきゅっと結んだ表情には、どこか不機嫌さと諦念が混ざっている。けれどその反抗的な目つきすらも、彼女の強さと誇り高さを物語っていた。
その体には、エリーゼ特製の白黒のメイド服。高級仕立ての布地は体のラインを自然に引き立て、スカートの裾からは、鍛え抜かれた太ももが覗く。戦場を駆け抜けてきた者だけが持つ無駄のない筋肉のしなやかさが、メイド服の清楚さと危ういほどに調和していた。
「ふ、ふざけるな……! 誰が、こんな格好で……!」
怒気を帯びたその声も、どこか上品で耳に心地よい。
「でゅふっ……!」
僕は思わず、鼻の奥が熱くなるのを感じていた。
なんだこの破壊力は。戦場の花にメイドの清楚を加えた禁断の融合……!
「すっごく似合ってるにゃー」
ニアが、思わずぽつりとつぶやく。
「はい……とても凛としてて、綺麗です……!」
プルメアも頬を染めながら、そっと見つめる。
「でゅふふふ……ようこそ、“僕の専属メイド”へ。セラ」
「この辱め、絶対に忘れんからな……!」
顔をそむけて吐き捨てるように言うセラに、僕は内心でガッツポーズを決めていた。
◇◇◇
我が息子、クラウスは至って優秀だ。
最近は次期領主としての自覚も芽生えたのか、領内の問題にも積極的に関与し、領民たちからの評判も上々。
さらに魔法の名門ヴァイスベルグ家においても、その才能は群を抜いており――十歳にして「神童」と呼ばれるほどである。
……だが、最近どうにも様子がおかしい。
猫耳の猫獣人を専属メイドにしたかと思えば、今度は人形のスライムを従魔にし、メイドに仕立てているというのだ。
本人は真面目そのものだが……もはや常識の範疇ではない。
せめて、人間の専属メイドでも雇えば――などと考えていた折、クラウスが言った。
『新しく“人間の”専属メイドを雇ったんです! ぜひ父上にご紹介を!』
ついにまともな感性が戻ってきたのかと、私は久しぶりに心から安堵した。
――その日の午後。
「トントン」
「入っていいぞ」
扉が開き、クラウスが顔をひょっこり覗かせる。
「父上、お時間ありがとうございます!」
「ああ。構わない。……新しい専属メイドを雇ったのだろう? 早く紹介してくれ」
紅茶を口に含みつつ、優雅にティーカップを傾ける。
さて、ようやく常識的な感性を持った清楚で礼儀正しい――そんな理想的なメイドに会えるだろうか。
「では――セラ、入ってきて!」
クラウスの呼びかけに応じて、扉の向こうから一人の女性が現れた。
完璧に着こなされたメイド服、金色の髪を美しくまとめた立ち姿。
その凛とした佇まいに、思わず息を呑む。
……うむ。これは期待できそうだ
そう思った矢先――彼女は一礼し、顔を上げた。
「ぶふっっっ!!?」
口に含んでいた紅茶が、盛大に吹き出された。
「く、クラウス……どういうことだ?」
「はて? どういうこととはどういうことですか、父上?」
まるで本当に分かっていないような顔で、息子が首を傾げる。
「……こちらが、僕の新しい専属メイド“セラ”です!」
「……セラ、か。……一応、確認するが。セラフィーナという名前では――ないんだな?」
「はい! “今は”セラです!」
“今は”って言ったな!?
私は震える手で、必死に紅茶を拭いながら、なんとか言葉を絞り出す。
「そ……そうか、違うのか……うん、なら……いい……」
だが――次の瞬間。
「私はメイドではない! 誇り高き騎士だ! たとえ姿を繕われようと、この心が変わることはない!」
セラが堂々と言い放った。
「セラ、何を言ってるのかな? でゅふふふ……では父上、そういうことなので!」
まるで何も問題はないと言わんばかりに、クラウスがセラを押し出しながら部屋を後にする。
……その姿が扉の向こうに消えていくまで、私はただ、呆然と見送るしかなかった。
そして、静かにティーカップを置き、頭を抱えた。
「……間違いない。あれは“セラフィーナ・アーデルハイト”。」
ノルザーク帝国――かつて一大勢力を誇った帝国の“剣姫”。
皇帝を自らの手で討ち、帝国に反旗を翻した、元帝国騎士団長。
今もなお、残党や旧貴族から命を狙われているはずの、危険人物中の危険人物だ。
そんな人物を――“専属メイド”にしてしまうなど……。
――息子よ。お前のメイド人選、どうなっているのだ……。
……もう、知らなかったことにするしかない。
そう、あれはセラ。断じてセラフィーナなどではない。
――はは……ははは……はぁ……。




