happily ever after?
夜の冷たい空気を纏って、白猫が少年の布団に潜りこんできた。
冷えた身体を温めるように少年にぴたりと寄り添う白猫に、わずかばかりの体温を奪われた少年は小さな声で抗議する。
「冷たい……アルカ」
「ごめんにゃ」
ルトは小さな猫の身体を両腕に抱え込んで温める。
「ルトちゃん、起こしてごめんにゃ」
「起きてたから大丈夫……アルカ、アスィール様と何の話してたの?」
素直に先に部屋へと戻ったルトだったが、いつもと違うアルカの様子が気になっていたのだろう。
「別に大した事じゃないにゃ。今日の配達での報告を忘れてたから、怒られてたにゃー」
「ふーん」
言葉通りに納得した訳ではなかったが、アルカにも何か事情があるのだろうと追求はしなかった。
「ルトちゃん、そろそろ寝ないと明日起きれないにゃよー」
「うん。でもなんだか眠れないんだ」
「心配事かにゃ?」
アルカがそう訪ねれば、くすくすを小さな笑い声を漏らしながら「違う」と返事があった。
「なんか楽しくて」
「あー遠足前の子供にゃー」
「明日はロバートと約束してるんだ」
「うぇ……いつの間に仲良くなったにゃ??」
暗くて見えないが、白猫はさぞ嫌そうな表情をしているであろう。
「エメやマルク、ドニも一緒だよ」
「何でそんな事になってるにゃ」
アルカの心配をよそに、あっさりと距離を縮めたルトは、今日仲良くなったのだと嬉しそうに語った。
「アスィール様と同じ色紐をしてると、それが気に入らない人達もいるから、気をつけろってロバートが教えてくれた」
「……ダドリー、お前にいったい何があったにゃ」
どうやらこの件には、ジルベールが一枚噛んでいるらしい。
「あいつか……誑し込んだの……」
同日、アスィールとアルカか懸念していた事を知る由もないジルベールは、いとも簡単にダドリーを篭絡したようだ。
「週末の礼拝にはマルガレータ様が会いに来てくれるんだよ」
「あの人、ダドリーの血縁とは思えないにゃー」
「色紐見て喜んでくれるかな?」
「きっと喜んでくれるにゃー」
「うん」
ルトの手が優しくアルカを撫でる。
「ルトちゃん?」
「なあに?」
「今………幸せかにゃ?」
「うん、僕だけこんなに幸せでいいのかって不安になるくらいだよ」
白猫は答えず、ざらっとした猫の舌で柔らかな少年の頬を舐めた。
第1章はルトが御紐を結わえるここまです。
2章はただいま執筆中ですので、すべて書き終えてからあっぷします。




