その1
のんびりといきます。
ワタクシ、悪役令嬢を目指します!
ダン!
…机を格好良く叩きましたのに。
決意を行動にしてみましたのに。
側に控えているレイチェルもメアリアンも反応してくれませんでした。
というか、視線に憐れみを感じます。
無言の憐れみ。
何やってるんだ感が満載です…若干心が折れます。
でも、しかし!
ここは気を取り直して。
もう、一回。
ダダン!!
さっきより強めでしてよ?
さぁ、これでワタクシの悪い感じが強く出たのではないかしら!?
レイチェル&メアリアン、チャンスでしてよ!
……更に空気が乾いた気がするのは、ナゼカシラ?
二人とも無視しないで?
私達、主従よね?
それも雇用形態を飛び越えることもあるくらいの仲良し主従よね?
この際、『雇用契約者の欄は、お父様のサイン』とか言わないでね?
残念な人的な視線が寂しいですわ…涙が出そう。
あ、鼻水も。
むぎゅ!
「ふぐっ!」
「ディアナ様」
レイチェル、近いですわ。
鼻を塞いでるハンカチが苦しいですわ。
「メアリアン、替えを。」
むぎゅ!
新しいハンカチが鼻に追加されたわ。
付け根が圧迫されて、ちょっと痛いわ。
「…ディアナ様、鼻血用のタオルです。どーぞ。」
あら。
ワタクシ、また鼻血出したんですか。
「ディアナ様…」
「んがんぎ(なあに)?」
「急に興奮するのは、お止めくださいまし。」
「がんげ(なんで)?」
「鼻血が出ます。」
ちーん。。。。。。。。。
「それにしても、そんなにコーフンする話だったんですかぁ?」
「ふぇ(へ)?」
「突然、2回も机を叩きつけたから。」
「!!!」
なんと!!!
ワタクシ、悪役令嬢を目指すことを声に出していなかった!?
単に小説に興奮しすぎて、鼻血まで出した残念娘と思われた!?
「とにかく。お嬢様。」
レイチェルの冷静なお説教が始まります。
「物は大切に扱って下さい。お嬢様は侯爵家のご令嬢なのですから……ん?メアリアン?」
「寝てます。お嬢様。」
ワタクシ、レイチェル歴4年目。
起きたら、ワタクシの天啓を二人に改めて伝えねばですが、とりあえずは、レイチェルから逃げるためにしっかり休憩をとりましょう!
「ディアナ様、起きてください!」
「狸寝入りから、本腰の逃避に入っちゃいましたねー。」
ちょっと吹き出しかけてるけど、流石のフォローです!メアリアン。
さすが、ワタクシのお友達侍女!
祝ワタクシ歴5年目!
「鼻血、止まりましたねー。一回ちゃんと寝かせましょうかね?」
「そうね。」
メアリアン、グッジョブですわ!
後はヨロシク始末を!
ああ、この言い回し、何か悪役令嬢っぽい感じですね!
何かビミョーですけど!
あ、後始末をお願いするのは、鼻血です。
にしても、本当に眠い。
今夜は夜更かししないようにしないといけませんね。
ここは、メアリアンの推察?に乗っかるが得策かも…
あ~…………………ぐう。
レイチェル>メアリアン>ディアナ
歳と力関係です。