結婚式
結婚式当日は暖かい日になった。天気の良い青空の下で私たちの特別な1日を迎えることができて嬉しい。
ふんわりとしたAラインのウェディングドレスを着てシルバーのタキシードを着た隼人さんの隣で幸せ。挙式をして結婚指輪を交換して嬉しいと思うと隼人さんも嬉しそうに笑っていてもっと嬉しくなって。そして披露宴が始まった。
お父さんが飾り付けしてくれた緑がたくさんの会場に私たちを見守ってくれたみんながいて、ここでもまた幸せだなと感じる。
隼人さんが挨拶をして始まった会食のような披露宴。プロの人が進行してくれて乾杯をして食事が始まった。そして写真ムービーを流す時になり、私はマイクの前に立って話をする。
「みなさん、本日はお集まりいただきありがとうございます。今から私と隼人さん2人の写真をご覧いただきお話を楽しんでいただきたいと思いますがその前に私からお話をさせてください。私は高校1年生の夏休み、隼人さんに初めて出会いました。男の人なのに綺麗な人だと思いました。それから優しく笑う笑顔が素敵だと思いました。昔から映画やドラマが好きで恋愛ものも大好きだったのに自分の気持ちには中々気付きませんでした。だけど隼人さんに会える日は嬉しくて会えない日は寂しくて、会いたくて先生のお使いを早く終わらせて走って隼人さんの元にかけていったりこっそりバスケットをしてる隼人さんを盗み見たりしていました。私はすごく鈍感かもしれません。それが恋だと気付きませんでした。だけどある日隼人さんに恋してると気付いた私は同時に大きな勘違いをして私と隼人さんはすれ違ってしまいました。すれ違ったまま私たちは遠く離れ、そして長い時を経てこうして並んで歩んでいけるようになりました。ただ1つの大きな勘違いで隼人さん、隼人さんの大切なみなさんを傷つけてしまったことは変えることができませんが、見守り続けてくださったみなさんに恩返しがしたいと思っています。一番は私と隼人さんが幸せに過ごすことだと思うので私は隼人さんと一緒に小さなことでも大きなことでも喜べるような幸せな家庭を築いていきます。まだまだ未熟者でみなさんにはご心配をかけてしまうことが多々あると思いますがどうぞこれからも変わらず、私たちを見守っていただければと思います。よろしくお願いします」
拍手を聞きながら隼人さんの隣に戻ると私の大好きな笑顔で待っていてくれた。スピーチの練習だと言って何度も付き合ってくれていたのに目に涙をためている隼人さん。
「隼人さん、幸せ?」
「幸せだよ」
「幸せだね」
写真がゆっくり流れるとテーブルにあるマイクでみんなが思い思いに喋る。
「あー見てーキャンプの写真ー!!」
「みんな見てるに決まってるよ」
お義母さんに隼人さんがすかさず突っ込む。
「見てーわー小学校のミニバスの写真ー」
「だから見てるってば」
「まあまあ、これ家族みんなで応援に行ったよね」
昴くんがそう言うと若菜が昴くんからマイクを奪う。
「昴に騙された!!みんなでこーんな大きなケーキを食べに行くよって言われた!!」
「ケーキじゃないってわかった若菜試合見ないで学校の正門にいて不貞腐れて、試合が終わった隼人くんに噛みつきに行ったよね」
「美味しくなかったー!!」
「当たり前だろうが、この馬鹿」
「は、隼人さん……若菜、このあと大きなウェディングケーキが食べれるよ、美味しいよ」
若菜は早く食べたいと言いながらお肉を食べる。残念だけどケーキが出てくる時間は決まってるから待っててねと私は言う。
続いて私の小学生の時のマラソン大会の写真が映される。
「あれ?椿が一等賞?」
ゴールテープを切る私の写真に由紀が言うけどそうではない。お母さんが説明してくれる。
「これは最下位の写真よ。遅すぎで途中で止めようとする椿に先生がゴールテープをやってあげるって言ってくれてどうにか頑張ったのよね」
「恥ずかしいって言って次の年からは真ん中くらいでゴールできるようにしてたよね」
「これは中学の体育祭ね。部活動対抗リレー」
「どうして文化部なのに走らないといけないのかな、走りたくないなって直前まで言ってたよね」
「お母さん代わりに走ってくれないって言って、無理に決まってるでしょって」
「ちゃんと走ったんだから良いでしょー!!」
私と対称的に隼人さんがバスケで活躍する写真が映ったりして高校時代の写真になった。
「これは私と椿ー!!」
「餃子フェスに3人で行ったよね。僕がこの写真撮ってる」
「なんで昴が椿と楽しくお出掛けするんだよー……」
「私もいるー!!美味しかった!!」
これはどこどこの餃子フェスと言って、次に写し出された写真にこれはどこどこの餃子フェスだねと話をする。その次の写真も。
「餃子フェス多くない?」
「この時期よく今日はここのってよく聞いてたわよね」
優菜さんが呆れて彩華さんが笑う。そして大学時代の写真も映し出して由紀たちや智也さんたちが面白おかしく話してくれた。
そうやってムービーが終わるとお色直しをしてミントグリーンのドレスで会場に入る。
ケーキ入刀をしてそのケーキを食べながら私と隼人さんはみんなの席に座る。まずは家族みんなの席。隼人さんのおばあさんとおじいさんの間に座るメアリーちゃんがすごく綺麗だって絶賛してくれた。そして竜二さんや佳代子さんたちの席。美織ちゃんが絵本のお姫様みたいだと言ってくれた。そのあと間宮さんを含めた友達の席。
「黒髪の間宮さんって違和感ありますねー」
「大学生の時の写真と比べて別人でしたよ」
「お前らは変わらないよなー」
「それより間宮さん、椿に変なこと教えないでください。この前はナンパの極意とか。いらないですから」
「仕方ないだろ、興味あるって言うんだから」
「面白かったよ?」
「もー……知りたいなら仕方ないけどー……」
「椿はもっと旦那さんを喜ばせる方法を聞いたら良いんじゃないの?」
「そうだよー椿女子力ないし」
「むしろ旦那さんの方が女子力高い」
「隼人ダイエットだの節約術だのですごい知識を集めてるよな」
「おかしいなー私が教えたんだから私も女子力あると思うなー」
「椿はがさつ」
「もー千恵酷いよ」
「隼人はなんでも吸収するよねー教えたらダーツもスキーもなんでも完璧なんだもん」
「へーすごいですね!!さすが旦那さん」
「椿の平凡さが際立つ」
「千恵の毒舌がさっきからいつも以上だね」
「あー確かに。……あ」
「久々にあれかな?」
「あれってなに?」
隼人さんに聞かれて私は千恵のおかしな癖を話す。
「千恵恋をすると毒舌がいつも以上に炸裂するの」
「そ、そうなの?えっと、間宮さん?」
「俺?良いよー」
「ちゃらいのは嫌です」
「えー酷いなあ」
「智也は婚約者がいるんだけど」
「天然は椿で十分」
「私で十分ってどういう意味ー?」
「え、僕なんで振られたんだろ」
「じゃあ拓也?」
隼人さんが言うと千恵は分かりやすく赤くなる。
「拓也さんなんだー!!」
「え、俺?」
「おお、千恵の3年ぶりの恋!!」
「ちょっとちょっと、拓也さんにだって婚約者とか彼女さんとかいるかもよ」
「拓也この前別れたばかりだよ。やったね拓也、千恵さんどう?」
「え、どうって言われても」
「拓也さん、千恵の3年ぶりの恋です。お友達からお願いできませんか?」
「ちょいちょい。愛子も椿も3年強調するな」
「だって3年だよー」
「ここに7年枯れてた女がいる」
「枯れ……そんなことないよー千恵の意地悪!!」
「拓也、チャンスだよ。千恵ちゃん冷静だし冷たい拓也と相性良さそう。僕が拓也のID教えてあげるよー」
「おい、勝手に教えるな。自分でやる」
「おお!!」
「わー拓也が自分から動くなんてミラクルだね」
拓也さんは千恵と連絡先を交換した。なにか始まると良いな。
そしてお母さんお父さん、お義母さんお義父さんへ感謝の言葉と花束を渡しお開きになった。
私と隼人さんの結婚式はこうして終わった。
「あー今日の椿世界一綺麗だったね」
家に帰っても幸せそうに携帯を見つめてる隼人さん。
「今日のじゃなくていつもだけど。でも美しすぎちゃったよ。どうしよう」
「どうもしないよ」
「幸せな1日すぎて一生分の幸せを使い果たしたかも」
「何言ってるの……明日も明後日も毎日ずっと幸せだよ。言ったでしょ」
「そうだね。……あーでもしばらく小さな幸せを積み重ねていきたいよ。大きな幸せだとどんな反動が来るのかと思っちゃう」
「えー……もう。大丈夫だよ」
「こういう幸せが良いな」
そう言って軽く触れるだけのキスをしてくれる隼人さん。
「……それだけで良いの?」
「な……今日は積極的な椿の日?」
「積極的な女の人苦手?」
「椿ならどんなでも大好きだよ。やっぱりさっきの撤回」
そう言って深いキスをしてくれた隼人さん。私の誕生日は幸せに過ぎていった。




