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ホムンクルスの箱庭  作者: 日向みずき
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ホムンクルスの箱庭 第3話 第2章『錬金都市マリージア』 ①

錬金都市マリージア編スタートです(*´ω`)


「っていうか、犬!!次あれやったらマジで私の悪意が爆発するんだからね!?」


「おうふ!」


 謎の追手ノインの追跡をかわすために馬車で移動した一行は、休憩がてら次の計画を立てていた。

 その途中でドライが目を覚ましアインをぽかぽかと叩いている。

 フィーアが悲鳴を上げた瞬間、走り出したドライをアインは廊下で腹パンして気絶させていた。

 そしてグレイに頼んで先に馬車に待機してもらっていたのだ。

 

 アインがなぜそんなことをしたのか。

 それは、せっかく回避したドライとグレイの死亡フラグが・・・ごにょごにょ・・・ごほん、2人の安全を考えてのことだった。

 当然ながらドライはとても怒っていて、後で何か機嫌を取らないと許してもらえそうにない。


「なんていうか、アインはもうちょっと女の子の扱い方を覚えなきゃいけないわね。」


「そうよ!私だって女の子なんだからね!?」


 ソフィの言葉にドライが何度も頷いて主張するとアインの耳がぺたん、と下を向いた。


「悪かったよ。そんなに怒ると思わなかったんだ・・・」


 アインとしては悪気はなく、ドライが一番安全でいられる方法を選んだだけだった。

 フェンフやゼクスといった刺客が来た直後の襲撃者であるからには、相当危険な相手だということは予想が出来た。

 向こう側を裏切ってこちらについたドライは真っ先に抹殺される可能性があったし、それはグレイも同じだ。

 なので、2人が危険な目に遭わないよう先に逃げてもらいたかった。

 ただ、フィーアの悲鳴が聞こえて飛び出していったドライを速やかに止めるには、それしか方法が思いつかなかっただけなのだ。


「ドライがアインに女の子の扱い方について教えてあげなさいよ。」


「え?な、なんで私が・・・!?」


「アインを自分好みに躾けるチャンスだぞ。他の奴にやらせていいのか?」


「む・・・そう言われると、私がやらなきゃいけない気がしてきたわね!」


 実にいい考えだというように笑顔で言ったソフィにドライは戸惑いを隠せないようだったが、アハトの言葉であっさりと了承する。


「それじゃあ、その辺は任せたわね。ドライ。」


「ふん!後悔してもしらないわよ!私の言うことを聞く忠犬にしてやるんだからね!」


「おうふ・・・」


 腹パンをしてしまった事実があるので反対することもできず、アインはその提案を飲むしかなかった。


「・・・フィーアも僕に対してこうしてほしいとかそういう理想はあるのかい?」


 アインとドライのやり取りを見てツヴァイがふとそんなことを尋ねた。

 フィーアはきょとん、とした後すぐに笑顔になって。


「ツヴァイは今のままが一番いいと思うの。」


「そ、そうか!」


 ツヴァイの表情がぱあっと輝いて耳と尻尾がパタパタと動く。


 ところが・・・


「だってツヴァイは今のままが一番かわいいから♪」


「う・・・」


 次の言葉でがーんとショックを受けてそのまま項を垂れた。

 耳と尻尾も力なく下を向く。


「どうしたのツヴァイ~?」


「い、いや・・・何でもないんだ。」


 フィーアにいくら訂正させようとしたところで、意見を曲げてはくれないだろう。

 かわいいを連呼されてさらにどん底まで落ちるのは目に見えていたので、傷が浅いうちに話を変えることにする。


「ところで、賢者の石についてなんだけど。」


「賢者の石をどう使うかについては、これから話し合ってなんとかやっていこうかの。」


 それに対しては、グレイがすぐにそう答えた。


「よし、お願いします先生!」


「わし、ただのじじいだがのう・・・。

 賢者の石というのは万物を生み出す力があると言われておる。

 本当かどうかはやってみないとわからんがある程度のことは無理が効くはずだぞい。」


 アインに先生と呼ばれて居心地悪そうにしながらも、軽く咳払いしてグレイは説明を続ける。


「どこかの誰かが言うには錬金術には想いが関係しておるそうじゃし、賢者の石がお主らの想いに応えてくれる方法でも探してみようかのう。」


 そんな会話をしている一行は、次の目的地を錬金都市マリージアに定めていた。

 アインたちの両親を名乗る2人は以前の施設を何者かに・・・もとい、アインたちに爆破されてしまったためにそちらにある施設に子供たちと一緒に移動したらしい。


「とまあ、ここまでが私が得た情報ね。

 これ以上のことは直接街に行ってからじゃないと調べられそうにないわ。」


「それだけでも十分だよ!ありがとうソフィ。」


 ファニアに滞在していた短期間で、それだけの情報を集めてくれたのはさすがだと言えよう。

 錬金都市マリージアは実質アルスマグナに支配されており、その中心部には巨大な錬金術の施設がある。

 街には錬金術師たちやその知恵を求める者たちが多く訪れ、表向きは孤児院を経営したり医療に関する知識を提供しているアルスマグナの恩恵を受けようと暮らしていた。


「それと、ある程度変装できるようなアイテムも集めたから、向こうに入る時はそれに着替えましょう。」


「おお!それじゃあ僕はこの黒いスーツを着たいな!」


「なんでまたそんな今からダンスに行きそうな衣装を・・・」


「え!?だってかっこいいじゃないか!」


 アインが選んだ衣装を見てソフィはため息をつく。

 情報収集のために格式の高い場所に潜入する場合などを考えて一応用意しておいたのだが、街中ではそれは逆に目立つばかりではないだろうか?


「ところで、アルスマグナの施設ってどんなところなんだいソフィ?」


 いそいそとスーツに袖を通しながらアインが尋ねると、ソフィはほんの数秒沈黙した後、こう答えた。


「・・・マリージアにある施設は、私とアハトが昔いた場所よ。」


「おお、じゃあソフィにとっては故郷も一緒だね!」


「・・・そうね。」


 言葉を濁すソフィに代わってアハトが答える。


「でかい施設だ。上の城塞部分はどっちかっていうとお飾りで本体は地下にある。」


「なるほど、地下施設か。それは入り込むのがちょっと難しそうだな。」


「それについては俺に心当たりがある。まあ、向こうに着いてからまたいろいろと話すさ。」


 それから、アハトはなぜか遠くを見つめるように視線を馬車の外に移した。


「なによ?珍しく神妙な顔つきしちゃって。」


 実際のところフードのせいで顔は見えないのだが、ソフィにはアハトの表情が分かる気がする。


「ん?ああ、ちょっと昔を思い出していただけさ。」


 予想はあながち間違いでもなかったのか、否定することなくアハトは荷物を枕にごろんと横になってしまった。


「とりあえず街に入るときにこの人数だとさすがに目立つわ。何か方法を考えないと・・・。」


「あ、それなら僕にいい考えがあるんだ。」


 にこっと笑ったツヴァイの視線は、フィーアの抱いているそうちゃんに向けられていた。


次回、マリージアに潜入します・・・アフロのまま(;´・ω・)

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