清津の惨劇 悪鬼羅刹の蛮行 5-4 南方軍による大規模な反攻作戦 1945年9月28日午前5時
黄海の逆襲:鎮南浦上陸作戦
1945年9月28日午前5時。朝鮮半島の西翼、黄海。
北方軍による東海岸からの進撃に呼応し、南方軍による大規模な反攻作戦「黄海からの進撃」がいよいよ幕を開けた。目標は、平壌の喉元に位置する要衝、鎮南浦である。
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雲龍型の飛翔:空からの裁き
夜明け前の海上に、異様なまでの威容を誇る空母打撃群が展開していた。
雲龍型航空母艦五隻――「葛城」「天城」「阿蘇」「笠置」「生駒」 接収した資材と技術で完成に漕ぎ着けた最新艦群。そして新型機たちが、その甲板を震わせている。
「全機、発艦始め!」
信号灯が振られ、零戦六四型改(統合型)、九九式艦上爆撃機二二型改(統合型)が次々と朝靄のなかへと吸い込まれていく。
目標は鎮南浦周辺に築かれたソヴィエト軍の強固な沿岸防御陣地。数分後、水平線の向こう側で無数の黒煙が上がり、空を埋め尽くした艦載機群による爆撃の嵐がソヴィエト地上部隊の頭上に落ちる。
鋼鉄の咆哮:新太平洋艦隊の艦砲射撃
空からの制圧が最高潮に達した時、海上に並ぶ巨砲たちが沈黙を破った。
新太平洋艦隊 司令官・加治中将が座乗する戦艦「長門」を筆頭に、「榛名」、さらには航空戦艦「伊勢」「日向」が、その巨大な砲身を平壌の門戸へと向けた。
「全主砲、斉射!」
重巡洋艦「利根」「青葉」の高角砲や副砲も加わり、海は激しい閃光と轟音に包まれた。41センチ砲弾が空を切り裂く音は、まるで巨大な布を切り裂くような絶叫となって敵陣へ吸い込まれていく。
ソヴィエト軍が誇ったコンクリート製のトーチカや対空陣地は、一撃の下に粉砕され、地上は混乱と炎の渦に叩き落とされた。
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報告:加治中将から掛井大将へ
「長門」の艦橋では、主任参謀の堀切大佐が双眼鏡を構え、黒煙に包まれる海岸線を注視していた。
「……敵沿岸砲台、沈黙。守備隊の通信網も寸断された模様です。航空攻撃との連携、極めて良好。敵部隊は完全にパニック状態にあります」
堀切の報告を受け、加治中将は冷徹に頷いた。彼は無線参謀に南方軍総司令官・掛井大将への直接連絡を命じた。新・太平洋艦隊司令官・加治中将と、主任参謀の堀切大佐は着上陸前火力支援攻撃の結果を確認し、南方軍 総司令官 掛井大将に事前攻撃終了、上陸行動に移ると連絡する。
「新太平洋艦隊より南方軍総司令官へ。事前攻撃は予定通り完了。敵陣地は壊滅、混乱状態にあり。これより、第二段階たる着上陸行動へ移行する。帝国陸軍の武運を祈る」
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上陸:波頭の先へ
加治の指令が終わるや否や、艦隊の背後に控えていた輸送船団から、無数の上陸用舟艇(大発・小発)が海面へと降ろされた。
「続け! 平壌まで止まるな!」
兵士たちの叫びが上がる。鎮南浦の海岸線は、いまや凄まじい砲火の余韻で白く霞んでいる。東からの北方軍、そして西からの南方軍。朝鮮半島を東西から挟み撃ちにする「大規模包囲殲滅戦」の西の鍵が、いま、鉄火の音と共に回されたのである。平壌まで迫る南方軍の先遣隊。彼らの背後には、水平線を埋め尽くす新太平洋艦隊が控えている。
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南方軍による、朝鮮の西側、黄海からの進撃が始まった。上陸する場所は鎮南浦周辺だ。平壌のすぐそば(南西)の港湾都市。直接占領を目指す。ソヴィエト軍の防御が強固だ。しかし、上陸前火力支援で日本軍新太平洋艦隊の戦艦 長門、榛名 航空戦艦 伊勢、伊勢 重巡洋艦 利根、青葉による、艦砲射撃と雲龍型 航空母艦 葛城、天城、阿蘇、笠置、生駒の艦載機による航空攻撃により、敵地上部隊は混乱状態だ。
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ソヴィエト軍前線司令部
「……また来たぞ! 伏せろ!」
凄まじい地響きと共に、前線司令部の重厚なコンクリート壁が悲鳴を上げる。天井からは粉塵が舞う。
黄海に展開する新太平洋艦隊――戦艦「長門」「榛名」の巨砲、そして航空戦艦「伊勢」「日向」から放たれる砲弾の暴力的なまでの破壊力は、堅牢な防御陣地を引き裂いていく。さらに、空を埋め尽くす「葛城」「天城」「阿蘇」「笠置」「生駒」の艦載機群が、前線司令部と地上部隊を襲い、そして、退路と通信網を執拗に断ち切っていく。前線司令部内ではソヴィエト軍将校たちが、降り注ぐ爆撃と硝煙の中で右往左往していた。情報の空白と予期せぬ「日本の大艦隊」の出現という戦術的悪夢に、彼らの精神は限界を迎えていた。司令官は、煤にまみれた顔で通信参謀を怒鳴りつけました。
「何を突っ立っている! 早く打電しろ! 旅順、大連の司令部だ! 奴らにこの日本軍の大攻勢を知らせるんだ!」
通信参謀は、震える手で電鍵を叩き始めた。爆風で掩体の破片が吹き飛ぶ中、絶望的な救援要請の電波が、黄海を越えて北へと放たれる。
「旅順・大連の司令部に緊急連絡。現在、平壌は日本軍の大艦隊と航空部隊によって、苛烈な攻撃を受けている。壊滅は時間の問題である。至急、救援を請う。繰り返す、至急、救援を請う……!」
「どこが最前線だって、そんなのわかるかっ!すべてが最前線だ!」
しかし、その叫びが届くべき場所へ到達したかは定かではなかった。平壌のソヴィエト軍現地司令部は大混乱状態。司令官は通信参謀に急いで通信をさせる。
「旅順・大連の司令部に緊急連絡 現在、平壌は日本軍の大艦隊と航空部隊よって、攻撃を受けている、救援を請う。繰り返す、旅順・大連の司令部に緊急連絡 現在、平壌は日本軍の大艦隊と航空部隊よって、攻撃を受けている、救援を請う」
空母機動部隊による電波妨害と、山間部のレーダー基地・監視所への徹底的な目潰し攻撃により、ソヴィエト軍の神経系はすでにズタズタに引き裂かれていたからだ。司令部の通信機からは、ただ雑音だけが虚しく響いていた。




