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逃がしてはいけません

ちょっと予定が変わってアーノが眠った後の話です。

夜になってもアーノが陛下の部屋から出てこない、ということでレオナルドはそわそわしていた。

まさかあの二人に限って婚前交渉はないと思うが、万が一と言うことも考えられる。


下手に部屋に入ることも出来ず廊下を行ったり来たりしていると、陛下の部屋ではなく隣の王妃の部屋の扉が開いた。


そこからこの世の終わりのような顔をしたフィリップが顔を出してレオナルドに来るよう命じる。


「何かあったんですか?クリスティアーノ様は?」

「中で説明する」


レオナルドが部屋に入るとベッドに寝転がるアーノが目に入って仰天した。


「陛下、アーノに何やったんですか!」

「眠らせた」


目も合わせず端的に言われる。

本当にそれ以外には何もしてないようでアーノの服がはだけた様子はなかった。


レオナルドはほっと胸をなで下ろす。


「なんでそんなことを」

「婚約破棄したいと言われた。僕が他に好きな人がいると思ってて、さらにアーノ自身が王妃になりたくないから」


あちゃーと呟くレオナルドを後目に、フィリップはよろよろとベッドに座り、眠るアーノの銀髪に指をからめる。


「僕はそれを認められない。だけど、アーノはやると言ったらやる。だから閉じ込めることにしたんだ。レオナルド、この部屋に結界を張れ」

「・・・話し合いの余地は?」


事が事なので一応聞いてみると、フィリップは深いため息をついた。


「ない。正直、無理。アーノの性格は、レオだって知ってるだろ」

「まあ思い込みの激しさと強情さでは並ぶ者なしかと」


レオナルドは幼なじみのすっ飛んだ言動の数々を思い出して遠い目になる。


アーノから目を離さないままに、フィリップは苦い顔をして言った。


「アーノは王妃にならないと言ったら絶対にならないし、そのために他の男と結婚することも辞さないよね」

「否定しません」


フィリップは眠るアーノの頬を軽く撫でる。


「今まで散々利用してくれた挙げ句に僕を捨てようって・・・本当、憎らしい」


暗い笑みを浮かべてレオナルドを見た。


「もっと都合良い人でも見つけたのかな。誰かわかる?レオ」

「俺じゃないのは確かなので殺気立たないでくださいよ。・・・って、あっつ!てめえ!俺を燃やす気か!」


レオナルドは服の裾に火がついているのに気づき慌ててもみ消す。

思わず敬語も忘れて怒鳴れば、フィリップは無意識に行っていたことらしく、あれ?ごめんとあっさり謝ってきた。

心はまったくこもってない。


「レオはあまり疑ってないよ。そういう意味ならベンジャミンの方が怖い」


主人に忠実な従僕を思い出して、レオナルドは眉をしかめる。

アーノが頼めば王に逆らって駆け落ちするのも辞さない少年だ。


「させないけどね。・・・アーノは鈍いから監禁されてるなんて当分気づかないだろう。その間に外堀を埋めてやる。協力しろ、レオナルド・フランク」

「・・・お手柔らかに」

「アーノが考え直してくれたらね」


フィリップはそっとアーノの額に唇をのせる。


「アーノ、僕のクリスティアーノ、あの時に僕を選んだのは君だよ」


絶対逃がさない、と呟くフィリップを見ながら、レオナルドは今後の騒動を思ってため息をついた。





次こそ現在に!


フィリップがなんだかとってもヤンデレですけど、これアーノが寝てるので調子乗ってるだけです。

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