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トア・リア物語~双子の妹は姉を助けるため無自覚に無双する~  作者: 河童紀心
最終章

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第54話 家族の在り方

 

 アンドールは騎士団にある自室で、町で入手した本日の情報誌を興奮して読んでいた。今日はついに『英雄トア様の幼少期!~孤児院密着取材~』という見出しになっており、アンドールは読みたくてたまらないのを、仕事終わりまで我慢していたのだ。ウハウハと緊張しながら、情報誌を握りしめた所で、不意に後ろから声を掛けられ思わず椅子から飛び上がった。


「アンドール兄ちゃん!」

「ぅぅわっ!!」

「わっ、どうしたの? こっちまでびっくりするよー!」

「ト、ト、トア??!」

「うん、あはははは、どうしたの?」

「お、お前こそ、どうしたんだ? いきなり!?」

「えっ、いつも通りだよ。でも、忙しかったから、ちょっと久しぶりかな?」

「こんな所に一人で来て大丈夫なのか?? 英雄だろ??!」

「えっ、ああ~何か王様がその方が都合がいいんだって。でも、私、英雄じゃなくてトアの方がいい」

「あ、ああ、そうか……うん、そうだな、トアはトアだもんな」

「えへへ」


 そこへ、ノックの音がしてタイミング良くピオットが入って来た。


「トアじゃないか!」

「うん、忙しかったけど、やっと落ち着いてきたから来たんだ~。ピオット先生にも薬草渡したかったから、ちょうど良かった!」


 そう言って、トアは戦いの前に摘んでいて使っていなかった薬草を収納袋から無造作に出し始めた。


「ちょ、ちょっとまーった!」

「え?」

「ちょっと心臓を整える……」

「大丈夫、先生?」

「ふっ……」


 なぜか不敵な笑みを漏らし精神統一を始めたピオットは、しばらくすると目を開いた。


「準備は整いました。トア、どうぞ……」


(ああ、また先生少しおかしくなってるなぁ……)


 そうしている原因が自分にあるとは微塵も理解していないトアは、無造作に薬草を掴んで引っ張り出した。


 ——ドサーッ、バササササササー——


 サーっと薬草の山が出来ると、ピオットの血の気もサーっと引いた。


「トワァ!!!」

「先生、私、トアだよ……」

「ぅ分かっています! まるで『雑草抜いといたよ、ピオット先生♡』みたいに貴女が出したこれは、やはり全て超回復薬の主材料、ポヤの花ですよね!!」

「うん、ユリに似てて綺麗なお花だよね。見つける度に採ってたら、結構増えてたから……」

「こ、こんなに使いきれません!!」

「ピオット、落ち着け、ほら、お前が言ったんだろう? 深く考えたら負けなんだって……」

「あ、ああ、そうだ……私はもう負けてい……」

「あれっ?」

「ひゃあ!」


 ピオットの顔色は今や興奮して白から赤に変わっていたが、白く輝くポヤの花の山積みがモゾモゾと動き、それに気付いたトアがピオットとアンドールを風魔法で部屋の隅に移動させた。トアの無詠唱で放たれた風魔法が早すぎて、王国の影の一員であるにもかかわらず、動揺したピオットから変な声が放たれた。トアの様子を見て、アンドールが声を掛ける。


「トア、どうした?」

「ん、何かいるみたい。アンドール兄ちゃん、そのまま先生とそこにいて」


 そのままトアが注意深く観察していると、ポヤの花の山から人間の手がポンッと出る。


「誰?」

「……△△◎?……」

「異界の人……かな??」


 ポヤの花の中から現れたのは、初老の男性だった。すっかり姿を現したその男性は、トアと目が合うとニコリと微笑んだ。言葉が通じないことが分かると、トアは即座に遠視で男性の頭の中を観察し始めた。


「……敵意はなくて、びっくりしてるみたい……異界の人っぽいから、ルーラルにも見てもらおう……」


 その後、ルーラルやベージェルにも来てもらい確認したのだが、驚くべきことにその男性はブラザリア皇国の者でもないようだった。ルーラルが垣間見た男性の記憶は、この世界ともブラザリア皇国の世界とも違うもので、ベージェルの推測により、恐らくまた別の世界から何らかの要因で、たまたまトアの収納袋の中に広がる空間に入り込んだ者だと言うことが分かった。


「私は、トア……トア……分かる?」


 トアというのが名前らしいと理解したようで、その男性が自身を指さし言葉を発した。


「……ジンサ・カクトス……」

「ジンサだね!」


 トアが聞こえた通りの音を真似ると、男性はニッコリ微笑んだ。その後、ベージェルの勧めでジンサに関しては、再びトアの収納空間の中に入ってもらうのが良いという結論になり、食べ物なども入れてジンサを収納したのだが、驚くべきことに、次の日収納空間を確認すると、もうジンサの姿は消えていたのだった。


(じいちゃんが前に言っていた通り、この空間は別の世界とつながる可能性があるんだ……気を付けないと……)


 結局、ジンサが何者だったのか、トアたちには良く分からないままであったが、その答えはまた別の世界に引き継がれることとなる——。


 ハプニングはあったものの、無事に薬草も渡せたトアは、ジンサを収納空間に入れた後、そのままアンドール、ベージェル、ルーラルも連れて孤児院へと転移した。


「あっ、トアだ!」


 トアに気付いた子供たちが駆け寄り、その後ろからシスターマリーやナイル神父も笑顔で出迎える。そして、今日のため国に特別許可を取り敷設した転移陣で、アラキス帝国から既に到着していたリア、フローリア、トーマスもトアたちを温かく迎えた。その後、少しして、祖父であるウィズダブラや叔父のフロイスもやって来て全員が揃う。


 質素なテーブルだが、皆が持ち寄った食事が並ぶと豪華で、それを囲む人々の笑顔は温かい。食卓を囲んだ皆が声を揃える。


「トア・リア、お誕生日、おめでとう!!」


 初めて本当の誕生日で十一歳を迎えたトアとリアは、囲んでいる家族たちを見回す。


「リア、すごいね……私たち大家族だね!」

「うん、トア……幸せだね」


 笑いの絶えない孤児院は、温かい光に包まれていた。



完




皆様、お読みいただき有難うございました!!

最後まで読んでいただき、様々な形で応援していただき、

毎回、すごく力をもらえました!(^0^)!


活動報告にも、改めてお礼を書かせていただきます。


さて、では最後にトアから一言!


トア「あっ、リアから聞いたんだけど、アンドール兄ちゃんの好きな人って『マ』が付くんだって……誰か知ってる?」

河童「マ……マルスミ……。すみません、ウソです!」


トアなら「そっかぁ!」と言いそうなので、撤回しておきました。


本当に最後まで温かくお見守りいただき、有難うございました。

すごく嬉しい気持ちでいっぱいです(*^-^*)


一週間ほどしたら、また新たな物語世界を綴ります。

また読んでもいいよ~という方がいらっしゃいましたら、是非覗いてみてもらえると嬉しいです♪ それではまた!

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