折れた勇者の心
ジャッジメントの屋敷へと帰ってきたシエナ達。
「ここがお前達ジャッジメントの拠点か…………」
「そうよ。さぁ、入りましょうか」
昨日アギトは、メンバーの固有スキルのテレポートでいきなり屋敷の中へ通された。そして、今朝も屋敷の中からテレポートで、一気にヴィータまで移動したため、拠点がどのような物なのかは知らなかった。
アギトは、拠点の敷地内に入って行く。そして、まず目に入ったのは、優に1000人は入るであろう庭。天使の宴の拠点とは比べ物にならないくらいの広さだ。
そして、その奥に位置する建物。高さは十メートルはあるであろう不気味な建造物。そして、左手に見えるのは大きな教会。右手には細々(こまごま)と建物が並んでいる。
そして、最も目立つのが最も奥に建てられている城だ。おそらく、そこが屋敷なのであろうと理解するアギト。
「どう、驚いたかしら?今日から、あなたはここで私に飼いならされるのよ。光栄に思ってね♪」
「………………」
アギトは鋭い瞳でシエナを睨む。
「うーん、そんな目をしてもダメかな!?あなたはもう、私のおもちゃだからね。それと、逃げようとしない方がいいよ?地獄を見るのはあなた自身なのよ?」
「もし逃げようとしたらどうなる?」
「そうだね………。試してみる?泣いても知らないよ?」
「なめんじゃねーぞ!クソ賢者!」
「えー?そんな口を聞いちゃう?えいっ!」
【パチンッ】
シエナが指を鳴らした瞬間それは起こった…………。
「ぐわぁぁぁぁぁぁっ」
突如、アギトの首と両手に鎖が現れる。首は絞めつけられ、両手は高く吊り上げられてしまう。首の鎖を外そうにも、両手は動かず、どんどん締め付けられる。そしてそれと同時に全身に電流を浴びたような痛みを感じた。立っていられず、両膝を地面につけるアギト。
『クスッ、クスッ、クスッ』
一緒に同行していたジャッジメントの女子メンバーがアギトを見て笑う。
【パチンッ】
再び、シエナが指を鳴らすと鎖は消える。同時に全身の痛みも引いていく。
「ゲホッ、ゲホッ、ハァ、ハァ、ハァ」
「これでわかった?あなたは決して私からは逃げられないの」
「ハァ、ハァ、クソが」
「これでわかったなら、バカな事はしない事をお勧めする」
「…………チッ」
「それと、私の言う事は絶対だからね!言いつけを守れなかったら、自動的にさっきと同じことがあなたに起こるから注意してね」
「返事は?」
「…………あぁ。わかった」
【パッ――ン】
シエナはニコニコ笑みを浮かべながらアギトの頬を叩いた。
「何て口の利き方をしてるの、このゴミ♪わかったじゃなくて、わかりました、シエナ様でしょ?」
「……………」
「それとも、もう一度さっきのを味わいたい?私は別に構わないけどね!見ていて面白いから!」
「…………わかりました。シエナ様」
「そうだな…………うーん…………」
「あっ!じゃぁ、罰として私の足を舐めて♪出来るでしょ!?」
「なっ!」
そう言うと、シエナは靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ、右足をアギトに差し出す
「ほらっ!早く舐めてよ!優しくね♪」
「……………」
「あっ!私がスカート穿いてるからって、パンツは見ないでよね。恥ずかしいから…………」
「………………」
「どうしたの?出来ないの?それとも、お腹痛い?出来ないと、痛い目見ちゃうよ?それでもいいの?」
アギトは、シエナの足を取り自分の口へと近づけていく。
「優しくだよ☆わかった?」
そして、アギトはシエナの足の指を自分の口の中に入れて舐めはじめる。
「見て見てみんな、勇者様が私の足舐めてる♪ウケるよね!あはははっ!」
「うわ―、本当に舐めてるよあいつ!」
「キモ―ッ」
「まさか、本当にやるなんて。あいつにはプライドってものが無いのかしら?」
「ちゃんと隅々まで舐めて、シエナ様の足を綺麗にしなさいよね!」
「「「あははははっ」」」
「ちょっ、くすぐったいよ…………あははははっ♪」
【ガンッ!】
「…………ぐっ」
突然、シエナはなめられている足でアギトの顔を蹴った。
「くすぐったいって、言ってんじゃん!もう、止めてよね♪」
「…………クソッ」
「あーあ、飽きちゃった♪私、先に部屋に行くから後で誰かそのゴミを私の部屋まで連れて来てね!お願いね☆」
「「「はいっ」」」
「さっきのやつ、今度の発表会の時の見世物にいいかもね♪みんなの前でやったら喜んでくれるかなぁ!楽しみぃ☆」
そんな事を言いながら、シエナは複数の部下と共に自分の部屋へと消えていった。
そして、5時間後。アギトは夕食を終えシエナの部屋に呼び出されていた。
「さー、ゴミ勇者さん!これから私の『真の目的』を果たさせてもらうわね」
「何が始まる…………!?」
「私、言ったわよね?あなたは私の最高のおもちゃだって♪私はね、世界最強の勇者であるあなたの『血筋』が欲しいのよね☆私のお腹にあなたの子を宿す。それが、あなたをここに連れてきた1番の理由よ?」
「なっ…………!正気か、シエナ!」
「まさか、嘘だと思った?私が決めたことは絶対よ!反論は受け付けませーん☆さぁ、夜はこれからだよ?たっぷり可愛がってあげるから、覚悟しなさいクソ勇者!あー、あなたの子を私のお腹に宿したらどんな顔するかな、ティファ!それと、ユイやアリスもか!楽しみー♪ちゃんと、絶望してくれるかな?」
シエナが妖しく微笑み、パチンと音を鳴らす。同時に背後に控えていたメンバー達が冷酷な手つきでアギトの自由を奪った。
――その夜、部屋からはアギトの悲痛な叫びと尊厳を徹底的に踏みにじるような冷たい笑い声が夜通し響き渡ることとなった。
事を終えた時には、アギトの心は完全に折れていた。




