ホムンクルスの箱庭 第3話 第1章『炎の旅立ち・アフロ編』 ②
今日から平日の1話更新スタートです(`・ω・´)
がんばりますのでよろしくお願いします♪
「ツヴァイ、みんな、変な人が・・・っ!」
ドアを開けると、ぬいぐるみのそうちゃんを抱きしめたフィーアが駆け寄ってくる。
それを抱きとめて、ツヴァイは侵入者をキッと睨みつけた。
窓のところに見覚えのない男が一人立っている。
「ツヴァイ、ツヴァイ!変な人が窓から入ってきたの・・・」
よほど怖かったのか、フィーアはさっきから変な人と連発している。
すると、それを聞いた侵入者は心外だと言うように銀色の髪をかきあげた。
「ふーははは!この私を捕まえて変な人とは!」
「だ、だって、寝てたらいきなり窓から知らない人が・・・」
泣きそうになっているフィーアの髪を、ツヴァイはよしよしと撫でる。
「な、なんだおまえは!」
「この私を知らないと言うのか!?」
アインの言葉に驚愕の表情を浮かべながら変態、もといなぜか白衣を着ている侵入者は謎のポーズを決めながらこう言った。
「だが、貴様が知らないと言うのなら名乗ってやろう!私の名はノイン!!」
「か・・・かっこいい!!」
『アイーンっ!!』
キラキラとした表情で変態を見つめるアインに、思わずその場にいる全員が突っ込みを入れる。
「ナイン?」
「違う!私の名前はノインだ!!アハト!おまえを倒す男だ!!」
「・・・俺?」
いきなり名指しにされてアハトが首をかしげると、ノインと名乗ったその男は慌てたようにアインの方を指さして。
「間違った!ソーリー!アイン、貴様を倒す男だ!!
貴様と私は同じのナンバーズの日の目を見た物としてどっちがより優れているかを決めようではないか!!
だが、この私を簡単に倒せると思うなよ!キリッ!!」
最後のキリッまでしっかりとセリフの中に収めて、ノインは身体をのけぞらせるような大げさなポージングを決めながらびしっとアインを指さした。
「なんてかっこいいんだ・・・」
ふるふると感動にうちふるえているアインの肩を、アハトがポンっと叩く。
「わかった・・・アイン、そんな時にはこれだ!」
アハトが爽やかな口調で差し出したのは、どう見てもグレネードだ。
「こ、これは・・・!」
「これを使えばおまえもかっこよくなれるぞ。」
「これで僕もかっこよくなれる・・・!?」
「ああ、そのピンを引くだけでかっこよくなれるぞ。」
「いいだろう、この私よりもかっこよくなれると言うのならやってみるがいい!!」
事情を全く理解してないのか、根っからの馬鹿なのかノインが言い放つ。
「うおおおお!これで僕もニューアインに!これ以上皆を傷つけさせない!変身っ!!」
メンバーがやっぱりグレネードじゃねえか、という突っ込みを入れる間もなくアインがそのピンを引き抜いた。
ちゅどおおおんっ!!
反射的にツヴァイが空間を隔離する結界を張り、ソフィも風の防壁を張ったのでメンバーには全く被害がなかったがアインが見事に吹き飛んだ。
「ば、ばかなっ!この光は・・・!?」
まばゆい光に包まれたアインを見てノインがハッとしたように顔を上げると、部屋からはアインの姿が消えていて窓の横の壁に獣人型の大穴が空いていた。
「おのれアイン!どこに行った!!ふふん、この私に恐れをなして逃げたか!」
「僕はここだ!」
と、外からアインの声がする。
どうやら無事らしい。
「おのれ外に逃げていたか!だがこの私から逃げられると思うなよっ!!とうっ!!」
掛け声と共にノインが壁に突っ込んで行く。
そしてアイン型の穴の、窓を挟んだ隣にノイン型の穴ができたと同時に。
「ふう、危なかった。」
アイン型の穴からアインが戻ってきた。
どうやら完全には吹き飛ばずに壁にぶら下がっていたらしい。
「どこにいったアイーンっ!!」
戻ってきたことに気付かなかったのか、ノインはそのまま外に走って行ってしまったようだ。
ここは2階だというのに、随分と丈夫にできているらしい。
「帰ってきたか、アイン。」
戻ってきたアインをみて、アハトがその手を伸ばす。
そして、ボンバーしているアインの頭の毛並みに触れてこう言った。
「おい、アフロがずれてるぞ。」
ちょいちょいっと整えられた毛はチリチリになっており、確かにアフロに見える。
「ありがとう!まるで生まれ変わった気分だ・・・!全身がビリビリする衝撃を感じる!」
それはグレネードで吹き飛んだ後遺症ではないかと思うのだが、当人は新しい力に目覚めたつもりのようだ。
「身体がちりちりして震えが止まらないんだ・・・!」
ぶるぶると震えているアインを見て、ソフィがため息をつきながら無言で回復魔法をかける。
「おのれアイン!この私に恐れをなしたか!
ふははは!それも仕方あるまい何しろ私は狂気のマッドアルケミストだからな!!」
「あれがアホやってるうちに早く行きましょうか・・・」
外から聞こえてくるアホ、もといノインの方にソフィが視線を送ると、アハトが懐から何かを取りだして床に置いた。
それは言わずと知れたグレネードだった。
「そうだね、フィーアの寝室にいきなり入ってくるような変態は放っておいて行こうか。」
「うんうん・・・あの変態さんと早く離れたいの。」
ツヴァイとフィーアの中では、すでにノインは変態として認識されてしまっているらしい。
「フィーア、怖かったねかわいそうに。」
「うん。」
ぎゅーっと抱きつくフィーアを抱き上げて、ツヴァイはさっさと出発の準備を始めた。
他のメンバーもそれに続いて部屋を出ると、さっと馬車に荷物を積み込んで全員が乗り込む。
そんなこととは知らずようやく戻ってきたノインが、家の壁をよじ登って窓から飛び込んできた。
「おいおまえら!アインがどこにいったか知らないか!?」
そこには誰もおらず、代わりに時限式のグレネードが1発部屋の真ん中に設置されている。
アハトの最新作で、ピンを抜いてから一定時間後に爆発するというすぐれものだ。
絶妙な時間設定で設置されていたそれはノインが入ってきて数秒後。
ちゅどおおおん!!
1階に落ちていた分も巻き込んだのか、思ったよりも派手な火柱をあげて爆発した。
馬車の御者席ではアフロ犬、もとい、グレネードでニューアインとなったアフロアインが馬を操りながらその場を颯爽と駆けだす。
こうして謎の追手ノインを盛大に放置したまま、漆黒の闇に上がる火柱を背景に彼らは再び旅立ったのだった。
今回もホットスタート(;´・ω・)
次回から錬金都市マリージア編に突入します(/・ω・)/




