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超絶久々の投稿です………
お待ちしていた方が居る………かもしれませんが。
その方は長らくお待たせいたしました。
別枠のエルーナの物語が落ち着いたのでこちらの更新をぼちぼちやって行ければと………リアル次第でもありますが。
ここまでのあらすじ。
モラハラ幼馴染みに耐え兼ねて自殺した主人公は、前世でプレイしていたギャルゲーの世界に転生した!
本来なら存在しないはずの主人公の双子の兄、陸斗として…!!
夢だと思っていた陸斗は勢いで推しキャラ、篠森宮子に告白するも玉砕(理由はシチュエーションがダメ、なので実際は両想いなのはお互い承知済み)。
後日、改めてデートをして宮子の望むシチュエーションで告白し直してめでたく恋人同士になるも、
原作主人公である弟、海斗により陸斗と宮子は妙な噂を流されてしまう。
そんな中、原作とは違い陸斗の親友で常識人でもある情報屋気質の宏と、その彼女であり同じく情報屋気質の楓が調査に乗り出してくれたのだった。
(陸斗が宮子と恋人同士になった“一方その頃゛でカップルになってた宏と楓である。)
\イマココ/
あれから数日経って、教師陣や学校からの『根も葉もない噂話に惑わされない事』等の指導や、宏と薙原による証拠写真込の新聞による噂の否定が入ったお陰で噂は沈静化した。
(宏と薙原はその後新聞部に勧誘されていた。と言うか逆に利用する為にも入部したらしい。)
やはり、前世のクズと比べたら詰めが甘い。
むしろ、嘘の噂を流してまで俺達を陥れようとした海斗達の方が少し立場が悪くなってる。
方や品行方正に生活してきた優等生、
方や(イケメンだから)人気はあるものの素行不良な生徒。
さあ、どっちの言う事が信じられる?
ってだけの話だ。
……双子だから顔はそっくりなはずなんだがなんでアイツばかりモテるんだ?
※ 陸斗本人は気付いてないが、大抵近くに宮子が居る上に能動的にモテる努力をしていないので彼女持ちの余裕、の判定されているからモテないだけである。
2人に熟年夫婦感があるのも一因。
※2 海斗はモテる為に努力を重ねて基本的にイケメンムーブを意識して動いているので女子ウケが良く男子から嫌われやすい。
「…なぁ、楓?」
「ヒロ、言わぬが花。」
「そっかぁ…。」
ん?宏と薙原は何故苦笑いを…?
宮子はニコニコといつも通り癒し系の笑顔だが。
「…それで、宏?」
「おう、噂の件だろ?情報は掴んでるぜ旦那。」
「ニヤニヤしながら言うな。
お前、状況を楽しんでるだろ。」
「んっ。楽しまなきゃ、損。」
「そうかい…………
コイツら生粋の情報屋気質なんじゃなかろうか。
まぁいいや。
状況がわかってないのか未だにニコニコとしている宮子が可愛くて彼女の頭に手を置いて撫でながら話を聞く体制に入る。
それに対して宏が一瞬シラケた顔をした後溜息をつきつつ薙原を後ろから抱きしめながら話し始めた。
※3 宏は身長175cm、楓は身長164cm
「はぁ…………
「んぅ…ヒロ…?」
「…?
宏、なんで急に薙原を抱きしめてんだお前。」
「お前こそ右手の行先見てからものを言え!!」
「は?」
「よし、不毛だから流す。」
「お、おう…?」
「~♪」
普段の無表情がウソのようにニコニコ顔の薙原。
キャラ、壊れてね?
やっぱりここは現実なんだなぁ……
ともかく、宏と薙原からの情報で分かったのは………
思ったよりも簡単で、
思ったよりも面倒な事態になってる、って事だ。
「………。」
「ん?心当たりがある、って顔してるな?陸斗。」
「ああ。
ただ、どうすりゃいいのか分かんねぇ、ってのが正直な所だ。」
状況としては、恐らくだが、時雨の中身はあのクズ幼馴染じゃ無いって事だ。
だが、同時に時雨はクズ幼馴染かナニカに取り憑かれてるっぽいな。
海斗の方はそんな時雨の為に動いてるっぽい。
敢えてゲーム的に言うなら時雨ルート、だな。
ぽい
なのはどうにも時雨の動きがチグハグだから、だ。
基本的な動きは今までの時雨だ。
だが、時折苦しむ様な顔をした後でクズになるらしい。
海斗はそんな時雨の事に気付いていて、だが逆らえないのかなんなのか、嫌々ながらもクズ行為に付き合っているらしい。
いや、止めろよ。
一緒になってクズるな。
てかこの世界、元は現代ラブコメだから異能も魔法も無いのにそんな事象が起きてるとか対処のしようがねぇじゃねぇか。
それとも何か?異能者とか居るのか??
とにかく、考えを宏に伝えると、宏は顎に手を当てて熟考する素振りを見せたあと、
「……いや、俺はそんな話しは聞かないな。
漫画やアニメじゃあるまいし。」
と答えた。
まぁそうだろうな。
いくらココがギャルゲーが元になった世界とは言え、現実世界ではあるしな。
……ん?なんか少し引っかかるな…?
「だろ?だから時雨の件も荒唐無稽過ぎるし確証が無いんだ。」
「そうだな…なら楓、君は何か知ってるか?」
「んっ。心当たりはあるよ。」
「マジかお前すげぇな!流石俺の楓だ!!」
「(!)ヒロに褒められた…♪」
まぁ、俺自身前世の報われなかった男が取り憑いてる人間なんだけどさ。
だから、有りうる、と言うだけ。
「現状は打つ手なし……だな。」
「くそ……犯人は分かってるのに俺達には何も出来ないのか…?」
「ヒロ…
「こうなったら…!
楓、その心当たりも絡めてもう少し調べてみるか!!」
「んっ!わたしも頑張る!!」
「宏、薙原。
分かってると思うが危ない事はするなよ?」
「「当然!」」
2人はそろって親指を立てるをすると教室から去っていった………
さて、そうなると俺や宮子に出来る事なんか特に無い。
異能バトル系の主人公でもあるまいしな。
それにそもそもの話、俺達は何も悪い事なんかしてないから堂々としてりゃいい。
前世と違って今回は教師陣や学校は味方側だと見て問題ないだろうしな。
そこら辺はギャルゲーの学校らしく高潔なのかもな。
「はぁ………俺に○ーケンとかペ○ソナとかみたいな異能が使えりゃあな………
「………?陸くんが読んでるマンガのお話かな??」
「ああ。そんな所だ。」
(正確にはゲームの話だが。)
びっくりする事に現実世界であるこの世界には前世同様のマンガ、ラノベ、アニメ、ゲームもある。
ただし、この世界の元になったギャルゲーやそれがアニメ化やマンガ化した作品だけは無いが。
まぁ、あったらおかしな事になるだろうしな。
微妙に、ほんのりと平行世界してんのなここ。
ちなみに、前世の幼馴染みの苗字(深く考えても“財閥だから”の括りで一般常識になってたそれしか思い出せなかった)を検索しても、警視総監の名前も違う訳だしその財閥も存在しなかった。
だからそうゆう所も平行世界してる。
ただし、芸能人等の著名人は全て存在するし前世同様の歴史を積み重ねてきてる日本ではある。
日本は江戸時代、徳川家が支配していたし、その後の近代では明治時代、大正時代をえて昭和時代に第二次世界大戦で核爆弾を落とされたし戦争に敗北したしその後は平成、令和と続いている。
ただ、違う点があるなら前世の幼馴染み関連の家系や企業の長が全て別の家……【一ノ瀬財閥】とすげ変わっている事と、
そしてファンタジーなこの学校が実在している事だ。
大体、前世にはこんなギャルゲーみたいな学校なんかある訳無いしな。
【私立夜桜高等学校】
それが俺たちの通う学校の名だ。
これまた一ノ瀬財閥が運営する学校である。
数年前にはその財閥の御曹司が通っていたとか。
閑話休題。
「まぁ、とりあえず俺達は帰るか。」
「うん!今日は何作ろうかなぁ〜?」
「和食な気分だな……肉じゃがとかどうだ?」
「うん♪それなら後はおひたしとかかなぁ?」
「それと、魚はどうだ?」
「うーん……焼く?」
「刺身が良い。」
「はぁい♪了解だよ!」
(!)もしここに宏が居たら『お前らは熟年夫婦か!?』とツッコミを入れてる所である。
ツッコミ不在の恐怖。
買い物をしてから家に帰り、一息ついた所で家事を済ませて今はまったりした時間。
隣に座る宮子が俺の肩に寄りかかってくるからその心地良い重さと体温を感じていると、不意にスマホが鳴った。
ディスプレイには【田島 宏】と表示されている。
「もしもし?どうした宏。」
『単刀直入に言う、調査結果が出た。』
「……宏?」
“調査結果が出た”
そう言う宏の声は、えらく強ばっていて、電話越しでも緊張感が伝わってくる。
ゲームならともかく、現実世界の宏だと、この後出てくるのはきっとギャグじゃないだろう。
そう覚悟して続きを待った。
『……時雨明日香は、ネタでも何でもなく本当に悪霊に侵食されている様だ。』
「……本当、なんだな?」
『正直、俺の方が信じられねぇよ。こんなオカルトじみた話。』
「気持ちは分かる。」
だが事実、俺自身が
“佐倉陸斗に憑依した人間”
みたいな者だからな。
時雨明日香も似た様な状況になっててもおかしくは無い。
「けど、お前が言うからには何かソースがあるんだろ?」
『ああ。
楓の知り合いに【東雲聖】って奴がいるんだが。
そいつの家系は陰陽師でな?』
「急にオカルト一辺倒になるなオイ。」
てか、そう言えば同じ会社の別ゲーに居たなそんな人。
この世界、原作ゲームを作った会社が存在しないからおそらく同社のゲーム全て、或いは一部が現実世界に反映されてる、のか…?
ちなみに、【東雲聖】ってのは別ゲーの奇伝系ギャルゲーの攻略対象だったりする。
プレイしたことが無いから詳しくは知らないし、そもそも話が逸れるから詳しくは語れないが。
ともかく、そんなだから宏自体も半信半疑、と言ったところだな。
『ソイツ曰く、『時雨さんからは妙な気配がするし、私の………が反応してる』だそうだ。』
「…?なんか一部が聞こえなかったんだが。」
『『部外者には言えない。』だとさ。』
「は?」
『今はその話は別だ。
ともかく、お前の読みが当たってたってワケだ。陸斗。』
「出来れば当たって欲しくなかったけどな、こんな荒唐無稽な話。」
『さっきも似た様な事を言っていたな?』
「そりゃな。だって憑依とか悪霊、更に陰陽師と来た。こんなのマンガかっつーの。」
(まぁ俺自身がそんな陳腐なラノベみたいな奴なんだが。)
『ははっ……“現実は、小説より奇なり。”だな?』
「そうだな。ともかく、悪霊って事なのか?」
『眉唾すぎて話を鵜呑みには出来ないがな。』
「分かった。
そんな超常現象、対策もクソも無いけど一応警戒はしとく。」
『ああ、そうしてくれ。
その…言いにくいんだが…東雲さんに『もし貴方の知り合いに【篠森宮子】がいるなら気にかけてあげて。』とか言われたからな。』
「は?」
「…陸くん?」
「あ、いや。何でもないよ宮子。」
『ん?近くに篠森さんも居るのか?』
「ああ。半分同棲してるみたいな感じだな。
家も隣同士だし。」
『そうか。
ともかく、東雲さんから預かってきた札があるから明日渡す。
あんなこと言われて不安だろ?
今日は一緒に居てやれ。』
「言われるまでもない。」
『じゃあな。』
そう言って宏は電話をきった。
にしても。悪霊……?
しかも、宮子が危ない?
クソッ………意味がわからねぇ…!!
そんな俺の様子に宮子は何か思う事があったらしく、俺を胸元に抱き寄せて頭を撫でてきた……
「大丈夫…?お顔が怖かったよ…??」
「………。」
宮子には話しておくべき、か?
そりゃあ、物語とかだとこうゆうとき、『未確定情報で徒に不安にさせる訳には』とか思って何でもないって誤魔化すんだろうが……
『言わなきゃ伝わらない。』
正に、その通りだ。
だから俺は……
「…宮子。話半分でいいから聞いてくれないか?」
「うん。話してよ陸くん。」
「どうやら宮子も悪霊に狙われてるっぽい、らしい。」
「ふぅん…?」
「……やっぱりそうゆう反応だよなぁ?」
『やっぱり眉唾だよな。』
俺はそう思ったけど、宮子は首を傾げてキョトンとしたあと、パッと笑顔 (すごくかわいい、好き。)になって胸元から御守りを2つ取り出した。
って!!そのたわわなものから御守り!?
しかも2つ!?
俺がそんな驚いた顔で見ていたからか、宮子は自分が何をしたのかに気付いてカァッと頬を染めると言い訳をするように慌てて口を開いた。
「あ、違うの!!あのね?昔からおばあちゃんに『この御守りを肌身離さず持ち歩きなさい』って言われてて…だから、そうゆう事もあるのかなぁ…?って。」
「宮子の婆さんって何者だよ。」
「東雲紫おばあちゃん…?」
「いやフルネーム言えって意味じゃーって、東雲!?」
「うん…?おばあちゃん、陰陽師?の東雲の家系なんだって〜。
お母さんは、優秀なお姉さんが家督を継ぐからって事で陰陽師?の修行はかじる程度だったとか…?」
ちっっっか!!!?
近いなおい!!!?
そうなると東雲聖とは従姉妹なのかよ!?
マジか!!話が出て早々に宮子も関係者だって判明するとかなんなの!?
そんな話!原作には無かっー
『従姉妹の聖ちゃんからもらった御守りだけど…今は海くんに預けるね?』
ーあっったわ!なんかそんな話が出てたわ!!
くっっそどうでもいいくらいにその1文で終わってるし名前もそこでしか出てこないけどな!!
てかよく思い出せたな俺!?
「それと、もう1つは昔、親戚の聖ちゃんからもらったものなの……あっ!そうだ!
聖ちゃんからもらったこの御守り、陸くんに預けるね?」
「えっ!?嬉しいけど…なんで??」
「…?だって、悪霊関係なんでしょう?
なら、陰陽師さんが作った御守りがあった方がいいんじゃないかなぁ〜…って。」
「………おう。」
奇しくも原作と似た様なセリフを引き出してしまったな。
………胸元から取り出したばかりの、宮子の温もりと香りがする御守りを俺は首からさげた……
…………………………試練か?
この後、宮子と朝までイチャイチャ(意味深)したのは言うまでもない。