コツの前に自己紹介
2019年8月16日内容修正しました。
料理とワインがきて乾杯をしてから木村さんが自己紹介をする、お義父さんがもうしたと言い、困っていると関さんが改めてみんな自己紹介してからにしようかと言ってくれた。
「あ、その前に私でも良いですか?」
「そうだね、もちろん良いよ」
私は咳払いをして自己紹介する。
「椿です。隼人さんとは高校1年生の時に出会って皆さんご存知だと思いますが私が勘違いしていろんなことがあって先月結婚することができました。たくさん心配してくださって、見ず知らずの私のことも気にかけてくださって私たちのことを見守ってくださってありがとうございました。結婚祝いで送ってくださったお酒もとても美味しかったです。ありがとうございました。ほとんど隼人さんが飲んでしまいましたけど。でも本当に美味しかったです。えっと、私は今すごく幸せです。隼人さんとこうして一緒にいられて世界一幸せです。悲しくなったり不安になったりして、多分これからも隼人さんが大好きだからいろいろあると思いますがずっと隼人さんと一緒にいます。なので皆さん長いお付き合いになると思いますがこれからも見守り続けていただけると嬉しいです。よろしくお願いします」
「うう……!!」
え!?なんで!?木村さんが泣き出してしまう。
「ね、僕の娘良い子でしょ」
「琉依にはもったいないな」
んん?それは彼氏、旦那さんに対して言ってくれる言葉ではないかと昇さんの言葉に首をかしげてしまう。
「椿ちゃんは良い子だろ」
「竜二さんが知った風に言わないでください。まだ直接会ったの2回目じゃないですか」
「講義の時含めたら3回目だ」
「女の子って可愛いですね、関さん」
「うん。でも萌香は身近な人間には翠に似て高飛車なところがあるから……。椿ちゃん良いなあ」
「あげないですからね関さん。椿ちゃんは僕の娘です」
どうしよう。なんだかみんなしんみりしちゃってる。助けを求めようと隼人さんを見る。隼人さんはみんなに声をかける。
「親父、椿は俺のだから。俺のお嫁さん。で、親父の義理の娘だよ。椿は俺と結婚しただけで親父の娘になったわけじゃないよ」
「な……隼人さん。本当の娘みたいに思ってくれてるってだけだから。私もわかってるよ」
「親父は馬鹿だから子供が増えたと思ってるんだよ」
「隼人の意地悪ー。僕だってそんなことわかってるよ。良いんだよー僕たち元々9人家族で世間一般とは違うんだから僕がそうだと思ったらそれがうちでの常識なのー」
「親父……」
「あ、あの……えっと、隼人さん、私嬉しいよ。嫁姑問題とか旦那さんの家族とうまくいかない人たくさんいると思うけど私はこんなに温かく受け入れてもらえてすごく嬉しい。けどもっと距離を置いた方が良い?」
「そんなことないよ。ごめん」
「ううん、良いよ」
隼人さんが嫌なことはしたくないけどお義父さんもお義母さんもみんなも優しいからみんなと仲良くしたい。隼人さんがわかってくれたみたいで安心する。
「あー心が洗われる気がするー」
「今回だけ木村に同感です」
「椿ちゃんこちらこそこれからよろしくね。ここにいるみんな同じ気持ちだよ。椿ちゃんが隼人くんと一緒になれて幸せになってくれて嬉しい。妻たちも含めて大勢で一気に騒がしくしてごめんね。でも椿ちゃんに会えるのすごく楽しみにしてたんだよ」
関さんの言葉にみんなが同じ思いだと頷く。
「私賑やかなの好きです。嬉しいです。もっともっとみなさんのこと知りたいです」
「うん、じゃあ自己紹介に入ろうか。って言っても俺と昇と小林と木村だけで良いんだよね。じゃあ俺か「じゃんけんにしましょうよー!!」」
さっきまで泣いていたとは思えないほど明るい笑顔で木村さんがじゃんけーんぽんと言って4人が手を出す。その結果小林さん、関さん、昇さん、木村さんの順番になった。木村さんはショックを受けてしまった。ど、どうしよう。みんな全然気にしてないみたい。
「じゃあ僕から。小林です。琉依の同級生で会社で副社長をしてるよ」
「小林さんは奥さんが強すぎて家でも目立たないんだ!!」
木村さんがそう大声で言う。木村さんは立ち直りも早いみたい。面白い人だな。
「え、僕目立ってない?目立ってないのは木村でしょ」
「小林さんだって地味だよ!!加代子さんは派手派手なのに!!」
「あー加代子さんに言っちゃうよ」
「琉依さんの裏切り者!!」
「加代子さんは原色が好きで洋服が派手なんだよー」
「はい、次は俺ね」
「え、自己紹介になってないんですけど……」
「時間がないからサクサクいかないと」
「椿ちゃん食べながら聞きなね」
「料理はどうですか?」
竜二さんと村岡さんが言ってくれる。
「ありがとうございます。すごく美味しいです」
「良かったです」
「俺の仕事とか妻と子供の話は聞いてるよね」
「はい、聞いてます」
「俺はこいつらの保護者なんだ。竜二もね」
「竜二さんは親父で関さんはおかんだよ!!」
「木村みたいな煩い子供がいたら嫌だ」
「大学時代からいつも言われてるんだ。世話が焼けるからつい面倒見ちゃって。嫌いじゃないから良いんだけど。困らせられたら俺に言ってね。力業は竜二だけど諭すのは俺の役目だから」
「椿、本当に関さんは頼りになるからなにかあったら関さんに言いなね」
「ぶーぶー!!誰が困らせるんですか!!」
「木村ですよ」
「村岡もだよ」
「俺をこの馬鹿と一緒にしないでください」
「じゃー次は俺だな」
「昇さんの話もつまらないので桜さんの話にしませんか?」
「なんでだよ!!」
「桜ちゃんと昇の馴れ初め聞いた?」
「関さんまで乗ってるし!!」
「き、聞いてないです……」
なんかみんな自由だなあ。
「桜さんも由緒正しきお嬢様なんですけどだからこそこの粗暴な昇さんに惚れてしまったんですよ」
「俺は粗暴じゃねえ」
「昇が慣れないパーティーで社長として頑張って振る舞ってるところと美香と喋ってるところを見た桜ちゃんがね、美香と2人になった時に先ほどお話しされていた粗暴な喋り方の男性はお知り合いなのって。美香が僕の親友だって翠さんたちも知ってるって言ったら卒業してからも親交があるのに全然知らなかったって。男らしくて素敵な方ねって言うから美香がすぐにみんなに言ってね」
「びっくりしたよ。翠に全員集合って言われて竜二もアメリカにいた俺も招集されて」
「あれは今思い出しても最悪な地獄だったな」
「ほんとですよ!!翠さんたち怖すぎです!!」
「木村空気読めてなかったでしょ」
「そう言う小林さんは空気になってました」
「美香が僕のパートナーとしてパーティーに出席するようになった年だから美香と桜ちゃんが18……いや、19になってたかな、その時に昇と桜ちゃんが初めて話してね。だけど興味持たれた昇は全然気にしてなくて。木村くんもだけどまったく好意に気付かなかったんだ。お馬鹿だよね」
「琉依に言われたくねえ!!」
「けどそれから1週間も経たずに桜さん昇さんに告白したんです」
「だけど昇酷いんだよ」
「こんなお嬢様と付き合うなんて考えられないって断ったんだよ」
小林さんの言葉に驚いてしまう。昇さん桜さんを振ってるんだ。
「そしたら翠さんと加代子さんとかこさんから大バッシングでさー!!面白かった!!」
「木村面白がるな。俺でも不憫だと思った」
「竜二はこれはさすがにって昇とサシ飲みするためだけに帰ってきたからね」
「けど桜ちゃんもめげなくてね」
「昇に俺は社長は社長でもこれまで通り素朴でごく普通の一般家庭でのんびりやっていきたいからお嬢様と暮らしていくことは考えられないって言われてね。付き合うことと結婚を一緒に考えてくれるなんて本当に素敵な方ってますます惚れて。琉依と美香ちゃんが同棲してた狭いアパートに行って暮らしを観察したり料理教室に通ったりしてたよ。それで、桜ちゃんの一生懸命さとかに昇が惚れて付き合うことになったんだよ」
小林さんは当時の様子が面白かったのか楽しそうに教えてくれた。
「そうなんですねー。桜さん昇さんのこと大好きっていう感じでしたから今でもラブラブなんですね」
「え!?そ、そういうことじゃ!!」
「昇が赤くなってる!!さすがへたれだねー」
「まだ全然飲んでねえ!!」
「怖いよねー翠たちのグループメッセージのやりとり」
「俺たちの悪口ばっかりに決まってるだろ。あいつは俺の悪いことしか言わない」
「隼人くんのこと大好きな奥様のグループだから母親の美香ちゃん入ってない方のグループなんだよね?」
「へ?2つあるんですか?確かにお義母さんは入ってないですけど」
「沙織が美香さんには刺激が強すぎる話とかきわどい用語が入ったりすると美香さんには聞かせられないからって言ってました」
「沙織ちゃんが言うのがまた面白いよね。美香ちゃんの7つ下、翠さんとはもっと離れてるのに。加代子も沙織ちゃんはそんなに年下に見えないって言ってる」
「翠さんたちが通ってたお嬢様学校すごいんだ!!学校の外でのパーティーの話とか親の会社の話とか個人的な容姿とか知能とかとにかくいろいろバチバチするんだって!!僕はそんなとこ行きたくないなー」
「女子校だから行けないですよ。馬鹿木村」
「なんだとー!!」
「まあまあ、だから年齢問わずあそこの卒業生はいろんな意味で強いんだよ。ふわふわしてるようでガツガツしてたり。ああ、沙織ちゃんの不思議ちゃんは美香の影響が多少あるけど」
「そういうわけで純粋な美香ちゃんには聞かせられない話をしてるからえげつないことを話してるんだろうなって。さ、自己紹介も終わったし「僕が終わってないですよ!!」ああ、そうだったね」
「関さんわざとらしいですよ!!」
「ごめんごめん」
「つーか俺の話全然してねえ……」
「なに言ってるんですか。昇さんはヘタレだってよくわかったじゃないですか」
「おい喧嘩売ってんのか」
「椿ちゃん、このワインも飲んでみる?」
「え、あ、ありがとうございます。竜二さんもどうぞ」
「ありがとう」
「椿ちゃんお義父さんにもー」
「ふふ、はい。お義父さん、どうぞ」
お義父さんにワインを注ぎ終えると隼人さんと目が合う。ムッとしてるみたい。大変、私なにか怒らせるようなことしちゃったのかな。
「とにかく最後に僕の自己紹介!!」
「待ってください。次の料理来ました。椿ちゃん、これがうちの一番人気の料理です」
「んー!!お肉が柔らかくて美味しいですー!!」
木村さんごめんなさい。これが一番高い料理だと思ったら手が動いてしまった。
「こんなに美味しい料理食べたことないです!!」
「ありがとうございます。本当に美味しそうに食べてくれますね」
「だろ。椿ちゃんは美味しそうに食べる天才だ」
「りゅ、竜二さん……本当に美味しいんです」
なんだかくすぐったいな。竜二さんたちは優しくてぬるま湯に浸かってるみたいになっちゃう。
「おーい!!僕の自己紹介!!」
「もう面倒だから木村は良いんじゃないか?」
「竜二さん酷い!!」
「まあまあ、あれだよ。昇と小林くんと木村くんのことは昴に聞いたら良いよ。ね、今日泊まるんでしょ昴の家」
「昴と若菜の家だよ!!」
どうしたんだろう。隼人さんが声をあげる。
「隼人自分で今日は昴の家に泊まることに決まったからうち帰らないって言ったじゃない」
「そうだけど!!でも若菜もいるよ!!」
あ、もしかして隼人さん若菜と仲良くする気になってくれたのかな。一緒に住むこと前向きに考えてくれてるんだし。
「はい、ストップ。椿ちゃん今隼人くんがなにを考えてるか考えてごらん」
関さんの言葉にみんなの視線が私に集まる。




