沙織さんと美織ちゃん
私と隼人さんが村岡さんの家につくと沙織さんと美織ちゃんが明るく迎えてくれた。
「いらっしゃーい!!」
「いらっしゃいいらっしゃい!!」
「こんにちは」
「つばきちゃん!!」
誕生日プレゼントに送った黄色いドレスを着てステッキを手にしている美織ちゃんはくるくると回って見せてくれた。
「みおかわいー?」
「うん!!とっても可愛いよ!!ね、隼人さ……隼人さん?」
隼人さんは玄関にしゃがんで顔を両手で覆ってる。可愛い可愛い可愛すぎて辛いと呟いてる。
「隼人さん……」
隼人さんは子供ができたらとっても溺愛するんだろうな。
「つばきちゃーんだっこー」
「あらあら、抱っこなんて最近言わないのに。椿ちゃんもできないですよね」
「だっこー!!」
「大丈夫だと思います。良いんですか?」
「はい。お願いして良いですか?」
両腕を向けてくる可愛い美織ちゃんを抱っこする。
「可愛い椿と可愛い美織のツーショットだ……どっちも可愛い」
隼人さんは立ち上がって美織ちゃんの手をにぎにぎしながら呟く。嬉しいんだけどそんなに感動しなくても良いのに。
「美織良かったわねー椿ちゃん無理しなくて良いですからね」
「大丈夫ですよ。親戚の子は抱っこしてお出掛けもしたことありますし」
2才の時の話だけど、と思う。4才はやっぱり違うんだなー。でも抱っこせがまれたらしちゃいたくなる。お母さんになるには筋肉もつけないといけないな……。
「みお、俺のとこおいでー」
「はやとくんのとこー!!」
「ふふ、はい。隼人さんのとこ」
隼人さんに美織ちゃんをゆっくり渡す。
「ん、この前より重くなってる」
「はやとくんのばかー!!」
「え、な……」
隼人さんと美織ちゃんのツーショットも良いなと思ってすぐ隼人さんの言葉に美織ちゃんが暴れて手に持っていたステッキで隼人さんの頭を叩く。
「美織駄目よ!!め!!」
「たいして痛くないから良いですよ」
「こういうのは教えないと駄目なんですよ」
「おんなのこにおもいっていったらだめなの!!」
「え、4才なのに体重気にする?」
「きれいなレディーになるのよ」
「関さんか親父の影響?みんなそんなにダイエットしたいの?」
「きれいなレディーにならないとライバルにまけちゃうの!!」
「ライバル?どういうこと?」
「まことくんがすきなこはたーくさんいるの!!」
「まことくんって誰!?」
「美織は今真くんに恋してるんです。真くんは女の子に人気な男の子なんですよ」
「真くん!!男!!美織に!?」
「付き合ってないですよ。好きな子です」
「そんな馬鹿な!!まだ4才!!」
「は、隼人さん落ち着いて。最近の子は早いって言うよ」
「えー!!そんなの駄目!!」
「だめじゃないよー」
「あっ!!みお!?」
美織ちゃんが暴れて隼人さんは慌ててしゃがんで美織ちゃんをおろす。美織ちゃんはパタパタと走る。
隼人さんの手を引いて沙織さんに続いてリビングにお邪魔すると美織ちゃんが額に入った写真を見せてくれる。
「まことくんみせてあげる!!」
「がーん!!」
お誕生会かな?おめかしした美織ちゃんが隣にいる男の子の頬にキスをしてる。
「隼人さん……頑張って。美織ちゃんも恋するお年頃になったんだよ」
「みおのおたんじょうかいだよ!!これがまことくん!!」
「おかしいよ。付き合ってないのにキスしちゃ駄目」
「ざんていいちいだってまことくんがいってくれたよ」
「おかしいおかしい。そんな男はやめた方がいい」
「まことくんはかっこいいよ」
「俺の方がかっこいいよ」
「はやとくんもかっこいいけどまことくんもかっこいいよ」
「ついこの前まで俺のこと好きって言ってたのに」
「はやとくんもすきー!!まことくんもすきー!!」
「二股は駄目だよ」
「ふ?」
「隼人さん……。美織ちゃん、真くんってどんな子なの?」
「かっこよくてあたまがよくて、うんどうもできてね、おんなのこにモテモテなの」
「そんなやつは性格が最悪に決まってるよ。どうせ性格が悪い口が悪いで取り柄は容姿だけなんでしょ」
「ちがうよ。まことくんれいぎただしくていいこねってママがいってるよ」
「それは繕ってるだけだよ」
「つくろってる?」
「本性は最低な男だってことだよ」
「そんなことないよ。まことくんおたんじょうかいこれくれたよー」
そう言って首にかけられていたビーズでできたネックレスを隼人さんに渡す。
「アクセサリーをプレゼントだなんておかしな幼稚園児だな」
「美織ちゃんネックレス可愛いねー良かったね」
「うん!!」
首をかしげる美織ちゃんに私は言う。美織ちゃんは真くんが大好きみたい。もっときれいな女の子になったら彼女にしてあげると言われたと喜ぶ美織ちゃんに隼人さんはまた、そんな男は止めた方が良いと言う。隼人さんはすっかり拗ねてしまった。
「ほら美織ー椿ちゃんと隼人くんに絵をプレゼントするんでしょーそれにお礼をする練習もしてたでしょ」
「するー!!」
美織ちゃんは沙織さんから画用紙を受け取ると私にくれた。
「おたんじょうびのプレゼントありがとー!!みおはえをプレゼントするよ」
「ふふ、どういたしまして。ありがとう。ほら隼人さん」
「うう……可愛い」
落ち込んでいた隼人さんは絵を見て感動してる。
「はやとくんげんきになった?」
「真が美織にふさわしいか俺が見定めるよ。だって椿には俺以外の男は絶対駄目だけど美織には美織にふさわしい俺が良いと判断した男なら良いって思ってるんだから」
「うん、それは良い考えだよ隼人さん。だからネックレスを強く握っちゃ駄目だよ。壊れちゃうよ」
「こんなもの……」
「隼人さん」
「……わ、わかってるよ。俺が駄目って言ったら駄目だから」
「美織ちゃんが好きなら良いと思うけどなー」
「それで本性が最悪な野郎だったらどうするの?美織が騙されちゃうよ」
「大丈夫だよ。良い子そうだよ」
「椿は誰でも良い人に見えちゃうでしょ」
「そんなことないよ」
「ねえ、椿ちゃん写真撮りましょー」
「え?あ、はい」
突然沙織さんにそう言われて戸惑うけどみんなに見せてあげますと言われて沙織さんとツーショットで撮り、そして美織ちゃんを間に私と隼人さんとでも写真を撮った。
それから私たちは村岡さんのお店へと向かった。バスに乗って移動中隼人さんは難しい顔をしてる。
「まだ気にしてるの?大丈夫だよ。良い子だよ」
「これは親離れじゃなくてなに離れだろ……」
「なんだろうね……でも美織ちゃんも成長してるんだよ」
「だいたい幼稚園児で付き合うなんて……」
「そういう子もいるよ」
「椿も?」
「私の初恋は隼人さんだよ」
「椿は俺離れしないでね」
「しないってば。ずっと隼人さんだけだよ」
「それなら良いけど。はあ……どうやって真の本性を暴いて美織に真をやめさせよう……」
「趣旨違っちゃってる……。美織ちゃんもいつかは誰かとお付き合いするんだから」
「でもいくらなんでも早すぎると思うんだ。例え真がすごく良いやつだとしたら小学……そうだな、6年生になるまで良いお友達関係でいるならそれから交際を認めてあげよう」
「隼人さん……」
そんなこと言ってたら美織ちゃんも反発しちゃうと思うけど隼人さんはまだ受け入れないぞという感じだから今はなにも言わないでおこう。美織ちゃんにそんな風に言って嫌いとか言われたら本当に立ち直れなそう。




