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ホムンクルスの箱庭  作者: 日向みずき
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ホムンクルスの箱庭 第3話 第7章『地下4層に潜むもの』 ③

今日からまた金曜日まで頑張ります(`・ω・´)

出来るだけお昼の12時に更新する予定なのですが、今月は少し忙しいので、申し訳ありませんが時間がずれることがあるかもしれません(´・ω・`)

その場合は夜の8時に更新する予定ですので、お時間があるようでしたら見ていただけると嬉しいです(/ω\)

「ここは・・・?」


 駆け下りた先には広めの部屋があり、いくつもの制御盤とシェルターへの入口があった。

 

「こんな巨大なシェルター、何に使ってるんだろう?」


「どうやら・・・ここには実験で失敗した物を廃棄しているみたいだね。」


 後から追い付いたツヴァイは、フィーアをおろして制御盤に触れながらそう言った。


「あ、あう・・・」


 下ろされたフィーアは怯えるようにツヴァイにしがみつく。


「大丈夫だよ、フィーア。」


「つ、ツヴァイ・・・私、ここを見たことがあるの。」


「うん、わかっているよ。僕が傍にいる。

 もう怖い目にも痛い目にも遭わせたりしないから。」


 蒼白になっているフィーアをしっかりと抱きとめて、ツヴァイは辺りを見回した。

 一見ただの制御室だが、シャッターを隔てた奥のシェルターから異様な雰囲気を感じる。

 それはいくつもの生き物がうごめいているようなそんな感覚。


「向こうから生き物の気配を感じる。」


 耳を澄ませながら言うと、アインは資料の置いてある棚をなんとなしに調べ始めた。


「フィーア、しっかりして?教えてほしい・・・ここが、そうなの?」


「いやなの・・・ここは、嫌なの・・・」


 ぎゅっと目をつぶってフィーアはただ怯えるばかりだ。

 いつだったか、暗くて冷たい場所でとても怖くて痛い思いをした。

 その感覚を身体が覚えているのか、再び震えが止まらなくなったフィーアは、ぎゅっと自分の身体を両腕で抱いた。


「ちょっと、フィーアが怯えてるじゃないの!さっさと上に上がりなさいよ!」


 ついに我慢が出来なくなったのか、ぬいぐるみの中からドライが出てきて文句を言った。

 それと同時にソフィとアハトも駆け込んでくる。


「ちょ、ちょっと待って2人とも!私たちは子供たちを助けに来たのよ?

 施設長たちに話をつけるのが先でしょう!」


 駆け下りてきたソフィは、アインが本棚を漁っているのを見て、息を整えながらそう伝える。


「実験施設の方で鐘の音がしたわ、実験が始まる合図よ!このままだと子供たちが・・・!」


 ソフィは必死に皆をここから連れ出そうと言葉をかけた。

 言っている言葉も真実なのだが、それ以上に皆をここにいさせたくないという気持ちがそうさせている。


「せっかく来たんだ。調べるだけ調べてとっとと上に上がるぞ。」


 最後に着たアハトがそう言って、アインに早くするように促した。


「ずいぶんと長いこと実験には使われていないみたいだよ。

 制御盤も一部壊れているし、シェルター自体は実験に使用することを目的とされていない。」


 制御盤を操作していたツヴァイが振り向いて伝える。


「本当に要らない物を廃棄しているだけの場所ってことか?」


「そうだね・・・まあ、廃棄された物がどういう風に扱われているかまでは保障できないけれど。

 下手をすれば・・・ここに廃棄することそのものに、意味があるのかもしれない。」


「どういうこと?」


「今はまだ確信はできないからね、言わないでおくよ。」


 ソフィの問いにツヴァイは、ほんの少しだけ困ったような表情をしてからフィーアの髪を撫でる。

 今ここでそれの名前をわざわざ出して、フィーアを怯えさせるようなことはしたくなかった。


「・・・これは?」


 資料を漁っていたアインは、本の間から一枚の写真が落ちたのを見てそれを拾い上げた。


「僕と・・・ツヴァイ?」


 それは色褪せた写真だった。

 元の色はほとんど判別できないほどの状態だ。


「ツヴァイ、これを見てくれ。僕たちは昔ここに来たことがあるんじゃないかな?」


 この施設内で撮ったであろう写真には、アインとツヴァイ、そして施設長とその妻の姿があった。


「・・・僕は記憶にないんだけど。」


 写真を見せられたツヴァイは、いぶかしげな表情をしながらそう答える。


「こんな写真も撮った覚えはないよ。」


「僕は何となく覚えているんだけどなあ。」


 写真には幼いアインの隣にツヴァイが映っている。

 ツヴァイの隣にいたフィーアにもその写真は見えてしまった。


 すると・・・


「あ、あ・・・」


 写真を見つめていたフィーアが怯えたように叫んだ。


「い、嫌なの・・・っ!もう痛いのいやなの・・・っ!」


「く・・・っ!兄さん、すぐにここを離れよう!」


 これ以上は無理だと判断したのか、フィーアを支えてツヴァイは階段へ移動した。


「犬!あんたもさっさとしなさいよ!」


 慌ててその後をドライがついていく。


「そうね・・・ここに長居は無用だわ。」


 ソフィも後を追おうとしてから、一度、名残惜しそうに部屋を見つめてしまう。

 昔、ここに大切なものを忘れてきてしまった気がする。

 それはどうしようもなくやるせなくて、悔しいような感覚。


「どうした?さっさと上に行くぞ。」


 アハトにそう言われると、なぜか少しだけほっとする。


「ええ、わかっているわ。」


 出来るだけ平静を装いながらソフィは階段を上がった。

 それに続いてアハトもその部屋を後にする。


「昔の写真をげっと!」


 嬉しそうに言ったアインは、写真を大切そうに懐にしまう。

 なぜか後ろ髪を引かれるような、どうしようもなく懐かしい感覚に捕らわれて、一度、後ろを振り向いてからアインはそれを振り切って4人の後に続いた。

 アインはまだその時には気付いていなかった。

 その写真のどうしようもない違和感に。


 そして・・・


みしっ・・・みしっ・・・!パキンっ!


 シェルターの奥から聞こえる、何かが軋むようなその音に。


次回から施設長たちとの対決が始まります(;´・ω・)

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