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どこかで、誰かの恋がはじまる  作者: 芦名 雅


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第23話 インタビュー:わたしたちの、はじまりの話

どこかで、誰かの恋がはじまる


【地域情報誌「くらしと暮らし」六月号 特集「町のカップルに聞く、なれそめ」より】

――本日はよろしくお願いします。お二人は、同じ町内会の夏祭り実行委員で出会われたとお聞きしました。

田中たなか(夫) はい。三年前の夏祭りで、僕が実行委員長をやることになって、副委員長として来てくれたのが、今の妻です。

田中(妻) 最初の印象、正直に言っていい?

田中(夫) ……いいけど、なんか嫌な予感がする。

田中(妻) 「この人、仕切りたがりのくせに、肝心なところで頼りない」って思ってました(笑)。

田中(夫) ひどいな。

――第一印象からのスタート、面白いですね。そこからどう関係が変わっていったんですか。

田中(妻) 実際に一緒に準備を進めていくうちに、頼りないって思ってた部分が、実は周りに気を配ってるからこその余裕のなさだったって、だんだん分かってきたんです。屋台の配置とか、細かいところまで、ちゃんと考えてて。

田中(夫) それは嬉しい評価だな。俺は逆に、最初は「気の強い人だな」って思ってたんだけど、意見がぶつかるたびに、ちゃんと理由を説明してくれるのが、すごく信頼できるなって感じてました。

――お互いの印象が、少しずつ変わっていったんですね。転機になった出来事はありましたか。

田中(夫) 祭り本番の前日、台風が来て、準備が全部やり直しになったことがあって。みんな疲れ切って、雰囲気も悪くなってたんですけど、そのとき妻が、率先して率先して声をかけてくれたんです。「ここまで来たら、やるしかないよね」って。

田中(妻) あのとき、田中さんが黙って一番大変な力仕事を全部引き受けてたのも、印象に残ってます。口では弱音吐かないタイプなんだなって。

田中(夫) その節は、腰を痛めました。

田中(妻) 病院、私が付き添ったよね。

田中(夫) あれがまあ、正直、告白のきっかけだったかな。

――そのときのことを、詳しく聞かせてください。

田中(夫) 病院の待合室で、妻が「無理しすぎ」って怒りながらも、ずっと隣にいてくれて。そのとき、ふと、この人がいてくれる生活って、悪くないなって思ったんです。

田中(妻) 私は、単に委員会の仲間として心配しただけのつもりだったんですけど……帰り道で、いきなり「付き合ってほしい」って言われて、びっくりしました。

田中(夫) 勢いだったな、あれは。

田中(妻) でも、断る理由もなかったので。

――素敵なエピソードですね。最後に、これから出会いを探している読者の方へ、メッセージをお願いします。

田中(夫) 第一印象で決めつけないことですかね。俺たちも、最初はお互いあんまり良い印象持ってなかったので。

田中(妻) あとは、一緒に大変なことを乗り越える経験って、意外と大事だなと思います。祭りの準備がなかったら、多分、今の私たちはなかったので。

――本日はありがとうございました。来年の夏祭りも、お二人の活躍を楽しみにしています。

田中(夫) 今年は、僕らの結婚報告も兼ねて、また実行委員やる予定です。

田中(妻) 今度は、ちゃんと台風、来ないでほしいですけどね(笑)。

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