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勇者の後始末  作者: ルケア
1章
2/44

1話

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 ここは街道。アンカリアス辺境伯領とペインモラン辺境伯領を繋ぐ街道。必ずしも大きくはないが、それでも馬車がすれ違うだけのことが出来る街道である。


 ここは交易の要衝でもある。辺境伯領は広大といえども、一辺境伯領だけでやっていける訳ではない。必ず何処かと交易をしながら過ごしていかねば、生活は成り立たない。


「居たぞ! こんな所にも現れやがって!」


 雷鳴の勇者グレームが吠える。勇者が何故こんな場所にいるのか。それは魔物が、魔王が現れたからである。魔王は魔物を引き連れて人間の領域を侵しに来る。


「道を作る! まずは魔王からだ! 周りの魔物を相手どるのは後でいい! 強化を無くしてしまえばただの魔物だからな! アースピラーズ!」


『ガアアアアアア』


 大地の勇者アルフレッドがアースピラーズを放つ。地面から出てくる無数の柱が魔物を打ち上げる。そしてそれが足場となる様に先へ先へと現れる。


 魔王は魔物を強化する。それは世界共通の認識だ。だから勇者たちもまずは魔王から討伐するように教え込まれる。魔王さえ倒してしまえば、後は弱くなった魔物だけだからだ。


「先制攻撃よ! ここからでも狙い撃てるんだから! 行け! メテオフォール!」


 流星の勇者シャーロットが空から隕石を落とす。空からの攻撃だが、それに黙って当たる魔王ではない。横に移動し、隕石を躱す。周りの魔物は被害を受けているが、魔王にとっては何も関係ない。


 ただ、部下が少しやられただけだ。数の優位はこちらにある。焦らずとも攻め続ければいいと思っているのかは不明な所だが。魔王にどのような思考があるのかは解っていない。


「だから毎度毎度待てと言っているでしょう! 魔王を捕まえる方が先なのよ! グロウプラント! さあ魔王を捕まえるのよ!」


 新緑の勇者ウェンディが植物による魔王の捕獲を実行する。ついでにその近辺の魔物も拘束していく。魔王が逃げるその先を塞ぐように障害物を作っていく。


 逃げる魔王、だがその状態でも魔物たちは勇者たちを襲う。勇者を倒してしまえば魔法が止まると知っているからだ。だからこそ勇者は狙われ続ける。


 それでも彼らは戦い続ける。何故ならば勇者だから。魔王を討伐するために人神に遣わされた存在だから。魔物が襲い掛かる。だがその瞬間に魔物が爆ぜた。


「突っ込むのも魔王を狙うのも良いが、まずは自分の周りの安全を確保しろと言っているだろう。剣術で対処するにしても限界があるんだからな。たとえゴブリンといえどもだ。エクスプロード!」


 爆炎の勇者ゴドフリーが魔物を吹き飛ばす。此度の魔物はゴブリンと呼ばれている緑色をした人間よりも小さく醜い存在だ。それが魔王によって強化され、手に負えない状態になっている。


 ゴブリンは特徴に悪食がある。何でも食べてしまうという性質を持っている。たとえ、同族の死体であろうとも食べて生き延びる事が出来る魔物である。


 襲い掛かるゴブリンの数は数千。それに対して勇者は5人。圧倒的に不利なようにも見える。だが、魔王は1体と決まっている。魔王同士が協力することは在り得ないからだ。


 それが解っているからこそ、勇者だけで討伐に行くのだ。魔王の影響下の魔物を倒すには勇者の力が必要だ。魔王の影響下に無い魔物であれば、人間の冒険者でも対処は出来るのだが。


 全ての魔物を勇者に倒してもらう。それが理想だが、そんな事は出来ない。勇者にも限界はある。だから勇者でなくても倒せる魔物は冒険者と呼ばれる職業の者たちが倒している。


 勿論軍隊である兵士も似たような事はやっているのだが、冒険者は魔物を討伐することによってお金を得ている。魔物は何処にでも湧いて出てくる。そう、湧いて出てくるのだ。


 魔神が人間の領域内に魔物を放り込むことも在り得るのだ。人神が同じことをやっているかどうかは不明だが、魔神はそう言う事をやってのける。


 たとえ、後方で在ろうとも、絶対に安全にはならない。それは各所の魔物被害で経験していることだ。魔物の被害は各所である。今まで人が管理をしていた森でさえも、明日には魔物がいるかもしれないのだ。ただし、魔王は別とされている。


 魔王は一定以上の魔物が居ないと、魔神が投入しないと言われている。魔王は魔物を強化する存在だからだ。魔王単体でも普通の魔物よりは強いとはいえ、周りに魔物を連れていた方が脅威だ。


 今回の様に、ゴブリンを数千周りに配置されていると、かなり苦戦が考えられる。勇者1人では中々に討伐しにくい状態なのだ。


 だからこそ、勇者は何人かでパーティーを組む。今回のこの5人もアンカリアス辺境伯領で生まれた勇者たちのパーティーだ。魔王は組まないが、勇者は組む。それが最大の違いと言える。


『ガアアガアアアアアア』


「捕まえたわ! 今よ! やりなさい!」


「解ってるっての! 行け! メテオレイン!」


『ガアアアアアアアアアア』


 勇者の魔法は人間に干渉しない。そういう魔法だからだ。これは人神が決めたこと。人間同士の争いごとに勇者を投入できない様にするための枷。


 だからこそ、雷鳴の勇者グレームがいるところに、大胆にも魔法を撃ち込めるのだ。グレームはメテオレインの直撃を受けながらも平気な様相である。という事は、魔王の懐に入り込んだとも言える。


「行くぜ! ライトニングエンチャント! 止めだああああ!」


『ガアアアアアア……』


「よっしゃ! 後は雑魚狩りだ! 逃がすんじゃねえぞ!」


「グロウプラント! 当然! 全部片付けるわよ!」


 勇者たちの活躍によって、街道は魔王の手から人間の元に帰って来た。数時間後にはゴブリンの死体の山を築き上げ、勇者は凱旋する。


 魔王の討伐を受けて、人々は喜び、勇者たちに賛辞を送る。それが当たり前の光景だ。何故なら彼らは勇者だから。魔王から人間を守る存在。人間の活動領域を増やすための存在。


 ただ、勇者も人間である。毎日が戦闘では精神が持たない。戦士にも休息は必要である。故に暫くは休みである。勇者たちは拠点へと戻っていった。

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