いつぞやの勝者は考える
久しぶりです。ペースがゆったりすぎてすみません。
椿野さんが帰り、部屋には3人が残された。さっきまでの空気が、少しだけ静かになる。
「……で明日昼に中庭ってまじ?」
沈黙を破ったのは秋人だった。
「あれしか状況を打開できなかった」
「それはそうかもしれないけど……椿野さんのことどうするの?」
夏美はまっすぐこちらを見て言う。その視線は、まるで答えを求めているかのようだった。
俺はその眼差しから逸らす。すると、夏美が小さく「あっ」と声を漏らしたように聞こえた。
「秋人、高校からの知り合い、何人かいたよな」
「いるにはいるが……さっき俺が言ったことか?」
「そ。一応連絡つくようにしといてくれ」
秋人は軽く手を上げて応じ、そのままスマホを取り出して連絡を取り始めた。
俺には友達が片手で数えるほどと後輩が1人しかいない。ツテというツテが、本当にない。高校のツテはたくさんあるんだけどなぁ……みんな頭いいしね!
「私は何もしなくていいの?」
「頼もうとさっき思ってけどやめた」
「なんで?一応私も冬馬より友達いるよ」
急に俺への悪口なっている。だが、事実すぎて何も言えない。
「それはうんそうなんだけど。単純にあれだ」
俺は頭をかきながら少しだけ言葉を濁す。
「例えば夏美の友達『え!サークル入るの!?私のところおいでよ!』ってなって話が進まなくなる」
「……」
夏美は俺の言葉を聞き、少しだけ考えるように黙り込む。その様子から、どうやら納得はしているらしい。自分の容姿をもうちょっと考えて欲しい。
俺と夏美の間に妙な無言が生まれた。ほんの数秒しかないはずなのに、なぜか長く感じてしまう。そこに救いの手がかかるかのように秋人から
「連絡とれたけど……って感じかな」
秋人の顔を見るにあまり芳しくないらしい。期待はあまししない方が良さげだ。明日がどうなるか、わかんなくなってきたな……
翌日。
俺たちは椿野さんと途中で合流し、そのまま中庭へと向かっている。
四人で並んで歩くこの感じ、傍から見たらサークルを探してる新入生みたいじゃないか?大丈夫か、俺。まだ留年してないよな。……する予定も、たぶんないけど。
中庭に近づくにつれ、周りのざわめきが少しずつ、大きくなってくる。とはいえ、もう5月の中旬。サークルの勧誘もあるにはあるが4月ほどさかんにやっているわけではない。
どちらかと言うとまだみんな仲良くなり始めたばっか!の人が多いように感じる。最初はみんなて昼食べるんだよなぁ……そのうちめんどくさくなって適当な理由つけて行かなくなるまでがセットだ。
中庭の中央にやってきた。するとビラ配りの人がーー
「軽音どうですか!!面白いですよ!!」
と早速声をかけてきている。もちろん、その相手は俺ではなく夏美だ。多分俺と同い年か、3年生だろう。
夏美はうまく「えー考えてみます〜」と可愛い声を出している。普段から俺に対する態度もそれでお願いします。そっちのがいいよね平和だし。
夏美は「えー、考えてみます〜」と愛想よく返している。普段から俺に対する態度もそれでお願いしたい。絶対そっちの方が平和だし。
その様子を見ていた椿野さんが、少し引いたように周囲を見回した。
「……なんか、思ってたよりすごいね」
周りでは勧誘の声が飛び交い、ビラを配る人たちが歩き回っている。5月になって多少は落ち着いたとはいえ、初めて来る人からすれば十分騒がしい。
「4月はもっと地獄だったぞ」
俺がそう言うと、椿野さんは「うわぁ……」と小さく声を漏らした。
「毎日こんな感じだったの?」
「いや、もっと酷い。駅出た瞬間から勧誘されるし、チラシ渡されるし、知らない先輩に肩組まれそうになるし」
「それもう怖いんだけど……」
椿野さんは少し顔を引きつらせた。
「まあ、今はかなり平和になった方だよ」
秋人も苦笑しながらそう言った。
実際、今の中庭はまだ落ち着いている方だ。四月なんて、新入生を見つけた瞬間に先輩たちが群がっていた。あの熱量を一年中別のことに向けられたら、日本はもっと発展していると思う。
「でも、ちょっと安心したかも」
椿野さんが小さく呟く。
「安心?」
「うん。もっと堅苦しい感じなのかと思ってたから」
その言葉に、夏美が少し笑った。
「サークルって、案外ゆるいところ多いよ?」
「ゆるすぎるところもあるけどな」
俺がそう返すと、椿野さんは少しだけ肩の力を抜いたように笑った。
よう実のアニメにハマっている日々です。
個人的に推しは鈴音と翼 可愛いですよね
いかがだったでしょうか??
『こいつおもろいぞ』『続き読みてえ』などの感想が
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