第十三話 第二試合
第二試合は屋台での料理対決だ。第一試合では、出場者九十八人中四十二人が通過した。
第二試合は、採ってきた食材で調理をして屋台を開く。その中で一番売り上げが多かった二人が決勝へ進めるらしい。油や調味料は事前に用意されていたので助かった。
屋台は王都の街中に開かれる。どこの屋台を使うかは抽選なので選ぶことはできない。私の屋台十三番を探して彷徨っていると、キュナードさんとばったり出くわした。
「あらー、あなたも第一試合通過したの? おめでとう」
キュナードさんは小さく拍手をする。その動作を見ても、どこか品を感じさせる。
「キュナードさんもですか? おめでとうございます」
私も小さく拍手をして見せる。
聞くと、キュナードさんは十二番、私の隣の屋台らしい。二人で屋台を探していると、武器屋の前に設置された屋台がそれらしかった。大きく十三番と書かれている。
早速準備を始める。無限収納袋から調理道具を取り出し、屋台に並べる。まずは試作品を作ってみよう。
一品目。トマトをすり潰し、塩胡椒で味付けをする。こうしてできたソースを布で濾す。
次に野菜を切り、鍋に入れる。鍋に水魔法で水を入れ、火魔法で煮る。このままだと時間が掛かり過ぎるので、魔法で鍋に空気の圧力を作り出す。圧力鍋の要領だ。こうして出来たブイヨンにコカトリスの血液を入れる。コカトリスの血液は無色透明で、冷やすと固まる性質があるのでゼラチンの代用になる。
続いて茄子、ズッキーニをカットし、油で炒める。塩胡椒での味付けも忘れずに。パプリカもカットする。このとき皮を剥くと口当たりが良くなる。前世で先輩から教わった裏技だ。
四角い木枠の型にブイヨンを流し込み、パプリカとズッキーニを並べる。さらにブイヨンを流し込み、ズッキーニと茄子、パプリカを並べてブイヨンを流し込む。
最後に氷魔法で冷やして固め、型から外して切る。
お皿に盛り付け、ソースを掛ければテリーヌの完成だ。
二品目。バター作り。キュナードさんから貰った牛乳を容器に入れ、振る。とにかく振る。すると牛乳が固まってきてバターが出来た。
次にコカトリスの肉を包丁で刺し、塩を振って水分を抜く。
その間に玉ねぎと人参を炒める。赤ワインを煮詰める。
一時間程経った頃、大きめの木枠にコカトリスの肉、炒めた野菜、煮詰めた赤ワイン、胡椒を入れて魔法で圧力を加えて味を馴染ませる。
鍋に木枠の中身を入れ、赤ワインと水を入れて火魔法で煮る。これまた時間が掛かり過ぎるので鍋に魔法で空気の圧力を加える。
コカトリスの肉を取り出し、布で濾して煮汁のみにする。バターを入れた煮汁を火に掛けてトロみが付くまで煮詰める。
最後にお皿にコカトリスの肉を盛り付け、煮詰めたソースを掛ければ、コカトリスのコック・オ・ヴァンの完成だ。
「わー、おいしそうね」
隣の屋台で調理をしていたキュナードさんが覗き込む。
一応この世界の食材でフランス料理を再現してみたが、魔族の口に合うだろうか。不安を抱えながら、第二試合開始を迎えた。
結果は行列だった。最初に購入した人がその美味しさを広めてくれたのだ。そして、一品銅貨一枚という格安の値段も相まって瞬く間に人気が広がっていった。
「あらーすごいわね。あなた一位じゃない?」
キュナードさんが褒める。
「いやいや、キュナードさんこそ人気じゃないですか」
実際、キュナードさんの屋台も行列が出来ていた。メニューはビーフシチュー一品だけだった。それでこんなに行列ができるのはすごい。ルールでは品数に制限は無いものの、より売れやすくするために数品作るのが普通だ。キュナードさんも有名な料理人だったりするんだろうか。
そして三時間後、第二試合が終了した。結果はプロジェクターのような魔導具で大きく映し出される。
一位 マルシェ
二位 サーレ
三位 キュナード
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一位じゃなかった。マルシェという人物は相当な料理人なのだろう。私の屋台もかなりの行列が出来ていたが、マルシェさんの屋台はそれ以上だったということ。人間界でママと修行をしたといっても上には上がいることを思い知らされた。
第三試合は明日、キューピット王国の闘技場で行われるマルシェさんとの闘いだ。今日は明日に備えて早めに就寝することにした。




