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ホムンクルスの箱庭  作者: 日向みずき
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ホムンクルスの箱庭 第2話 第4章『錬金術の闇』 ①

アハトのフリーダムっぷりが半端ないです(ノ´∀`*)

「ツヴァイ、フィーア、俺と一緒に冒険しに行かないか!」


「いいよ、アハトがそういうんだったらきっと何かあるんだろう。行こうか、フィーア。」


「うん!」


「じゃあついてきな!おもしろいところに連れて行ってやるぜ。」


 グレイが眠りについた頃、軽いノリでツヴァイとフィーアを連れ出したアハトは、こっそりと屋敷を抜け出し例の場所に来ていた。


「勝手に入るのか・・・これは明らかに隠してあるように思えるんだけど。」


「鍵が空いてるんだから入っても文句は言えないだろう。」


 裏庭にわざわざ隠すように造られた地下室への入り口を見て、ツヴァイは黙って入っていいものかと一瞬ためらったが、アハトはランプを片手におかまいなしに階段を下りて行く。

 顔を見合わせると仕方なくツヴァイとフィーアも手をつないで中に入った。


「じじいには言っておいたしな。やましいことがないなら大丈夫だろうと。」


「錬金術にいろいろな闇はつきものだと思うけど・・・」


「俺も錬金術師、あいつも錬金術師!」


「う、うん?」


「気にしな~い!」


「そ、そうだね・・・」


「行くぞ。」


 気にしないのはアハトだけではないかという突っ込みを入れたいところだが、そんなことをしても意味がなさそうなので、ツヴァイはおとなしくあきらめることにした。


「おまえら、さっさとついてこいよ。」


 アハトが先に部屋の中に入り手招きすると、フィーアがおそるおそる足を踏み入れる。


「仕方ないね・・・でも必要なら僕があとでグレイさんに報告するから、あんまりおかしなまねはしないように。」


 アハトが何をするかわからないので、ツヴァイは釘をさしてからフィーアに続いた。

 いくらアハトでも、まさかいきなりグレネードを使うということはないだろうが・・・。


「・・・って、何をしているんだい!?」


 ごそごそとローブを漁り始めたアハトに、ツヴァイが高速の突っ込みを入れる。


「いや、ランプだけだと部屋が薄暗いからな。全体を明るく・・・」


「それ一瞬だから!?しかも、眩しくて何も見えないよ!」


 スタングレネードは強力な閃光と音を主流にした爆弾だ。

 部屋は一瞬だけ明るくなるだろうが、それは相手の視界を奪うほどの閃光なので明かりとしては全く適さい。

 その上、大きな音が出るのでこっそりと侵入した意味はなくなる。


「ち・・・仕方ないな。」


「アハト・・・本当にここで何か探す気があるのかい?」


 さすがにやらないとだろうと思っていたことを実行されそうになって、ツヴァイは思わずジト目で見てしまう。

 そんな視線をものともせず、アハトはランプで部屋の奥を照らした。


「おそらく、今の俺たちにとって必要なものだと俺は思っているぞ。」


 そこにあったのは床に描かれた何らかの円形の文様と、錬金術に関する道具の数々だった。

 アハトは文様を眺めた後、雑多に積み重ねてあるだけの資料の中から、自分が気になるものに目を通しては床に捨てていく。


「この装置は・・・彼はアルスマグナの技術なしにこれを造ったのか。」


「おじいちゃん、すご~い!」


 錬金術で造られたいくつもの道具や古びた装置を眺めながら、ツヴァイとフィーアも驚いていた。

 アルスマグナの技術には遠く及ばないが、それでもその役割を果たせるだけの物がそこには無造作に置かれている。


「・・・どうやら、生命力の衰えて行く人間に対して、別の生命力を取りこむことによって生かすことができるかどうかという研究だったようだな。」


 一通り好き勝手に資料や道具を漁ってから、アハトがそう結論付ける。


「研究資料の終わりの方は破り捨ててあるな・・・。」


 それだけ確認すると、ランプをその場に残し、アハトは興味を失ったようにさっさと地下室を出て行ってしまった。


「アハト?・・・あとは僕たちで調べろってことかな。」


 軽く苦笑してからツヴァイが振り向くと、フィーアは中央に在る文様に触れているところだった。

 その周辺には、何かの染みが広がっていた。


「フィーア、何かわかったかい?」


「ん・・・」


 フィーアは小さく頷いて立ち上がると、無言で文様の描かれている場所を順に指さした。

 ひとつは今目の前にある一番大きな円上の紋様、おそらくは実験対象を置く場所だろう。

 そしてあとの二つは、生贄とする何かを設置する場所と術者が立っていたと思われる小さな円のような紋様。

 かなり古いためにぱっと見では分からないが、茶色いような黒いような染みが3ヶ所に広がっていた。


「これは・・・何かの実験をして失敗したあとみたいだね。」


 ツヴァイの言葉に、フィーアはこくりと頷く。

 フィーアには、これが自分の知っている何かに似ていることは理解できる。

 しかし、それらは似ているようでまるで違うもの。

 そんな術式が、果たして正しく作用したかどうかは怪しい。


「フィーアはこれがなんだかわかるのかい?」


 その文様が以前、フィーアが村の地面に描いていたものに似ていることにツヴァイも気が付いていた。


「なんとなく・・・」


 術者用の文様の上に移動してそれに触れていたフィーアは、曖昧に答えただけだった。

 実験対象を置く五芒星を模った文様の中心、生贄を捧げるための別の文様上、そして術者が術式を発動したと思われるその3か所に広がるのは紛れもなく血痕だった。

 おそらく生贄と対象者の生命力は霧散し、術者もただでは済まなかっただろう。

 無言でそれを眺めるフィーアの肩に、ツヴァイがそっと腕をまわして抱き寄せる。


「大丈夫かい?フィーア。」


「うん・・・」


 ここで何があったのかを理解してしまった2人は、何を言うこともできず互いに寄り添っていた。


次の話はシリアスな感じになります。

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