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ホムンクルスの箱庭  作者: 日向みずき
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ホムンクルスの箱庭 第3話 第1章『炎の旅立ち・アフロ編』 ①

ブックマークしてくれた方ありがとうございます(///ω///)♪

キャラクター紹介だけだとさすがに少ないので一話を更新します(*´ω`*)

「こんな時間に起こしてしまってごめん。

 でも、どうしても皆に伝えなければならないことがあるから。」


 フィーアが再び眠りについた後、ツヴァイとグレイは他のメンバーに声をかけて1階に集まっていた。


「何かあったんでしょう?だったら仕方ないわ。」


 夜中に起こされたにもかかわらず、軽く欠伸をしながらもソフィは笑顔で頷く。


「そうだな、それでいったい何があったんだ?」


 アハトもいつも通り目深にフードをかぶったまま、抑揚のない口調でそう答えた。


「ちょっとお・・・私眠いんだけど。」


 そんな中、ぐしぐしと目をこすりながら一人文句を言うドライだったが。


「フィーアのことなんだ。」


「ちょっと、何のんびりしてるのよ今すぐ話しなさい!!」


 ツヴァイの言葉を聞くや否や意識が覚醒したようで偉そうな態度で先を促す。

 こくり、と頷いてツヴァイは口を開いた。

 フィーアが話してくれたことを皆に伝えなければならない。

 先ほど目を覚ましたフィーアが教えてくれたことを、そのまま皆に伝える。


「・・・そういうわけで、

 フィーアの一部がヌルに捕らわれていることがわかったんだ。

 僕は彼女をどうしても助けに行きたい。

 だから、僕の身体のこともあるかもしれないけど、どうか助けに行くのに協力してほしい。」


「そ、そうか・・・言われてみれば、フィーアの様子が少し前から変わっていたかもしれないね。」


「なによそれ!そのヌルってやつぶっ殺してやるわ!!」


 説明が終わるとアインが納得したように頷き、ドライが激怒しながらそう宣言した。


「待ちなさい、その前に取りこまれてしまったっていう部分を助け出さないとね?」


 そんなドライをソフィはそっとたしなめる。


「それは助けに行かないといかんのう。」


 先ほどのツヴァイとフィーアのやり取りを知っているグレイも、重々しく頷いた。


「ツヴァイ、水臭いわよ?助けるのなんて当たり前のことじゃない。」


「そうだね、家族を助けに行くのに理由なんていらないよ!」


「ソフィ、兄さん・・・そうだね、ありがとう。みんなでフィーアを助けに行こう。」


「ああ、しょうがないから行くか。」


 めんどくさそうに言ってみせながらも、アハトも異存はないようだ。

 そんなメンバーを見回して満足げに頷いた後、アインが不意にこう言った。


「あのさ・・・さっき僕たちが勝てたのは、運が良かっただけだって感じてるのは僕だけかな?」


 それに対して全員がハッとしたように息を飲んだ後、微かに視線を落とす。

 アインの言うとおりだった。

 ゼクスとフェンフとの戦いはお世辞にも勝利したと言えるようなものではない。

 アインもアハトも負傷し街への被害も相当なものだった。


 フェンフを機能停止に送り込むことが出来たのは、あらかじめ危機を想定して湿地に爆弾を仕込んでいたアハトの行動と、タイミングよく目覚めたアインの賢者の石の力を無理やりに使ってのこと。

 それらがなければフェンフに勝つことはできなかっただろう。

 次回もそのような幸運が続くとは限らない。

 真っ向勝負でまたフェンフのような存在と戦うようなことになれば、今度こそ負けることになる。


「このままじゃ次は勝てない。」


「そうだね・・・兄さんの言うとおりだ。今の僕たちじゃあヌルに勝てるかどうかは分からない。」


「なにより、フィーアのあのおびえようはただ事じゃなかった。」


 フィーアは怖がりなところはあるが、戦うことに関しては他のメンバーに引けを取らないだけの実力を持っている。

 そのフィーアがヌルの名前を聞くだけで、あれだけおびえショックで気絶までしてしまった。

 それを考えれば、相手がどれほど恐ろしいものなのかは多少なりとも想像がつく。


「・・・あの時、フィーアは大怪我をして見つかった。

 少なくとも彼女にそれだけの傷を負わせることのできる相手だってことは間違いない。」


 悔しそうにうつむきながら、ツヴァイは事故のことを思い返していた。

 錬金術の実験の失敗。

 そう聞かされていたが実際はあの時、フィーアはヌルに喰われたのだろう。

 生きているのが不思議なくらいの大怪我を負った彼女は、目を覚ました後には紅音としての人格が綺麗に消えてしまっていた。

 幼い頃のフィーアとしての人格をそのままに、蒼夜と心を通わせていた紅音としての記憶や性格といったものがすべて抜け落ちてしまっていたのだ。


「・・・ヌル、絶対に許さない。」


 ぎりっと奥歯を噛みしめたツヴァイの肩を、アインがぽんっと叩く。


「聞いてほしいんだツヴァイ。」


「なんだい、兄さん?」


「ヌルの力の源が賢者の石だというのならこちらにだって賢者の石がある。

 僕とツヴァイで協力してその力を使うことはできないかな?」


「なるほどね・・・確かにこちらには賢者の石が2つもあるわけだからね。」


 アインとツヴァイの体内にある賢者の石の力を使うことができれば、あるいはヌルに対する対抗策になるはずだ。


「皆を守れるなら僕はどうなったっていい!」


 強い意志を秘めた瞳でアインが言うと、アハトがにやりと笑った。


「ほほう、それは良いことを聞いた。」


「ちょっと、あんた変なことしようとするのやめなさいよね!?」


 すかさずソフィがアハトの後頭部をはたいて止める。


「あはは、ソフィとアハトは本当に仲が良いね。」


 それを見て苦笑してから、ツヴァイはアインの方をまっすぐに見つめた。


「兄さん何言ってるんだ、兄さんが不幸になってしまったら

 僕たちが今まで頑張ってきた意味がなくなってしまうじゃないか。

 全員で幸せになってこその僕たちだろう?」


 これまでの間、自分たちが必死に頑張ってきたのは全員で家族のように幸せになるためだ。

 それなのにアインが犠牲になってしまったら、その願いはかなわなくなってしまう。


「そうだね、ごめん・・・」


 素直に謝ったアインを見て、アハトが実に残念そうに言った。


「ちっ、特別な処置を施してやろうと思ったのに。」


「だから変なことしたらはたくからね!」


「それにしてもおまえたちは本当に騒がしいというか、仲が良いのう。」


 いつものやり取りをしているアハトとソフィに対して、グレイがあきれたように言うと。


「まあな、俺とこいつは向こうにいたときからの付き合いだ。」


「え・・・?あ、うん。そうね。」


 一瞬、何か引っかかるところがあったようだがソフィはとりあえず頷く。

 それを見たアハトはソフィを眺めていたものの、また視線をアインに戻した。


「ニューアインにしてやろうと思ったのに残念だ。」


「ニューアイン・・・!!」


 その響きがよかったのか、アインは何やら妄想を始めてしまった。


「そ、そうか、これで僕は空を飛ぶことが・・・!」


 いったいどんな想像なのかは全くわからないが、目をつぶって想像しているアインの様子は実に嬉しそうだ。


「ここにはツヴァイもグレイさんもアハトもいる・・・!大丈夫だ、きっと僕はニューアインになれる!」


「そ、そうだね?皆で力を合わせれば、兄さんがどんなことをしようとしたってフォローできるよね。」


「まあ、何とかやってみるしかないわね。」


 アインがどのような姿になることを望んでいるのかは分からないが、ツヴァイとソフィもとりあえずそれに同意してみた。


「そのためだったら僕は改造手術だって怖くない!」


「改造されること前提なのね!?」


「そうか・・・ならばやはり俺が特別な処置を・・・」


 わきわきと両手を動かしながら、アハトがアインに近づこうとした時だった。


ガシャーンッ!!


「きゃあああっ!?」


 2階から窓ガラスの割れる音と同時に、フィーアの悲鳴が聞こえる。


「フィーア!?」


 その声に真っ先に反応したツヴァイが、部屋を飛び出して階段を駆け上がる。

 他のメンバーも一斉にそれに続いた。


「なにがあったというんだ。」


 やれやれというようにいつも通り最後に腰をあげたアハトは、ゆっくりとした動作で部屋を後にする。

 その際にゴトンっと言う音がしてグレネードが1本落ちたことは、当人ですら気付いていなかったが、あえて言うならいつもの光景だともいえた。


次回、アフロ編の謎が解けます(`・ω・´)

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