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すれ違い  作者: 麻沙綺
15/15

伊織side6


頼のマンションを出て、琉生の車に乗る。

車内は、会話が無くカーステレオから流れてくるDJの声が響く。



その静けさの中。

「琉生…。ごめんね」

沈黙に耐えられなくなって、私はそう口にしていた。

「何が?」

冷たい声音で、思わぬ返事が返ってきて戸惑う。

怒らせちゃった……。

それでも口にせずには要られなくて。

「勝手に行方を眩ませたこと…と逃げちゃったこと……」

始めのは、家を出て連絡しなかったことに対して、後のは今日の事に対してだった。

それと。

「ちゃんと事情を聞かなかった私が悪いね」

さっきの説明を聞いたら、仕方ないなって思ってしまったもの。琉生らしいって…。

私も、久し振りのデートが嬉しくて浮かれていたから、あの現場を見て頭に血が上ってしまっての行動だったから…。衝動的に動くのはよくないって、改めて勉強させてもらった。

「変な勘繰りをせずに、琉生に聞けば良かった…。そしたら、こんなにも胸を痛めることなかったのに、ね」

また、涙が浮かんで手の甲に落ちる。

本当に情けないな……。

琉生の手が延びてきて、頭に優しくポンポンする。

「伊織の泣き虫は、治りそうにないな」

優しい声で言ってくる琉生。

泣くのは、琉生の前だけだもん。

「…ヒック。私だって、泣きたくて泣いてるんじゃない…んだよ」

自分の感情がままならないんだもん。

「伊織…。ごめんな。今まで不安な思いさせて……。オレたちの事、話しても良いよな。何かあったら、オレが護から」

その言葉に琉生の方を見る。

真剣な横顔で前を見てる琉生に。

「う…うん」

って、返事をしていた。

琉生とすれ違うのはもう嫌だったから……。

二日間離れただけで、愛しさが募っただけだった。

それだったら、堂々と宣言した方がいいと思って頷いた。



家に着き、リビングのソファーに座らされた。

「ちょっと、待ってろ」

琉生はそれだけ言い残して、リビングを出ていく。

何を言われるんだろうと、そわそわして待ってると。

「伊織……。この間渡せなかった"モノ"今渡させて……」

って、いったい何の事やらさっぱりで、琉生の行動を見ているしか出来ない。

すると、目の前に琉生が来たと思ったら、膝間付いて。「今回の事で伊織には不安にさせてしまったかもしれない。だけど、オレは伊織とこれからの一生を一緒に生きていきたいと思う。不甲斐ないオレだけど結婚してください」

と、真剣な眼差しに少し甘くなってる目許が、私を見つめてくる。

これって、プロポーズ!!

琉生は、手にしていた小箱の蓋を開けて見せてくれる。

それは、前に雑誌で見つけていいなと思ってた指輪だった。

覚えててくれたんだ。

感激して、両手で口許を押さえてしまう。

そして、出てきた言葉は。

「私…でいいの?」

だった。

他の人とは違うと思っていても、愛されてる自信がないのだ。

「伊織しか要らない」

と堂々と宣言する琉生の言葉を聞き。

「…はい、……宜しくお願いします」

って、消えてしまいそうな声しか出なくて、彼にちゃんと伝わっているか不安になる。

その不安は、彼の行動で払拭された。

琉生は、私の左手を捕るとその薬指に指輪を嵌めてくれたから。

「伊織……。一緒に幸せになろうな」

って言葉と口付けが私の目許に落ちてきた。



その後、違う意味で啼かされたのは、ご愛敬。





これにて、完結です。

読んでいただいて、ありがとうございました。

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