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待たせたな!  作者: 僧籍
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鉄の回廊――パナマ電撃接収作戦

1946年初頭、世界の軍事史に刻まれる空前絶後の作戦が実行されました。 ハワイを完全に手中に収め、西海岸を潜水艦隊で封鎖した日本軍がいよいよ目指したのは、二つの海を繋ぐ戦略の要衝、パナマ運河でした。


運河の沈黙


かつて「パナマ運河爆撃」は、潜水空母・伊四〇〇型の悲願とされていました。しかし、時空を超えた技術を手にした今の連合艦隊にとって、それは「破壊」の対象ではなく、「奪取」すべき財産となっていました。


1946年1月。大西洋と太平洋を分かつパナマのジャングル。 米軍の警戒網が西海岸に集中している隙を突き、高度1万メートルから音もなく飛来した「新型電子戦機」が、パナマ全域のレーダーと通信網を完全にジャミング(妨害)しました。


謎の機動部隊司令官は空母「大鳳」の艦内甲板で整列する特殊作戦群に作戦の開始を伝える

「これより、パナマ運河接収作戦『ガト・ダム』を開始する。一兵たりとも逃すな」


特殊部隊の攻撃


夜陰に乗じ、空母「大鳳」から発艦した特殊輸送機三式指揮連絡機改(輸送能力と短距離離着陸(STOL)性能を大幅に強化した隠密性を高めた改良型)から、日本軍の精鋭空挺部隊が攻撃を開始。


未整備の狭い場所に着陸、展開する。3機の機体が敵の索敵を避けつつ、狭いスペースに急減速してふわりと着地。停止と同時に精鋭部隊が左右のハッチから飛び出し、闇夜の中を敵陣地に走り出す。


彼らが装備していたのは、「暗視ゴーグル」と「消音機サイレンサー付きの自動小銃」でした。


「目標、ガトゥン・ダム管理棟。これより接収を開始する」


彼らは森の中を滑るように進み、巨大なダムの堤体にたどり着いた。コンクリートの壁を、ヤモリのような速さで登っていく。


「……三、二、一。やれ」


特殊作戦群の分隊長の囁きと同時に、管理棟の重厚な扉に仕掛けられた指向性爆薬によって粉砕された。


送電線はすでに爆撃され一帯は停電、非常用電源も停止していた。


「突入!」


特殊閃光弾を投入し、すぐに白煙の中に、四人の影が飛び込む。暗視ゴーグルを装着した彼らの視界には、混乱し、視神経を焼かれた米軍警備兵たちが緑色の輪郭で浮かび上がっていた。


「ドロップ、ドロップ! 銃を捨てろ!」


警告に従おうとしない警備兵が、腰のホルスターに手を伸ばす。その瞬間、兵士の小銃が、サイレンサー越しの乾いた音を立てて火を噴いた。


「プシュッ、プシュッ」


二発の点射バースト。警備兵は糸が切れた操り人形のように床に崩れ落ちる。


「第一班、操作盤を確保! 第二班、屋上の機銃座を叩け!」


屋上へと続く螺旋階段を駆け上がる隊員たちの背後で、管理棟の外からも銃声が響き始めた。ダムの堤体沿いに配置されていた米軍の歩兵分隊が、ようやく異常を察知したのだ。


「クソッ、ジャパニーズだ! どこから来やがった!」


屋外の警備兵たちが叫びながらM4カービンを乱射するが特殊作戦群の動きはそれよりも早い、部隊は管理棟の窓から階下で抵抗を続ける敵兵へ向けて制圧射撃を開始した。


「状況報告!」


「……操作盤、完全制圧。これよりガトゥン湖の水門、および非常用放水口を制御化に置く」


隊員の報告と同時に、巨大な管理棟の計器類が、一斉に日本の制御下に置かれたことを示す青色のランプに変わった。


「目標『ガト・ダム』接収。これよりパナマ運河の全通航権を停止させる」


米軍守備隊司令部が事態を把握する前に、カリブ海大西洋側のガトゥン閘門こうもんの管制室は制圧されました。爆破装置を仕掛ける暇すら与えず、運河の心臓部は無傷で日本の管理下に置かれたのです。


続けて大平洋側のミラフローレス閘門こうもんも制圧されたとの別動隊からの報告も入る。


 

 「新連合艦隊」大西洋へ


翌朝。霧が晴れたパナマ運河を 『新連合艦隊』が狭い水路を滑るように進んでいきました。


運河の両岸に並んだパナマの市民や、武装解除された米軍兵士たちは、日の丸を掲げて悠然と進む鋼鉄の浮き城を見上げ、言葉を失いました。


二つの海の支配者


パナマ運河の接収完了。 これにより、日本軍は大西洋への自由な門戸を開きました。一方のアメリカは、東海岸の工業地帯と太平洋側の拠点が物理的に分断され、海軍力は完全に二分されました。


パナマ運河を越えられない戦艦「大和」、空母「蒼龍」「飛竜」、数個の護衛駆逐艦、海防艦は補給艦や輸送艦などの艦艇を新連合艦隊に送るため太平洋側の海域支配のために残った。


「大和」の代わりに総旗艦になった「陸奥」がカリブ海へとその艦首を向けたとき、艦橋で連合艦隊指令長官 伊藤整一中将は静かに命じました。


「針路、北東。目標、アメリカ東海岸……ニューヨーク」


もはや、大西洋に新連合艦隊を止める力は存在しませんでした。 自由の女神の背後から、日本の巨砲が迫る運命の日まで、あとわずか。

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