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『ツインソウル物語3』“初恋”  作者: 大輝
第11章 盆踊りの夜
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初恋11

「あ、お好み焼き食べよう」


「食べたら、盆踊り行こう」


「オッケー」


【盆踊りの会場】


男子達が居たぞ。


「先生。肝試ししょいや」


「良しやるか」


「女子も誘わにゃ、面白ないけ」


〈野上卓が、香、眞澄、未来の3人を連れて来た〉


「なら、2人ずつなぁ」


「ちょうど男女4人ずつ居るか」


「え?私も?」


「璃子ちゃん、きょうてえだらあ」


野上君、それを言っちゃあいけないよ。


「こ、怖いもんですか。お化けなんて非科学的な物は信じてないんだから」


素直じゃないねえ。


「うちに泊まりに来た夜に、怖い話しすると、ピーピー泣いてたのは誰だったっけ?」


「それは、小学生の時でしょう」


璃子ちゃんは、小さい時からずっと響先生と一緒なのね。


良いなあ…


雲の上での約束、あれはただの夢じゃないと思う。


あの夢を見るようになったのは、中学生になっばっかりの頃。


そして本当に、目の前に現れたの。


「あみだで決みょ(決めよう)か」


そして、あみだくじでパートナーを決める事に…


荻野寛太は、浅田未来と。


野上卓は、諏訪眞澄と。


「俺、璃子ちゃんとだわ」


柿崎玄は、高梨璃子と。


残ったのは、香と僕だ。


【お稲荷さんの鳥居】


「本当に行くの?」


「きょうてえ事無いけ」


「待ってよ」



【神社の裏】


「浅田ぁ、行かじぇ」


「うん」


最初に荻野寛太と浅田未来が入って行った。


「とっとと行くわよ」


「なら行かか」


次に野上卓と諏訪眞澄。


「璃子ちゃんも行かじぇ」


「い、行くわよ」


「きょうてえだか?」


「お化けなんて居ない居ない」


璃子も柿崎玄について行ったけど…


大丈夫かあ?


さて、僕達の番だ。


「怖いか?」


「怖いです」


璃子と違って素直な子だなあ。


「一緒だから大丈夫だよ。行こう」


「はい」


【お墓】


満月だ。


おっと、香がしがみついて来た。


まあ…しょうがないか。


そんなんで歩けるのかあ?


「キャーわっ、わっ、わっ、わー」


璃子の悲鳴だな。


お化けなんて非科学的な物は、信じないんじゃなかったか?


柿崎、璃子の事は任せたぞ~


まあ、頑張れよ。


大変だろうけどな。


横を見ると、香が目を瞑って歩いてるし…


「大丈夫か?」


「怖いけど、先生と一緒だから」


もう、2人だけで居てもドキドキしなくなった。


先生と一緒に居ると、ホッとするの。


ずっと一緒に居たい。


「そうだ。先生、学校のひまわり畑知ってますか?」


「行った事無いぞ」


「私達が種を蒔いたの」


「じゃあ、今頃大きくなってるんじゃないか?」


「私の背よりも大きくなったんですよ。あそこに行くのが好きなの」


へー、今度見に行ってみるかな。


そんな事を話しながら歩いていたら、お墓を一周回って出口だ。


【神社の裏】


璃子達が居た。


泣きわめくから、化粧が落ちてるぞ。



〈バッグの中をゴソゴソと探す璃子〉


「あれ、ハンカチが無い」


「落といただかいな?」


「そうみたい」


「探いて来たげるけ」


「あ、良いわよ」


柿崎が璃子のハンカチを探しに行った。


野上達は、璃子にも可愛いところが有る、なんて生意気な事言ってるぞ。


あ、柿崎が戻って来た。


「くろーて(暗くて)わからなんだ」


仕方ないので、諦めて帰る事にした。


【職員室】


翌日、柿崎が学校に来た。


「わー、探して来てくれたの?」


「あかなって(明るくなって)から行ってみた」


「ありがとう」


朝から璃子のハンカチを探しに行ったみたいだ。


良いとこ有るね~


【学校の裏の川】


そろそろ冷えてる頃かな?


うおー、冷たくなってる。


美味しそう。


さっき柿崎が家の畑で採れたトマトを持て来てくれたんだ。


川で冷やしたトマト。


美味しい。


あれ?


何か流れて来るぞ。


ナスにキュウリ?


ああ、お盆の馬ね。


ナスやキュウリに麻幹か何かで足をつけて馬みたいにするんだよな。


仏さんがそれに乗ってお盆に帰って来るらしい。


終わると川に流す、ってお婆ちゃんが言ってたな。


さて、オヤツのトマトも食べたし、学校に戻るか。


新学期の授業計画を練り直すぞ。


【職員室】


〈夕方〉


終わったーーー


【中町学園前】


さて、帰ろう。


あ、行ってみるか。



【ひまわり畑】


おお、見事に育ってるな。


本当に、背丈より大きい。


立派なひまわりだ。


ちゃんと太陽の方に顔を向けているな。


「アポロンに恋した水の精クリュティエか」


「ギリシャ神話ですか?」


「わっ、びっくりした」


香がひまわりの間から出て来た。


「ごめんなさい」


「別に謝る事はないよ」


「そのお話し教えてください」


「僕が知ってるのはね…」


そして、前に本で読んだ話しをした。


太陽神に恋したクリュティエは、アポロンが日輪車で東の空に昇り西に沈むのを、目で追いかける毎日。


そして、とうとう足に根が生え、顔が花になり、ひまわりになった。


「だから、ひまわりはいつも太陽を追いかけて顔の向きを変えるんだね」


「片思いだったのね…可哀相」


「そうだな。でも、そのおかげで僕達人間は、ひまわりの花を楽しむ事が出来るんだよな」


なんて話してたら、黒い雲が来たぞ。


「アポロンは、ご機嫌ナナメか?」


「ウフフ」


「ほら、降り出した」


僕は無意識に香の手を掴んで走り出していた。


近くのバス停は小さな小屋みたいになっていて、屋根が有るのを思い出した。


【バス停】


ここで雨宿りするか。


「先生」


「うん?」


「あの…手」


「あっ」


手を掴んだままなのを忘れていた。


〈恥ずかしそうにする香。横を向く響〉


「ちゃんと拭けよ。風邪ひくからな」


〈横を向いたままハンカチを差し出す響〉


「あっ、持ってるから大丈夫」


そのまま、こっちを見ないで。


雨に濡れて、服が透けて見えちゃう。


「もう黒い雲が通り過ぎた」


「本当」


「先に帰れ」


「はい、失礼します」


一緒に帰るわけいかないからな。


まだ明るいし、大丈夫だろう。



「先生。ここに、おんなった(いらっしゃった)だかいな」


荻野寛太と野上卓だ。


「この辺は、クワガタ居そうだよな」


「クワガタもカブトもおっじぇ(居るぜ)」


「砂糖水用意して、取りに行こうかな」


さーなむん(そんなもん)なーても(無くても)出て来っじぇ」


【響の宿舎】


〈朝ーーーっ〉


コッコ「コッコッコッコッ、コケー」


「先生、起きとんなるか?」


【庭】


縁側に出てみると、生徒達が来ていた。


「今、コッコちゃんに起こされた」


「虫取り行かじぇ」


悪ガキトリオがクワガタ取りに誘ってくれた。


【森】


木洩れ日の中を歩く。


森林浴は気持ちが良いなあ。


ここなら、クワガタもカブトも居そうだな。


【森の奥】


「この辺におると思うじぇ」


柿崎が木に登って揺すり始めた。


クワガタやカブトムシは、夜行性なので夜が良いそうだ。


雨の後のよく晴れた蒸し暑い日には、活動が活発になるらしい。


そんな話しを聞いた事が有るけど、それはよそから来て大量にゲットしたい人の話しか。


地元の子には関係無いようだな。


虫達はいつでも普通に居るし、今日居なくても明日は居る。


自然体で良いなあ、この子達。


〈ガサガサ〉


「おお!カブトムシ!あ!クワガタも居た!」


「響先生、子供みちゃやな(みたいだ)なぁ」


捕まえた虫達にスイカを食べさせて、もう一度木に戻しておこう。


「持っていにゃーでも(帰らなくても)ええだか?」


「せっかく生まれて来たんだから、虫カゴに入れて飼うのは可哀相だよ。寿命は2.3ヶ月だから、繁殖の邪魔はしない方が良いな」


僕は、虫達を目で見て、手で触れられただけで良かった。


「ああ、楽しかった。ありがとな」


生徒達が笑っている。


あまり笑顔を見せなかった柿崎玄も一緒に笑っていた。




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