ウラジオストク上陸戦 3-14 ヴォズドヴィジェンカの翼 1945年9月20日
ヴォズドヴィジェンカの翼
1945年9月20日。
日本軍の占領下となったヴォズドヴィジェンカ飛行場は、本土新潟(新潟・八原・小出)の各基地から連日飛来した陸軍と海軍の航空部隊の一大集結地となっていた。かつてソヴィエト軍が極東の長距離爆撃拠点として誇った重厚なコンクリート滑走路と広大な整備場には、かつての日本機とは一線を画す最新鋭の機体が整然と並び、独特の重圧感を放っている。
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四式改戦闘機「疾風」蘇った二千馬力
かつて慢性的な不調に悩まされた「誉二一型」エンジンは、統合兵站本部の手により再設計された。
技術刷新
《帰還鋼》耐熱新合金によるシリンダーヘッドの再設計と、新型点火プラグ、改良された燃料噴射装置の採用。これにより、カタログスペック通りの2,000馬力を安定して発揮する信頼性を獲得。
性能
燃料の質、点火系の安定により、高高度における出力低下を克服。大陸の広大な空において、ソヴィエト軍のあらゆる戦闘機を速度で圧倒する。
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五式改戦闘機「飛燕」高度の支配者
液冷エンジンの生産・整備難に苦しんだ『飛燕』は、空冷の《帰還鋼》製の金星五四型(仕様)へ換装されたことで、究極の万能機へと進化した。
心臓部
零戦六四型改と共通の金星エンジンに、再設計された排気タービン(ターボチャージャー)を同調。
垂直機動
希薄な大気の中でも力強く上昇し、高度10,000メートル付近での機動力は、P-51ムスタングやF6Fヘルキャットを凌駕。急降下から一転しての垂直上昇という、ソヴィエト機には不可能な機動を可能にした。
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統合兵站本部による昇華
これら「改」仕様機には、帰還艦隊がもたらした新素材と生産技術が投じられている。
新素材の恩恵
《帰還鋼》の高張力かつ軽量な新合金を機体骨組みに採用。旋回性能という日本機の強みを維持したまま、翼のねじれや振動を抑え、急降下耐速を大幅に向上させた。
高稼働率
《帰還鋼》を使用したエンジンと部品の規格の統一による整備性の向上により、前線での稼働率は常に80%以上を維持。
神出鬼没の迎撃
操縦が容易で、かつ限界性能が高いこれらの機体は、熟練パイロットの意のままに動き、ソヴィエト軍のYak-9やLa-7の大編隊に対し、一撃離脱と格闘戦を織り交ぜた圧倒的な空戦を展開した。
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北の空の断罪
ヴォズドヴィジェンカの滑走路から、統合兵站本部《統合型》の金星と誉の重厚な排気音が響く。
これら「精鋭部隊」の進出により、ウラジオストクの周辺の広大な空域の制空権は、完全に日本軍の手中に収まった。
ソヴィエト軍地上部隊は、空からの容赦ない機銃掃射と爆撃に晒され、もはや安全な移動は不可能となった。
さらに、日本から重爆撃部隊がヴォズドヴィジェンカ空港に進出する。
* 海軍・一式陸上攻撃機三四型:長大な航続距離を誇る「陸攻」。
* 陸軍・四式重爆撃機「飛龍」: 高速性能と重武装を兼ね備えた最新鋭機。
* B-17E「フライング・フォートレス」:フィリピン戦線で鹵獲され、日の丸を塗り直された機体。
* B-24J「リベレーター」:各地のアメリカ軍基地より鹵獲された。B-17を凌ぐ、爆弾搭載量を持つ。
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さらに、滑走路の片隅、見渡す限りの広大な誘導路を埋め尽くしていたのは、緑褐色の迷彩を施された40機以上の一〇〇式輸送機の群れであった。双発の重厚な機体が整然と翼を連ねる光景は、これから敢行される作戦の規模と壮絶さを無言で物語っている。
陸海精鋭の集結
一〇〇式輸送機の翼の下には、決死の降下作戦を目前に控えた二つの「精鋭部隊」が静かに準備を整えていた。
一つは、パラシュートと自動小銃、そして近接戦闘用の一〇〇式機関短銃を身に纏い、誇りを取り戻した陸軍の精鋭部隊「第1挺進団」。
そしてもう一つは、濃紺の作業服に特製の降下用具を身につけ、海軍陸戦隊の誇りを胸に刻んだ「横須賀鎮守府第一特別陸戦隊(横一特)」である。
本来ならば軍隊の壁と縄張り争いに阻まれがちな陸軍と海軍が、この極東の地において真の統合空挺部隊として肩を並べていた。通化で泥を啜りながらソヴィエト軍の大群を食い止めている同胞の悲壮な戦い、そして大陸の命運を賭けた大作戦を前に、陸海の垣根などとうに消え失せていた。
ウラジオストク上陸戦 終




