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『ツインソウル物語3』“初恋”  作者: 大輝
第10章 夏休み
10/24

初恋10

それから香は、良く見る夢の話しを聞かせてくれた。


それは、生まれる前の雲の上。


中間世と言うらしい。


そこで、地上から戻った2人の魂が再会して、来世の約束をしたそうだ。


「「今度は幸せにするから」って、言ってくれたの。そして一緒に幸せになろうね、って約束したんです」


「そ、そうなのか」


そして、生まれる前に、神様のような光の前で、どんな人生を生きるか宣言するらしい。


そう言われると、僕も覚えが有る気がするな…雲の上での事。


過去世…


中世では璃子と一緒だったのかな?


酒癖の悪い女の子。


全然変わってない。


香は、巫女か。


お姉さんの涼子さんが巫女にならなければ、香が巫女になっていたかも知れないそうだ。


痛て。


また胸が痛んだ。


この感情は何だ?


どっちにだろう?


巫女の彼女?


それとも今の…


どっちも同じ魂か。


いやいや、香は生徒だから…


いかん、いかん。


「あー、えーっと、花火大会終わっちゃうぞ。行かないのか?諏訪と浅田居たぞ」


「あ、行きます」


【奥山町駅】


8月になった。


夏休み中も学校に行くけど、僕の部活は合宿は無いし、東京の学校に居た時のような忙しさは無いな。


他校との意見交換会は、近くの学校が廃校になったので、遠くまで行かなくてはいけなくて大変と言えば大変かも知れないな。


でも、電車で出かけるのも楽しい。


【待合室】


こうやって、この何とも言えない風情の有る駅の待合室で電車を待つのも良い。


相棒も一緒だから退屈しないしね。



【県内の高校】


〈夕方、訪問先の高校を出る響と璃子〉


終わったぞ。


「どっか寄って帰る?」


「とりあえず奥山町に戻ろう」


「そうね」


【電車の中】


「お盆は、東京に帰るでしょう?」


「うん」


お婆ちゃんに聞かなければいけない事が有るしな。


【奥山町駅】


何だかこの駅に降りるとホッとするな。


帰って来た、って感じがするようになった。


【小料理屋】


「ここねー、料理が美味しいから、って、一本木先生に連れて来てもらったのよー」


「へー、デートか?」


「あー、妬いてる?」


「誰が妬くか」


「何よ、ちょっとぐらい妬いてくれたって%#☆」


「うん?」


あー、また酔っ払い璃子だ。


【診療所】


晶子先生に、東京に帰る前に寄ってくれ、と言われてたんだ。


「あ、響君」


「こんにちは」


「実はね、これ、祖父の手紙なんだけど」


宛名を見ると…


関金村…田野倉…都子?


え?!お婆ちゃんの旧姓だ。


本当にうちのお婆ちゃんに?


そう言えば、関金村田野倉、で届くって言ってたな。


「書いたんだけど、出せなかったみたいなのよ」


そうなんだ…


「これ、お婆ちゃんに届けてくれる?実は読んじゃったんだけどね…」


晶子先生は、手紙の内容を話してくれた。



祖母が結婚すると知った浩一郎さんは、祖母が東京に向かう日、上井(現在の倉吉駅)まで追いかけて行ったそうだ。


駅に着いて、ホームまで走ったけれど、ちょうど電車が動き出してしまって、動く電車を走って追いかけると、中に祖母が乗っているのが見えたらしい。


僕は、浩一郎さんの手紙を預かって帰った。


【響の宿舎】


〈朝ーーーっ〉


「コッコッコッコッ、コケー」


「お婆ちゃん、こっち、こっち」


「どうした、浅田」


「あ、おはようございます」


「おはよう」


「先生、東京に帰るんでしょう?」


「今日いぬっだらあ(帰るんでしょう)」


「そうです」


「しょうのけ飯こしらえたけ、電車の中で食いなれ」


「うわー、それでわさわざ?ありがとうございます!」


「璃子ちゃんの分も有るけなぁ。ならまあ、気ーつけなれよー」


お盆でお店はお休みなのに、僕達のお弁当を作って持って来てくださった。


ありがたいなあ。


【電車の中】


璃子と、多喜さんのしょうのけ飯を食べならが東京へ向かった。


19時間ぐらいには家に着くな。


【鐘城家の前】


帰って来た〜


璃子「じゃあね、響。おばちゃんに宜しく」


響「おう」


【鐘城家のキッチン】


「響、お帰り」


「ただいま」


「遠かったでしょう」


「うん。乗っちゃえば7時間ぐらい」


「お母さんも子供の頃一度だけ行った事が有るけど、その時は寝台だった」


「お婆ちゃん、まだ起きてるかな?」


「話なら明日にしなさいよ」


「そうだね」



【川原家】


翌朝、僕はお婆ちゃんの家に行った。


と言っても、この家は亡くなった母方の祖父が建てた二世帯住宅で、1階がお婆ちゃんの家。


2階と殆ど同じ造りになっているんだ。


おっと、お婆ちゃんて呼ぶと嫌がるんだよな。


もう85になるんだけど、年寄りの自覚ゼロ。


「ワン、ワン」


「ココちゃん。ママは?」


「ワン」


【和室】


「ああ、響。お帰り」


「ただいま」


この人、昔から10才以上若く見られていたけど、さすがに今は見た目は年より若くても、腰や足など痛いところが有るんだ。


さっそく預かって来た手紙を祖母に渡した。


「朝風浩一郎さん?」


「覚えてる?」


「誰だろう?」


「地蔵院の盆踊りで会って声をかけた、って言ってたよ」


「そういう人、たくさん居たからね」


盆踊りでお婆ちゃんの歌を聞いて、声をかけて来た人はたくさん居たらしい。


〈手紙を読む都子〉


「ああ、奥山村の人」


昔は、奥山も関金も村だったんだね。


「何度も手紙をくれた人、居た居た。たぶんあの人だと思う。お友達が関金の人で一緒に来た人」


「そう。その友達、結核で若くして亡くなったんだって」


「思い出した。昔は結核で亡くなる人が多かったのよ。私の仲良しの友達もそう」


それからお婆ちゃんに話しを聞いたけど、浩一郎さんとは地蔵院の盆踊りで会ってから、手紙をたくさんもらったので、返事を書いたぐらいだそうだ。


「その頃もうお爺ちゃんと出会ってたからね〜」


はあ、お爺ちゃんとはラブラブだったからな。


「ちゃんとお断りの手紙を書いた気がするけど…」


昭和20年代の話しだ…忘れてるよな。



覚えて無かったぐらいだし、浩一郎さんとは何も無い。


僕が朝風家の人達と血が繋がっているはずが無かった。


「若い時のお爺ちゃん、ステキだったのよ」


ハイハイ。


わかってますよ〜


【奥山町の下町】


お盆休みが終わって帰って来た。


【響の宿舎】


「ミャミャー、ミャー」


「シロ、ただいま。寂しかったか?」


「ニャニャニャ#%☆ニャ」


留守の間は、浅田がご飯をやってくれてたんだよな。


さて、今日から診療所は開いているはずだぞ。


町に一箇所しか無いから、いつまでも休んでいられない、って言ってたからな。


【診療所】


僕は、お婆ちゃんから聞いた事を晶子先生に話した。


「待って、あの手紙…あれがそのお断りの手紙だわね、きっと」


蔵で見つけた古い手紙が、祖母のお断りの手紙ではないか、という事だった。


「血は繋がってなくても、香とは教師と生徒なんだからね、わかってる?」


「わかってます」


【神社の入り口】


今日は、涼子さんの神社で盆踊りが有るらしい。


「わあ、賑やかな音が聞こえるわ」


璃子と一緒に来てみた。


階段を登って行くと、屋台が出ている。


【神社の境内】


先生達が居た。


「香ちゃんに、教えてあげたら?」


「何を?」


「血が繋がって無かった事」


「晶子先生から聞くだろう」


香が微笑んでいる。


もう聞いたのかも知れない。


あの子は、いつも笑顔が輝いてるな。


あの笑顔を曇らすような事を、僕はしてはいけない。


そう思った。


「あ、先生達、戻っとんなる」


「あ、本当」


響先生が帰って来た。


先生と私、血は繋がって無かった。


だから、良いのね、好きでいても良いのよね?



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