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置き去りにされた人達の心情や如何に?

 界を渡ってまで追うは業。

 己の思慕の募るがままに。

 幾ら慕えど拗らせ様と、力無きモノが追える筈も無い。

 追えたは、一握りの上位種――――――だがしかし。其の強大な力を以てしても、彼らが慕う主の降り立つ場に上手く降りる事は至難の業で……博打を打つ様に、彼等は垣間見た地の気配を読んで降りて行く。

 芸術畑に突如現れた新星として。

 経済界の若き旗印として。

 其々が其々の個性に合わせて舞い降り行く中、一つ、何の変哲もない学校生活を営まんと舞い降りた力の塊。

 其れこそが当たりを引き当てる存在であるのだが、其の時は誰もが己こそが当たりであると信じて降り立ったのだ。


 そして。

 そして、不可思議な其の世界で。

 彼等は特異な空間で漸く、己の唯一の光と再会する事が出来たのだった……。




 ああ、永き孤独よ。

 漸う己の主と蜘蛛の糸程に細く頼りないと謂えど、確かな繋がりに狂喜乱舞していた彼等の元に、其の報は齎される。



 ――――――闇姫、薨去。



 呆然とした。

 愕然とした。

 例え人の身に窶そうと、彼の存在は強く大きく、人の手に因って摘まれる様な脆弱な存在ではない。

 だが。

 だが、しかし。

 彼の存在を潰したのが忌々しくも己の世界で闇姫の興を引いた人の子の王子……其の存在を重複させる特異点たるモノであると知れてからは、最早絶望の叫びをあげる気も起らなかった。

 彼の存在は――――――輝かしき闇は、何らかの意思を以て自分達を此の地に留めたのだと知れたが故に。

 術で作り出した疑似生命体とは云え、人の世に人の身を持った以上、此の身の生が尽きる迄、彼らは此の地を抜け出せない。

 勿論、彼の闇の様に此方の世界で彼方でも有力な生き物の魂と同調している存在に殺させればすぐさま元の世界に帰れようが――――――其処迄の力持つモノは限られており、其れを見つけ出すのも至難の業だ。

 結局彼らは、寿命まで此の世界に縛られる。

 ……何十年の、拘束。

 ぎりと己の歯が砕ける程の力もて歯軋りしようが己の血肉を己の爪が食い破る程に握りしめようが現状は変わらない。

 無様を晒すは、闇姫様の配下に相応しい姿ではない。

 其れが故に、彼等は人として生きていく中で驚く程優秀な存在として生きてゆく事になる。

 浴びる様に賞賛と羨望を受け、だがしかし其の目は常に異界の果てに向けられ……彼等は、寿命という枷の砕ける時を只管に耐え待つのだった……。

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