22話 神様!女の子の買い物に付き合うのは大変です!前編
綺麗に敷き詰められた石畳を、馬車が通る。城から城下町まで直線で約1キロ程度だ。途中、川が流れており、橋を通過する。馬車はガタンガタン!と何渡も振動でズレた。車輪は木製で、段差を吸収出来なかったからだ。
「くぅ!お尻痛いですね!」
「そうですね。馬車はこんな感じですよ。ハオは乗った事ありませんの?」
「平民が贅沢言うな!最高級の馬車なんだぞ!他の馬車だったら、もっと痛い!」
「ふーん。足回りに強化スプリング使って、ベアリング噛ませば衝撃なんて、楽々吸収出来るのにね」
「ハオ、それ以上言うと、ミネアの頭が爆発しますわ。で、そのスプリング?とベアリング?を取り付ければ、乗り心地は良くなりますの?」
「衝撃や振動って、どんなに強固に作ってもダメなんです。硬くしても、衝撃で壊れる。だから、拡散させる、もしくは吸収させる構造にするんですよ。地震って揺れますよね?頑丈に家を作っても壊れてしまう。だから、揺れた時のエネルギーを拡散出来る様に、散らせる様にするのです」
プスプス。
あ!ヤバイ!ミネアさんの頭から煙が!これ以上は危険だ!
「ミネア!大丈夫ですか?」
「・・・」
「どうぞ」
僕は紅茶を取り出し、コップへ注いだ。
無言でミネアさんは受け取り、上目遣いでコップに口を付ける。くぅ!可愛いぞ!
惚けてると、マチルダ様が腕を絡めてくる!?胸が当たってますから!!その状態で耳元で囀ずるの止めて!
「あ、ぅ」
「ハオは耳が弱いのですね♪」
「ひぎゃ!?」
足が!?足がぁ!?グリグリするのは止めて!
馬車は城下町に到着する。
かなり栄えている街並みだ。ヨーロッパの石の家の光景を思い出す。通路にはテントが至る所に張られており、そこには沢山の商品が並べ替えられている。
貧しい人はそこで購入し、お金がある人は、建物の中のお店で購入する様だ。
「風情ある建物が並んでますね。石の家かぁ。中に入るのは初めてだな」
「ハオは建築の知識も持っているのですね」
「あ、はい………ほんの少しだけ」
僕は人差し指と親指で、少しだけ隙間を開けた。少しの知識はあるけど、どうやって建てるとかは持ち合わせていない。この異世界にセメントはあるのか不明だしね。魔法を使っているのかもしれない。
「では、参りましょう♪」
「「はい!」」
僕は今、後悔している。
買い物が長いのは知っていた。嫁の買い物に、何時も付き合わされていたからだ。歩いていたら、突然居なくなる。携帯電話を鳴らしても気が付かない。商品を選ぶのに1時間はかかる。
僕は買い物で迷う事は無い。
必要か、不要かだ。手に取り、迷うって事は不要なのだ。必要ならば、値段を見ずにカゴヘ入れるだろう。5秒あれば判断出来るからね。マンション購入も、1日しかかからなかったし。まぁ、それはそれは親に怒られたけど!
でも、買い物で待たされるのには慣れている!だけど、これは一体どういう事だ!?この僕が後悔するなんて!?
「ハオ!次はこれを試着♪」
「うーん。ハオはこのキリッとしたカッコいい服をだな………似合うと思うぞ」
「ハオさん!お似合いですぅ!」
僕は着せ替え人形となっていたのだ!
止めろ!ええい!恥ずかしいじゃないか!ミネアさんも助けてくれないんだよ!フローラさんもノリノリで、マチルダ様はグイグイ押してくるし!
「これとこれとこれ!買って店を出ましょう!」
「マチルダ様。これ等、如何ですか?」
「まぁ、まぁ、まぁ!素敵です!」
おい!店主!倉庫から服を持って来るんじゃない!
そこの店員!!カタログ勝手渡すなぁ!!!
ーー2時間後
「………好きに………して」
「ハオはどれも似合って、困りますわ♪」
「マチルダ様。そろそろお昼にされては如何でしょうか?」
「私もそう思ってましたぁ」
「そう………ね。ハオの手作りお弁当ですものね!」
「助かった………」
広場にシートを引いた。
噴水が目の前にあり、綺麗に石が敷き詰められたている。ベンチがあれば良いのだが、維持出来ないから設置しないらしい。でも、色とりどりの木々が植えられており、目移りしてしまう。
4月だったら、桜も咲くのかな?と思うが、この異世界に桜は無いそうだ。しかし、美しい花を咲かせるな。名前は解らないが、気になる木だな。この木なんの木の歌を思い出す。歌のタイトルも合っているか不明だが。苦笑してしまう。
「マチルダ様、サンドイッチです」
「まぁ、面白い形てますわね♪」
「何だか不味そうだな」
「お腹の辺りが膨らんでてぇ、具が沢山ですねぇ」
「不味そうなら、食べなくていい!因みに、サラさんとスミスさんには好評だったんだ!いらないなら僕が食べる!!」
「ああ!!??僕のだぞ!勝手に取るな!旨そうです!旨そうですからぁ!!ハオ!な!?ちっ!何でサラとスミスの名前が出てくるかなぁ」
何が"ちっ!"だ!僕はマチルダ様にハムサンドを手渡す。そして、フローラさんにはジャガイモベーコンサンドを手渡した。
ハムサンドを手に取り、あーん!と大きく口を開けると、ミネアさんが涙目になっている。うーん。流石に可哀想だ。
「………ほら」
「いいの?」
「………ミネアさんにも………食べて欲しい……から」
うるうると、ミネアさんはハムサンドを受け取った。
はぁ、まぁ、いいか。特製ポットを取り出し、コップに紅茶を注ぐ。勿論、マチルダ様に飲んでもらう為だ。
「マチルダ様、どうぞ」
「丁度、喉が渇いておりました。ありがとう、ハオ♪」
ニッコリと微笑むマチルダ様を見て、僕は癒された!
僕もハムサンドを口にする。うん!旨い!作って良かった!
「ハオ!このソースは何ですの!?」「………美味しい」震え声「このジャガイモベーコンサンドぉ、美味しいです!」
「マヨネーズですけど、何か?」
「マヨネーズ!?」
「ああ、僕が作りました。お口に合いませんでしたか?」
「そんな事ございませんわ!美味しいです!この深いコクと味わいは何!?あと引く酸味が堪りませんわ!ねっとりとした舌触りがまた良いです!!」
「ははは。それは良かった」
ふと、ミネアさんを見る。
マチルダ様とフローラさんは美味しそうに食べている。だけど、ミネアさんだけは固まっているのだ。どうしたのだろう?もしかして、体調がすぐれないのか?
「ミネアさん?」
「…………れ…………だ」
「へ?」
「全部くれ!全種類だ!」
「ひゃ!?」
僕からバケットを奪うと、玉子サンドとジャガイモベーコンサンドを取り出した!右手に玉子サンド、左手にジャガイモベーコンが。交互に食べ出す!ミネアさんてこういうキャラだったか!?
「美味しい!美味しいよ!この玉子サンドにも、このソースを使っているのか!?」
「ええ。ジャガイモベーコンサンドにも使ってますよ」
「ほぇえ。私も玉子サンド欲しいですぅ」
「はい。どうぞ」
バアッと笑顔になるフローラさん!もう可愛い!!全部あげちゃうぞ!
こうして、サンドイッチは全て無くなった。
3リットルは用意した紅茶も空だ。帰りは何か飲み物を買って帰らないいけないね。
「では、買い物の続きを!」
「次はアクセサリーだな!」
「いえいえ、帽子ですぅ!」
「はぁ!?」
帰らないの!?僕は立ち尽くすしかなかった。




