おまけの話し
長くなってしまいました…
「消えろ、巨大迷路!」
迷路が出現してから百年が経った頃だった。
「あぁ…。願えば消えるのかよ…」
がっくりと項垂れる人々。直ぐに追い駆けっこを開始しようとする二人を、他の面々が慌てて止める。
「取り敢えず、ルールを決めよう。鬼ごっこは、午前9時から午後6時まで。それ以外は敵味方無く皆仲良くする事! 良いな!」
渋る二人を納得させ、宿泊の為のホテルや温泉を出現させる。鬼ごっこは明後日の午前9時からと約束させ、その日は解散と成った。
「ちょっと良いかな」
レイラだった。俺は、何もしない事を約束させ、頷いた。
「久しぶりだね。凄く会いたかったよ。…声を聞かせて欲しいな…」
レイラははにかみながら遠慮がちに言う。
「久しぶり。って言うか…迷路には参ったな…。変なの出してご免」
俺は素直に謝った。レイラは首を横に振り、それは良いけど一つ聞いても良いかな? と言う。「何?」と応えると「どうして逃げるの?」と聞かれた。
「それは…レイラが追いかけるから…」
俺の応えに「そうか」と言い、続けて「僕の事嫌い?」と聞かれてしまった。俺は何も応えられなかった。レイラは「ゆっくり考えて」と言い残し自室へと帰って行った。
俺の気持……。俺はアイツの事は‥嫌いじゃない。アイツの顔も声も、醸し出す雰囲気も、子どもっぽい処も…全部…嫌いじゃない…。でも…
次の日から二組のバトルはエキサイトした。銃やバズーカー、戦車。それは日に日にエスカレートする。俺たちは殺しても死なないのだ。死んだ次の日には復活する。だから遠慮が無い。その日も9時の開始に向けて、持ち場に着こうとしていた。俺は何気なく空を見上げた。ホテルの屋上に人影が見えた。その人物は銃を構える。俺は咄嗟に駆け出していた。レイラに突撃する。俺の身体を激痛が通り抜ける。胸の下には鮮血が散っていた。レイラが駆け寄る。その目は大きく見開かれていた。その顔を見ながら俺は意識を手放した。
誰かがすすり泣いている。ベッドの傍の椅子にレイラが座っている。
泣くなよレイラ。俺は、いつかお前がしてくれた事のお返しをしただけだよ。又俺の前からお前が居なく成るなんて嫌だっただけだよ。大丈夫さ、直ぐに生き返るんだから。だから、泣くな……
復活した俺を抱き締めたままレイラは長い間泣いていた。ひとしきり泣いた後でいきなり俺の服を剥き始める。
「ちょっ、何やってんだよ! あははは、どこ触ってんだよ…くっ、くすぐったいって。わわわわっ、それはダメ!パンツは脱がすなって!あぁぁぁぁうっ…」
まだ身体の強張りが残る俺は、巧く抵抗出来ずに簡単に素っ裸にされた。そしてお姫様抱っこされて、お風呂に連行された。レイラは素早く服を脱ぎ捨て、上手く動かない俺の身体を労る様に優しく優しく洗って行く。チャプンと浴槽に浸かる。生き返るようだ…アイツは俺を抱っこしたまま放さない。もういい加減離してくれても良いのに…
「星夜、好きだよ。もう放さないからね」
耳元で囁く。くすぐったくて俺は首をすくめた。それから俺の身体を丁寧に拭って服を着せ、自分は粗方拭いて服を着て、俺をお姫様抱っこしてベッドに運んだ。レイラは俺の身体を気遣い何もしなかった。それから一週間後、油断をしていた俺は美味しく食べられしまったのだった。
この空間は故郷の大自然を再現させてある。雄大な山々、透明度の高い湖、遊園地、水族館、映画館。俺たちは離れていた時間を埋める様に二人で色んな場所へ出掛けた。それを目撃した面々が触発され、あちこちでカップルが成立した。ここは正にゲイ天国状態である。
「星夜、似合ってるよ」
「何言ってんだよ。似合ってるのはレイラの方だろ? 王子様みたいなんだから」
その言葉に赤面するレイラ。結婚式当日。二人は最高に幸せだった。その姿に触発され、又カップルが増えた。偶数だったのであぶれた者は一人も居ない。この空間が幸せ色で満たされて行く。時空の壁は更に強固なもに成った。
千年が経った頃再び神様がこの地に降り立った。そして「時空の歪みが、今後起こる事は無い」と告げた。彼等は未来永劫この地で幸せに暮らす事に成る。
「星夜、大好きだよ。ずっと…一緒だよ」
「うん。俺も好きだよ、レイラ…」
二人は微笑んだ。
おわり
最後まで読んで頂き、有り難うございました。
この作品は、なろう様投稿一周年記念で載せた物です。当初は、三話ぐらいしか無くて、三話だけ載せて終わるつもりでしたが、書いている内にどんどん話しが沸いて来て、するすると書く事が出来ました。完結出来たのは、読んで下さった方々のお陰で御座います。楽しく書けた作品でした。
機会があれば、他の糸香作品も宜しくお願いします。
長々と有り難うございました。




