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DARKNESS HUNTER  作者: ゼファー
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第五話 襲撃

第五話 「襲撃」



 沙織の護衛と聖血教会との戦いが始まって2週間は過ぎた頃、いつもの通り聖が昼休み中の

沙織を部活棟から見ていた時だった。


学園から離れた所から爆発音が聞こえた。聖は音がした方向に顔を向けると黒煙が上がっていた。

悲鳴が学園中から聞こえた。


教師たちが急いで出てきて生徒たちを棟内に避難させていた。



 聖は状況確認と教師たちのヘルプに行こうとした時、聖の携帯が鳴る。

ショートメールで確認すると、


「監視対象襲撃後自爆。全員軽傷」


 聖が確認した直後、別方向から爆発音が聞こえた。聖がその方向を見るとまたショートメールの

着信があった。


「監視対象襲撃後自爆。1名軽傷以外全員無傷」


狙われたのはエージェント達、そして自爆したのは聖血教会。ショートメールで何が起こったのか

すぐに理解した瞬間、聖は嫌な気配を感じた。


 聖は立ち止まり周りを見渡し振り返ると、そこには5人ほどの黒衣の者たちがいた。

黒衣の者たちが一斉に走り出す、何をするかは聖は分かっていた。

 徒手空拳で止めるつもりは無い。聖は右手をかざして「神威」と呟くと漆黒の日本刀が現れ、

一閃。黒衣の者達全員が体を真っ二つに斬られ黒い霧となって黒衣以外を残して消えていった。


 聖は神威を消して、残った黒衣を取ると、白い粘土状のものが複数残っていた。

それを確認すると聖の表情が厳しくなる。


「聖血教会は狙いを聖女から僕たちに狙いを変えたようだね……」


白粘土状のもの「C4爆弾」を見ながら聖は呟いた。



 昼の爆発で混乱があったものの『工事中のガス爆発が連続した』と『処理』され、

生徒たちは落ち着きを取り戻した。


授業の方は午前までとした。聖の仕事もほとんど午前中には終わっていた為早上がりとして

もらった。



 とある町の中の公園幼い子どもたちが遊んでおり、傍らでは親たちが世間話に花を咲かせている

中、聖はペンチに座っていた。手には缶コーヒーを持ちチビチビと飲んでいた。

太陽の日差しが気持ちよく、寝てしまいそうな陽気さだった。


 そんな聖の前を2人の男が通り過ぎ、聖のベンチの隣に座る。年は聖より上で

白と黒のポロシャツを着て一見は近所の住民のようにも見えたが、

体の所々に包帯が巻かれていた。


「体のほうは大丈夫みたいで良かったです」


顔を向けず、聖は二人の男性に話しかける。男たちも聖の方を向くことなく頭を下げた。


「普段ならメールだけで良かったんだけど、まさかのC4爆弾で自爆までしてくるとは思っていな

かったので心配でした」


「ご心配をお掛けしまい申し訳ございません。今回は明らかに不審な行動だったため距離を

とったのが正解でした。またいつもですが住宅街を避けての戦闘が幸い致しました。

多少の道路と建物への被害はありましたが、人への被害はありませんでした」


黒のポロシャツの男が言う。


「そうだね。僕の方は直接学園に来たから処分するしか無かった。今後あのような行動で来ると

したら隠しきれないね。一刻も早く聖血教会の元を断たないと。で、一つ気になったことが

あるんだ。かなり昔になるけど、かつて静江お祖母様を襲った者達を調べてほしい」


「静江様を襲った事件ですか?」


聖の依頼に戸惑う男たち。それはそうだろう。今まで神埼沙織を守る仕事が急に聖の祖母である

静江のことになったのだから。だが聖に確信があった。


「今までは聖女の聖血を狙う者達の犯行だったけど、今回の自爆テロで確信した。

聖血教会は狙いを沙織さんから僕たち移したと言っていいだろう。

今回の首謀者……仮称Aとしようか、そのAが黒衣の者達の目を通した僕たちを見ていた。

それにより僕たちの正体を知り、実力を試すためにワザと彼らを僕らに襲わせたのだと思う。

そして自爆へと手段を変更した。聖女メインだったのが、僕たちが現れたことによって

ターゲットを変更したんだ。それで気になったんだ。なぜ僕たちに変えたのか?

聖女と天家を結ぶもの、それで静江お祖母様の事が気にかかったんだ」


聖は再びベンチの近くにある自動販売機で今度は缶コーヒーではなく紅茶を選んだ。

好みが分からなかったので無難にレモンティーにした。5本買い、2本を男たちに渡す。

1本は聖に。残り2本は


「はい、どうぞ」


といつの間にか聖が座っていたベンチと男性と女性がいた。2人ともスーツ姿だった。

その2人に紅茶を渡す。


「うん、気配断ちは良かったよ。引き続きお願いします」


紅茶を渡すと男女の姿が消える。聖は何事も無かったかのようにベンチに座る。

その前を数人のグループが歩いていくが、そのグループは聖たちに目を向けず

走り去っていく。そう、そこには誰もいないかのように。


「さて、続きと。静江お祖母様は椎堂家にいた時に、何者かに襲われてたと言った。

その何者かが知りたい。光水お祖父様が助けたことになっているけどその当時の記録が

無くてね……。光水お祖父様はもう亡くなっているし、静江お祖母様はたぶん詳細を知らされて

いないと思う」


「聖様は静江様を襲った何者かが犯人だと思っているのですか? 

しかし光水様がいたと言うことは……」


「静江お祖母様を襲った者達は倒されて、殺すか拘束されているはず。……だからそういう事だよ」


聖の意味ありげな言葉に男たちは理解した。


「その何者かの血縁で子孫が……って事ですね」


「その通り。静江お祖母様は聖血教会だと思っているらしいけど違うと思うんだ。

……偶然すぎるんだよね、聖血を持つお祖母様を光水お祖父様が助けるなんて……。

たぶん光水お祖父様は聖女であるお祖母様を護るためにではなく、たぶんその犯人を追っていて

偶然お祖母様を襲おうとした所で出会ったって感じかな」


静江の話では光水は窓を蹴破って入って来たと言うが、聖はそこが気になった。

光水が事前に静江が聖女と知っているのであれば、椎堂家に話をつけ、待ち伏せなどして

確実にしていたはず。

 なのに窓を蹴破ってまで入ってきたと言うことは、元々光水はその何者かを追っていたと考えれば

今回の件と繋がると思ったのであった。


「飛躍的かもしれない。僕の妄想かもしれない。でも、確信はある。頼めるかな? 当時の光水お祖父様が扱っていた案件、そして断絶となった家柄を。精神崩壊(マインドブレイク)を扱える程の者

だ。たぶん天家と同じような家系かと思う。光水お祖父様はその血縁にも罰を与えたと思う。

その辺りの調査をお願いしたい」


聖がそこまで言うと紅茶を飲み干す。男たちは無言で頷くと姿を消した。

それを見届けると聖は軽く手を叩く。


 すると一気に視線を感じた。興味と驚きが混じった視線だ。聖はそれを気にすること無く

公園を立ち去った。


「まったく因果なものだね。天家というものは……。光水お祖父様の案件が、孫の僕にまた

掛かってくるなんてね。」


立ち止まり聖はすこし声をあげて言う。




聖から彼方離れた場所。特定まではいかないが誰かの視線を感じながら聖はその視線の主に問いかける。


「天家が憎いかい? 聖血を手に入れ天家に刃向かう気か?」


視線に殺気が混じる。それだけで充分だった。聖はすこし微笑むとまた歩き始めた。

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