第四十九話
今日の笹森さんを再生しながら弁当と肉まんを食べ締めによもぎ大福を食べるとお腹がいっぱいになった。
太るかもしれない。
満たされすぎて。
こんなに人生において欲しいものが手に入り続ける人生なんてことがあるのだろうか。
怖い。
やはり水野の言うように寺に行って自分の矮小さとかを自覚すべきだろうか。
嫌、でも仏さまはそんな人間をも救うとおっしゃっているのだから。
嫌、何言ってるんだ?
救われたいとかそんな話じゃない。
もう救われている。
笹森さんに。
彼女がいるだけでもうそこは天国なんだ。
彼女が行けば地獄だって天国になる。
そう、この無敵状態が怖い。
こんなこと今までなかったから。
皆こうなのだろうか?
誰かを好きになって、その好きになった人が自分のことを好きだと言ってくれて、付き合えるようになったら。
いつだって誰もいなかった。
心の中に。
だからいつだって落ち着いていられた。
誰のことも考えないで済んだから。
今彼女がいない日はない。
耐えず彼女がいる、あの日からずっと。
皆こんな状態で生きていたのか。
凄いな。
本当なら学生のうちに済ませておくものなのだろうか?
そうしたら勉強が手につかなかっただろうか?
嫌、そんなわけないな。
励みになって頑張れたのかな。
考えたら同級生なんだ。
もし、学生の頃会えていたら?
可愛かっただろうな。
写真とか見せてくれないかな。
寧ろ買う。
買わせてほしい。
いくらでも出す。
本当に不思議だ。
自分の体の中に自分以外の誰かがいる。
目を閉じたって耳を塞いだって、見える、聞こえる、感じる。
彼女がいる。
この状態がずっと続くのか。
しかも名前も知らない可愛い女の子としてじゃなく彼女として。
毎日新しい音源がいくらでも手にるという、夢のような生活が続くのか?
恐ろしい。
生きていたい。
ずっと生きていたい。
風呂から上がり先ほどの電話を再生しながらラムレーズンアイスを食べる。
あの店アイス始めないかな。
笹森さんがアイス盛るとか、見たい。
硬いアイスを一生懸命掬う笹森さん。
可愛い。
見た過ぎる。
今日も可愛かった。
赤いチェックのマフラーが黒いコートに映えるんだ、これが。
後、髪型。
下してるの可愛い。
くくってたからちょっと癖がついてるんだ。
そこも可愛い。
こんな可愛らしいお嬢さんを産んでくれて、彼女のご両親に感謝しかない。
誠意を表したい。
でも自分には何もないから、やっぱり何とかして口座番号を聞かねば。
今の自分にはそれくらいしかできないのだから。




